今回【実録】介護の本質chからお伝えするのは
第36回【介護福祉士試験2024対策】
過去問から「気になる問題」を徹底解説!
めざせ!一発合格‼
その【後編】です。
【前編】の解説については、コチラをご覧ください。
2024年1月28日(日)に行われる第36回介護福祉士試験
13分野、全125問に亘る問題のうち、全分野において1点でも得点があり、正答率60%以上が合格となりますが、試験対策は着実に進んでいますか?
2024年4月からは「国家資格取得者」や「従事する上で必要な研修を修了している者」以外は介護の仕事ができなくなるので、2024年1月の試験においてはぜひとも合格を勝ち取ってもらいたい!そう筆者は切に願っています。
この記事では、過去3年間に介護福祉士試験で出題された「375問」について、現役介護福祉士である筆者が実際に解きながら、出題が予想される「気になる問題」について、間違いやすい部分や正解を導き出すポイントなどを徹底解説し、解答に悩む問題などに自信を持って答えられる一助となるような内容をお伝えします。
【前編】では主要7分野の気になる問題について解説を交えながらお伝えしました。
今回の【後編】では、残る6分野において「頻繁に出題される」、「間違いやすい」、「難解」などといったものを取り上げ、徹底解説しますので、しっかりと過去問を解き、理解を深めることで一発合格への足がかりにしてもらえたら嬉しいです!
では、始めていきますね。
第36回介護福祉士試験・後半6分野の「気になる問題」徹底解説!
では、解説を進めていきますので、しっかりと理解を深めていきましょうね!
こころとからだのしくみ
この分野からは毎年10問程度出題されていて、事例問題も複数ありますが、今回の解説では前編ではあまり触れなかった事例問題も含めて解説を進めていきますね。
※問題はすべて引用させていただいております。
まずは、この問題から。
現世において社会問題になっているPTSD(心的外傷性ストレス障害)ですが、生死に関わる体験、危険に直面した後、その体験などの記憶が自分の意志とは関係なくフラッシュバックのように思い出されたり、悪夢に見たりすることが続き、不安や緊張が高まったり、辛さのあまり現実感がなくなったりする状態のことをいいます。
主な症状が、この5つ。
- 突然、つらい記憶がよみがえる
- 常に神経が張りつめている
- 記憶を呼び起こす状況や場面を避ける
- 感覚が麻痺する
- いつまでも症状が続く
※こころの情報サイトより抜粋
いつまでも症状が続くことから2番は×。生死に関わるような大きな出来事が原因なので3番も×。被害「妄想」ではなく「実体験」によるものなので4番も×。
言葉だけを捉えれば5番は悩ましいところですが、気分が高ぶるとは「気分が高揚する」ことであり、ポジティブなイメージになりますよね。PTSDの場合、高ぶるのは「不安や緊張」といったネガティブなものになるので、5番は×。
よって正解は、1番になります。
選択肢の文章からも「フラッシュバック」の意味合いが分かりますよね。
では、次の問題を一緒に解いていきましょう。
ボディメカニクスという言葉。実務者研修などでよく耳にしたことでしょう。原則を知っていれば解きやすい問題ではありますが、試験では時間の制約などもあって“うっかりミス”による失点につながりやすいものではないでしょうか。
失点を防ぐために考えるのは2つ。
- 実際に行っている介助のやり方をしっかりイメージする
- 選択肢の文章の意味を逆にして考えてみる
これを踏まえて選択肢を見ていきます。
1番に「支持基底面」という難しい言葉が出てきましたが、これは体重を支えるために必要な床面積のことで、介助の際に介護士などが注意すべき「両足の幅」をイメージするといいでしょう。
選択肢の言葉の意味を逆に。ですので「支持基底面を狭くする」とどうなるかをイメージできれば大丈夫です。狭くすると介護士の方の重心が安定せず、介助の際に転倒のリスクや大ケガをする危険性があるので、これが選択肢の文章通りとなり「○」になりますよね。
よって、正解は1番。
同じように2番~5番をやっていくと、このようになります。
2番:利用者の重心を遠ざける→近づける方がお互いの重心が安定し介助がしやすい。
3番:腰がねじれた姿勢をとる→ねじれていない方が介助の姿勢的にケガしにくい。
4番:重心を高くする→低くする方が介助の際に少ない動きで大きな力が得られる。
5番:移動時の摩擦面を大きく→小さくすることで身体の動きをコンパクトにできる。
では、もう1問!
