今回の【実録】介護の本質chからは
【ケアマネ試験】過去問から気になる問題を現役ケアマネジャーが徹底解説!
一発合格への勉強法をお伝えします と題してお送りします。
介護保険制度下において欠かすことのできない存在である「ケアマネジャー(介護支援専門員)」。現在、ケアマネジャーとして登録されている人は約74万人おられ、筆者もそのうちの1人です。
3年ごとの改訂(追加変更含む)で、支援サービス内容の細分化や基準の厳格化などによって、勉強しなければいけないことが増加するだけならともかく複雑化していることを考えると、なかなか一発合格は厳しいようですね…
しかしながら、ケアマネジャーになるためには「実務研修受講試験」は避けては通れませんので、しっかりとポイントを押さえた勉強が必要になることも事実です。
勉強する上で一番手っ取り早い方法は「過去問を解きまくる」にはなるのですが、闇雲に解きまくっても傾向やポイントを押さえておかないと、どんどん忘れていってしまうもの…
そこで今回は、現役ケアマネジャーである筆者が、これまで出題された「過去問」を実際に解き、その中から「今後の試験において出題される可能性が高い」気になる問題についてポイントを押さえながら徹底解説!ケアマネジャーを目指す人たちが「一発合格」の喜びを噛みしめることができる勉強法などをまとめてお伝えします。
基本的には「過去問を解きまくる」にはなりますが、実際「どれだけ遡って解いていけばいいのか?」、「繰り返し解く方がいいのか?」など、様々な疑問が湧いてくることでしょう。
そんな疑問も含めて、分かりやすく覚えやすい解説を行っていきますのでどうぞ最後までご覧ください。
それでは始めていきますね!
ケアマネ試験一発合格へのカギは、過去3年間に出題された問題を整理して解いていくこと
ケアマネ試験においての合格基準は
「介護支援分野」、「保健医療サービス分野」、「福祉サービス分野」
それぞれにおいて約60%~70%の正答率が必要。ということです。
出題傾向からすれば、保健医療と福祉については国家試験である「介護福祉士」と似通った出題が少なからず見られるので、ある程度の知識があれば比較的容易に合格基準の点数は取れるのではないかと筆者は考えます。
となると、ケアマネ試験最大の難関は「介護支援分野」。いわゆる「ケアマネとして最低限知っておくべき内容を含んだ問題」が並んでいるエリアになります。筆者もこのエリアは本当に苦労しました…
この難関を突破するために実際に筆者が行っていた勉強方法が
タイトルにある「過去3年間に出題された問題を整理して解いていく」です。
どういうことなのか?
文章で書き連ねていくよりも、実際の方法をご覧いただく方が分かりやすいと考えますので、記事の展開の全容を踏まえてやっていきますね。
まずは、コチラから。
介護保険法(条文)について
ケアマネ試験において頻度の高い「法律関連」の問題。
特に「介護保険法」については、ケアマネジャーの実務上不可欠になるものなので、しっかりと覚えておきましょう。
とは言っても「法律」と聞くと「難しいもの」と思ってしまうのは筆者も経験しているので理解できます。覚えるのに本当に苦労しますよね…
この章では、過去に出題された「介護保険法の条文について」の問題を、条文と並行して解説し、確実に点数を重ねることができるようになることを目的としてお伝えします。
ここで気になるのは「どの条文が出題されやすいのか?」になりますが、過去の出題傾向から考えて「1条、2条、4条、5条」を押さえておくと間違いなく点数が取れます。
4つもあるの?