事例問題。入浴後に起こった「ふらつき」の原因が問われています。
キーワードは「時間をかけて湯につかっている」、「浴槽から急に立ち上がる」。
先に正解をお伝えすると、5番が正解になります。
入浴の際に時間をかけて湯につかっていると、静脈から心臓に戻る血流が減少するため、血圧が低下します。これがふらつきの原因になるからです。体温の上昇はふらつきとは関係ありませんので、1番は×。
呼吸数については、静脈から心臓に戻る血流が減少すると、酸素を取り込もうとして逆に呼吸数は増加しますので、2番は×。
心拍数が減少すれば、ふらつきどころか意識消失の可能性があるので、3番は×。
動脈血酸素飽和度の低下とは、体内に十分な酸素が送れていない状態を指しているので、浴槽から急に立ち上がった時のふらつきとは関係がないので、4番は×。になります。
入浴についての問題は、角度を変えて出題されているものもあるので、いい機会ですから紹介しておきますね。
中温浴でのメリットとしては、以下の通りです。
- 副交感神経が刺激されて、脳がリラックスする
- 筋肉の緊張が緩和され、疲れが解れやすくなる
- 腎臓や腸の働き(動き)を良くする
ちなみにこの問題の正解は、4番です。
こういった感じで、以降も進めていきますね。
コミュニケーション技術
介護保険サービス利用者ならびに家族を始めとして、同僚や職域内においても必要不可欠である「コミュニケーション」ですが、この分野においても事例を絡めた問題を含め、毎年6~8問出題されています。
基本的なことを押さえながら先程と同じように
事例問題を含めた過去問を一緒に解いていきましょう。まずは、この問題から。
この問題を読み解くキーワードは、理解の相違をなくすです。
相手の話を単に聴いているだけでは、テレビやラジオを聴いているのと同じになりますよね。一方向からの情報を鵜呑みにせず、双方向から意見を交わし合うことによって理解の相違がなくなるのではないでしょうか。
そういったことを踏まえると、1番と3番は×であることが分かりますよね。
2番の「腕組み」は「拒絶」を意味する行為と受け取られるので、相手を理解する以前の問題なので×。5番においては論外ですよね…
注意力が散漫になり、まともに相手の話を聴いているとは思えないので×。
したがって、正解は4番になります。
次の問題も一緒に解いていきましょう。
運動性失語症とは、(話し手の)言葉を理解することはできるものの、自分が話す時はうまく言葉が思い浮かばないという症状をいいます。脳の運動野に近いエリアにある「ブローカ野」という部位の損傷が原因とされ、このような呼び名になっていると考えられます。
この症状がある人に対しては、一度に多くのことを伝えようとしたり、話し手のペースで話したりすることはご法度であり、テレビがつけっぱなしのままなどのザワザワした環境の中で会話をすると混乱を招く恐れがあるので避けるべきでしょう。
これを踏まえて解説していきますね。
キーワードになるのが「言葉は理解できるが、会話が上手くできない」であり、ここから分かるのは「①聴覚や視覚に問題はない」と「②発語が困難」だということ。
①から、2番と3番は×だと分かるでしょう。どうしてか?
2番と3番は、「聴覚に障害がある人」とのコミュニケーション術だと考えられるからです。
そして②から、5番が×だと分かりますよね。どうしてか?
発語が困難な人に開かれた質問をするとどうなるか。余計に言葉が出なくなってしまう可能性が高くなります…なので「はい」や「いいえ」で答えられる質問の方がいいでしょう。
残った選択肢は1番と4番。
4番を見ていくと、五十音表を使うとありますが、運動性失語症の人は読み書きが困難な場合が多くあり、会話をするにあたっては、五十音表は不向きであり×ということになります。
よって正解は、1番になるでしょう。
生活支援技術
高齢者の日常生活上の様々な動作における介助や支援方法を問う問題が、事例を含めて毎年5~8問出題されていますが、ここは絶対落とせない分野ですので気を引き締めて解いていきましょう!(介護の基本を押さえていれば満点も狙えるので、解きやすい問題だからこそ油断しないようにという意味です)
先にお伝えしておきますが、この分野において筆者が選んだ過去問は、筆記試験後に実技試験を受ける予定の人たちを考慮した問題になります。かと言って実技試験免除の人には関係ない訳ではなく、実務として知っておかないといけないものですので勘違いしないように。
では、早速問題を見ていきましょう。
この問題については、実際に実技試験の問題として出題されているので、施設で介護している人たちにとっては特に解けて当たり前の問題ですよね。先に正解をお伝えすると3番が正解です。解説していきますね。
まず、皆さんに確認しておきたいことがあります。
片麻痺の人の衣類の着脱については、脱健着患が原則だということを知っていますか?
健側(麻痺のない方)から服を脱ぎ、患側(麻痺のある方)から服を着るということですが、このことから4番が×であることが分かりますよね。『左側の袖を脱いで』と、思いっきり患側から脱がせているので、間違いであることは明白です。
後の選択肢を見ていくと、片麻痺で臥床(寝たまま)の状態の人の着脱介助の際には、介護福祉職の立ち位置は健側(この場合、右側)になるので、1番は×。
脱健着患の原則から、衣類は患側(この場合、左側)から着るので、新しい衣類は左側に置いた方が介助しやすいですよね。よって2番は×。
着脱の際、身体を横に(側臥位に)するのですが、患側に負担をかけないようにするため、健側を下にすることが適切なので、5番は×。よって3番が正解ということになるのです。
引き続いて、問題を一緒に解いていきましょう。
トルクの意味は「物を回転させる力」。トルクの原理とはボディメカニクスの1つで、平たくいえば「小さな力で大きな成果を生み出す」であり、ここでは「仰向けで寝ている利用者の身体をできる限り少ない力で横に向ける」ことを意味しています。※図解すると、こんな感じ
この図を用いながら解説していきますね。
図を見て分かるように、利用者とベッドの接地面が広いと小さな力は生み出せないので1番は×。交差させるのは上肢であって、下肢ではないため2番は×。
滑りやすいシートを下に敷いてしまったら、利用者の身体を小さくまとめにくくなるので4番は×。5番は、ボディメカニクスの考え方として合っているので悩ましいところですが、トルクの原理の応用という視点からすれば、利用者に近づきすぎると効果を発揮できないので×。
したがって正解は、図を見ても明らかですよね。3番です。
介護過程
ビジネス用語でいうところの「PDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)」と同じ意味合いを持つ「介護過程」ですが、利用者の生活支援のために欠かせない「設計図」であり「脚本」なので、しっかりと押さえていく必要があります。
※今後、ケアマネジャーや生活相談員を目指そうとする人には”必須中の必須”!
今回は、介護過程の基本的なことを理解してもらうため
- 目的について
- 目標の設定について
- アセスメントについて
以上、3つのことをしっかりと勉強しておきましょう!
まずは、目的から。この問題です。
「何を目的として、利用者の生活を支援するのか?」
これを考えるだけで既に「一択」! 正解は5番です。
1番は大切なことではあっても「医者や看護師」が主体になるでしょう。
3番の「他職種連携」も重要ですが、目的の基本的な視点からは外れています。
4番においては、軸足が利用者ではなく家族なので、これも×。2番においては論外です。
次は、目標の設定。この問題です。
目標を設定すると言われると難しく考えてしまいがちですが、1つの目標を達成へと導くために複数の具体的な課題をクリアするという風にイメージできれば大丈夫です。この観点から、1番、2番、4番が×であることが分かりますよね。
残ったのが3番と5番。先に正解をお伝えすると、5番が正解です。
3番は「課題が解決した状態」ではなく「解決へと導かれる状態」を具体的に表すことが重要なので×になります。
最後は、アセスメント。この問題です。
利用者や家族から収集した情報を元に、利用者が抱える生活課題をしっかりと把握した上で分析し、適切な介護サービスを提供できるようにするための「前段階評価」がアセスメントになります。
これを踏まえて選択肢を見ていくと
1番は所謂「インフォームドコンセント」に当たるため×。
2番と3番は「計画立案中(ケアプラン作成中)」の段階であり、アセスメントは済んでいる状態を表しているため×になります。
4番の「支援経過の評価」は、モニタリングに当たるため×。
よって正解は、5番になります。
この分野で出題される問題については、介護支援の流れを理解し、基本的なことを押さえておけば比較的満点が取りやすいと考えられます。
残り2分野。ラストスパート、一緒に頑張りましょう!
医療的ケア
医療的ケアとはいうものの、過去に出題された問題のほとんどが「経管栄養」、「たん吸引」に関する問題です(概ね5問程度の出題です)。
利用者の生命に直結する内容になるので、気を引き締めて取り組んでくださいね。
それでは一緒に過去問を解いていきましょう!
2011年に法改正されたもので、喀痰吸引等研修を受けた介護福祉士が、本人やその家族の同意が必要であること、医師や看護師と連携すること、医療者による監督のもとでおこなうことを条件として経管栄養の行為を行うことができます。これを押さえておいてくださいね。
ちなみに、介護福祉士が行える経管栄養に関する医療ケアはこの2つです。
- 胃ろう又は腸ろうによる経管栄養
- 経鼻経管栄養
これを言い換えれば、介護福祉士が行えるのは「経管栄養の行為」だけということになり、それ以外はできない。となりますので、選択肢を見ると4番が正解になるでしょう。
残りの選択肢については「医療行為」に当たり、医師や看護師が主体となって行われるものなので、すべて×になります。
では、次の問題も一緒に解いていきましょう!