多いように思いますが、選択肢に書かれているのは「条文から抜き出されたセンテンスそのまま」であり、条文に書かれていないものは「×」になるので、各条文のポイントさえ覚えておけば大丈夫です。
では早速、過去問を使って勉強していきましょう。
介護保険法第1条(目的)に規定されている文言として
正しいものはどれか。2つ選べ。
(2018年:第21回介護支援専門員試験)
選択肢は、コチラ。
- 高齢者の権利利益の擁護に資する
- 高齢者の心身の健康の保持及び生活の安定を図る
- 国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図る
- 有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができる
- 高齢者の居住の安定の確保を図る
第1条の条文は、コチラ。
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
この条文の中に書かれているものが正解になりますが、パッと見て分かるように条文に下線や太字などでポイントになる部分を表してみました。(今後出題される可能性の高いものも下線部で表していますので活用してくださいね)
選択肢を見てみると
1番の「高齢者の権利利益の擁護」については何処にも書かれていないので「×」。
2番の「高齢者の心身の健康の保持及び生活の安定」についても書かれていないので「×」。
3番「国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図る」は、条文の最後に書かれているので「〇」。
4番「有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができる」は、条文の中盤に書かれているので「〇」。
5番の「高齢者の居住の安定の確保を図る」については、何処にも書かれていないので「×」。
したがって、解答は3番と4番になります。
こんな感じで、次の問題も解いてみましょう。
介護保険法第2条に示されている
保険給付の基本的考え方として正しいものはどれか。3つ選べ。
(2021年:第23回介護支援専門員試験)
選択肢は、コチラ。
- 要介護状態等の維持又は悪化の予防に資するよう行われる。
- 被保険者の選択に基づく。
- 総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。
- 快適な日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。
- 被保険者の要介護状態等に関し、必要な保険給付を行う。
第2条の条文は、このようになっています。
1.介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態に関し、必要な保険給付を行うものとする。 2.前項の保険給付は、要介護状態又は要支援状態の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。 3.第一項の保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。 4.第一項の保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。
同じように、ポイントとなる部分を下線や太字で表してみました。
考え方は先程と同じで「条文に書かれているかいないか」ですので
初めて解くよりも分かりやすいのではないでしょうか。
選択肢を見ていくと
1番は、第2項に書かれているようですが
条文では要介護状態の「維持」ではなく「軽減」と書かれているので
この選択肢は「×」だと分かりますよね。
2番は、第3項の2行目にそのまま書かれているので「〇」。
3番は、2番と同じく第3項を見ると、後半部分にそのまま書かれているので「〇」。
4番は、第4項に書かれているようですが
条文では「快適な日常生活」ではなく「自立した日常生活」と書かれているので
この選択肢は「×」。
5番は、第1項にそのまま書かれているので「〇」。
したがって解答は、2番・3番・5番 になります。
この調子で、どんどん解いていきましょう。
「国民の努力及び義務」として
介護保険法第4条に規定されているものはどれか。3つ選べ。
(2021年:第24回介護支援専門員試験)
選択肢は、コチラ。
- 介護保険事業に要する費用を公平に負担する。
- 加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努める。
- 可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営む。
- 要介護状態となった場合においても、その有する能力の維持向上に努める。
- 認知症に対する理解を深めるよう努める。
第4条は、コチラです。
国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。 国民は、共同連帯の理念に基づき、介護保険事業に要する費用を公平に負担する。
下線部や太字に注目しながら、選択肢を見ていくと正解は容易に導き出せるでしょう。
解答は、1番・2番・4番ですよね。
3番を「どこかに書いてあったなぁ…」と思った人。
鋭いです! 書かれていましたよ。
書かれてはいましたが、第4条ではなく「第2条」に書かれていますので「×」になります。
こういった問題は、ここまで来れば勝ったも同然ですね。
この章の最後の問題にいきましょう。
介護保険法第5条に規定されている
「国及び地方公共団体の責務」として正しいものはどれか。3つ選べ。
(2022年:第25回介護支援専門員試験)
選択肢は、コチラ。
- 国は、保健医療サービスおよび福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策を講じなければならない。
- 国及び地方公共団体は、障害者その他の者の福祉に関する施策との有機的な連携を図るように努めなければならない。
- 都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない。
- 市町村は、要介護者等の医療に要する費用の適正化を図るための施策を実施しなければならない。
- 市町村は、地域において医療及び介護が総合的に確保されるよう指針を定めなければならない。
第5条は、コチラ。