2011年に法改正されたもので、喀痰吸引等研修を受けた介護福祉士が、本人やその家族の同意が必要であること、医師や看護師と連携すること、医療者による監督のもとでおこなうことを条件として「たん吸引」を行うことができます。先程と同様に押さえておいてくださいね。
ちなみに、介護福祉士が行えるたん吸引に関する医療ケアは、次の3つです。
- 口腔内の喀痰吸引
- 鼻腔内の喀痰吸引
- 気管カニューレ内部の喀痰吸引
※気管カニューレ…図解すると、この部分になります。
見ているだけでも複雑で、ここから吸引するのは難しそうですよね…
呼吸を助ける意味合いでの吸引なので、誤ると命に関わりますし直接管を突っ込むのですから難しくて当たり前。であれば、介護福祉士が勝手に判断してたん吸引を行うことはご法度。
ということで、4番と5番は×になります(医師の指示通りに行うことが原則だからです)
吸引に使用されるチューブは、一般的にカニューレの内径に対して1/2以下の太さのものとされているので、1番では太過ぎますよね。よって×。
吸引するにあたっては、内部が見えやすいように利用者の頭を自分の正面に向けてチューブを挿入するので、3番も×。正解は2番になります。
こちらの分野においては、当面の出題傾向としてはこの2つをしっかりと理解することで大丈夫とは考えられますが、介護福祉士が行うものとして今後様々な医療行為やケアに対する規制が緩和されればこの限りではないので、今後の動向もしっかりと視ていきましょう。
総合問題
総合問題は、主に複数の事例から出題され、まさに総合的な知識と経験が試されるものとなりますが、出題される問題の内容についてはあまり難しいものはないように感じます。
事例に登場する人たちの状態をどれだけしっかりとイメージできるかがカギになると考えられるので、問題をしっかりと読んで、落ち着いて解いていけば大丈夫!点数は取れます。
ここでは、過去問の中でも一番イマジネーションが必要になる問題を取り上げました。
一緒に考えて、解いていきましょう!(事例を含め、3問連続で載せますね)
問題を解く前に、事例から得られる情報を整理しておきましょう。
- 独り暮らしで人付き合いが苦手
- 右膝に変形性膝関節症を患い、1ヶ月前から状態が悪化
- 外出する機会が減り、食事量・体重減少
では、問題114から解いていきましょう。キーワードになるのが「現在のJさんから心配される病態」です。
情報から現在のJさんは、膝の痛みは持続(寛解していない)していて診断もあり、経過観察ないし治療中。特段精神面に問題はなく(不穏や不定愁訴、せん妄症状はない)、落ち着いて生活を送っていると考えられますよね。
よって、正解は1番の「フレイル(筋力や心身の活力低下)」になります。
続いて、問題115に行きますね。キーワードは、Jさんが発した「心配だから…」です。
情報から、Jさんの言う「心配」は、広義には「外出先で何かあったらどうしよう」であり、具体的には「人付き合いが苦手なのに、知らない人たちと一緒に過ごすのは…」、「膝の痛みがひどくなって、歩けなくなったら…」といったものだと考えられます。
ということは、Jさんの「心配」を受け容れることが何より先になり
それを言葉に表しているのが正解になります…4番ですよね。
問題116。これがイマジネーション必須問題になります。
まず正解をお伝えすると「1つに選べない」になります。
なんじゃそりゃ???
そう思っている人が多いでしょうけれど、実際に「正答なし」が公式発表されています。
あえて言うならば、1番もしくは3番になるのですが「1つ選びなさい」となっているので正解は「1つに選べない」になるのです。
イマジネーションを働かせてみると、どうして1つに選べないのかが分かります。
右膝が痛いので、杖を左に持つのは分かりますよね。そこから右足を出してから杖を出すのと右足と杖を一緒に出すは、行動的には同じものだと考えられます。
「1つ選びなさい」であれば、確実に1つしか正解がないことが大前提であり、1番も3番も正解となり得る余地があるため「1つに選べない」訳であり「正答なし」になるのです。
こういった場合も稀にあるので、対処法をお伝えしますね。
高齢者や障害をお持ちの人の場合、一連の動作をスムーズに行うことは難しいと考えられ、動作を分割して行ってもらう方が安全。だとすれば、今回の場合でいえば、問題に登場する利用者の状態をしっかりとイメージして「最も安全な方法を記している選択肢を選んでおく」ことで大丈夫だと考えます。
まとめ
今回は
第36回【介護福祉士試験2024対策】
過去問から「気になる問題」を徹底解説!
めざせ!一発合格‼ の【後編】をお送りしました。
筆記試験本番は、令和6年(2024年)1月28日(日)です。
多くの過去問に触れ、理解を深めて解きながら、傾向を見極め対策を練る。
この記事が、その一助となることは間違いないと確信しています。
ぜひとも合格の喜びを掴み取ってくださいね!
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