1 国は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない。 2 都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない。 3 国及び地方公共団体は、被保険者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止のための施策並びに地域における自立した日常生活の支援のための施策を、医療及び居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう努めなければならない。 4 国及び地方公共団体は、前項の規定により同項に掲げる施策を包括的に推進するに当たっては、障害者その他の者の福祉に関する施策との有機的な連携を図るよう努めるとともに、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現に資するよう努めなければならない。
下線部や太字に注目しながら選択肢を見ていきましょう。
1番は、第1項の中盤辺りから書かれているので「〇」。
2番は、第4項の2行目に書かれているので「〇」。
3番は、第2項の全文に書かれているので「〇」。
4番と5番の「市町村」は、地方公共団体の中の1つになりますが
選択肢の文言については条文には書かれていないので「×」。
したがって、解答は1番・2番・3番が正解になります。
介護保険法の条文についての問題を解くカギは「条文にそのまま書かれているかどうか」です。
決してニュアンスで捉えるのではなく、条文そのままに注視して取り組んでください。
こういった感じで進めていきますので、次の章以降もしっかりと活用して行ってくださいね。
指定居宅介護支援について
「指定居宅介護支援」という文言で始まる問題も頻繁に出題されています(居宅介護支援は「ケアマネジメントを行う事業者(事業所)」を指すので当たり前といえばそうなのですが)
結構問題数も多いので、1つでも落とすと結果に影響大…
この機会に、しっかりと押さえておくことをお勧めします。
この類の問題を解くカギは、介護保険法の中に在る「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」というものになるのですが、条文だけでも31あり、細かな項目や附則なども含めると100近くに上るので読んでいるだけで目まいが…
すべての条文や項目などを覚えるのは至難の業なので、筆者が過去に出題されたものの中でポイントになるものをまとめておきました。
〇指定居宅介護支援(事業者・事業所)とは、都道府県知事の指定を受け、在宅(居宅)の利用者が介護保険によるサービスを適切に利用するために必要なアセスメントやケアプランを作成し、利用者の状態の変化に応じて各サービス事業者との連絡調整などを行う機関のことである。 〇事業所においては、1名以上の常勤の介護支援専門員を置き、利用者数35名ごとに1名を新たに置かなければならない。 〇管理者は、常勤専従の主任介護支援専門員。 普通の介護支援専門員でも管理者になれるが、以下の条件がある。 1.主任介護支援専門員の確保が著しく困難など「やむを得ない理由」がある場合 2.主任でありながらケアマネジメント業務を行う場合、同じ敷地内の他の事業所の仕事を「事業所管理に支障のない程度」にする。 である。
〇運営について 1.アセスメントやケアプラン作成、居宅サービス事業者の選定、要介護認定申請の代行や補助、医療サービスとの連携や各サービス事業所との連絡調整などにおいて、利用者又は家族への説明の上、同意を得なければならない。 2.従業者の健康管理や感染症予防、まん延防止の措置 3.秘密保持 4.特定の居宅サービス事業所の利益収受の禁止 5.苦情処理、事故発生時の対応、虐待防止 6.会計区分(居宅介護支援単体での会計) 7.アセスメントやケアプランなどの記録の管理(2年間保持)
こんな感じです。
これらを踏まえながら解説をしていきますが、その方法については選択肢のすぐ下に関連する条文を示す形で行っていきますので、復習などがやりやすいと考えます。どうぞ活用してくださいね。
では早速、過去問を使って勉強していきましょう!
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
第13条の具体的取扱方針のうち介護支援専門員に係るものとして
正しいものはどれか。3つ選べ。
1.要介護認定を受けている利用者が要支援認定を受けたときは、指定介護予防支援事業者と当該利用者に係る必要な情報を提供する等の連携を図るものとする。
2.被保険者証に認定審査会意見の記載があるときは、利用者の理解を得た上で、その内容に沿って居宅サービス計画を作成しなければならない。
3.継続して居宅サービス計画に福祉用具貸与を位置付けるときは、貸与が必要な理由を記載しなくてもよい。
4.居宅サービス計画に地域ケア会議で定めた回数以上の訪問介護を位置付けるときは、それが必要な理由を居宅サービス計画に記載しなければならない。
5.利用者が通所リハビリテーションの利用を希望しているときは、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならない。
2020年:第23回介護支援専門員試験
第13条において「介護支援専門員は」で始まる項目は3項~25項まで。
その項目の中に選択肢の文言が「そのまま」書かれていれば「〇」、「まるっきり書かれていない」、条文にはあっても「条文とは違った内容が書かれている」場合は「×」ということを頭に入れておいてくださいね。
では、1番から見ていきましょう。
1.要介護認定を受けている利用者が要支援認定を受けたときは、指定介護予防支援事業者と当該利用者に係る必要な情報を提供する等の連携を図るものとする。
この内容については、25項を見ていくといいでしょう。
25項 介護支援専門員は、要介護認定を受けている利用者が要支援認定を受けた場合には、指定介護予防支援事業者と当該利用者に係る必要な情報を提供する等の連携を図るものとする。
→ そのまま書かれていますね、よって「〇」です。
続いて2番。
2.被保険者証に認定審査会意見の記載があるときは、利用者の理解を得た上でその内容 に沿って居宅サービス計画を作成しなければならない。
この内容については、24項にあります。
24項 介護支援専門員は、利用者が提示する被保険者証に、法第七十三条第二項に規定する認定審査会意見又は法第三十七条第一項の規定による指定に係る居宅サービス若しくは地域密着型サービスの種類についての記載がある場合には、利用者にその趣旨(同条第一項の規定による指定に係る居宅サービス若しくは地域密着型サービスの種類については、その変更の申請ができることを含む。)を説明し、理解を得た上で、その内容に沿って居宅サービス計画を作成しなければならない。
→ こちらもそのまま書かれているので「〇」。
どんどん見ていきましょう。3番です。
3.継続して居宅サービス計画に福祉用具貸与を位置付けるときは、貸与が必要な理由を記載しなくてもよい。
この内容については、22項。
22項 介護支援専門員は、居宅サービス計画に福祉用具貸与を位置付ける場合<中略>継続して福祉用具貸与を受ける必要がある場合にはその理由を居宅サービス計画に記載しなければならない。
→途中まではいいのですが、後半部分は条文と選択肢では
書かれている内容が真逆なので「×」になります。
続いて、4番を見ていきましょう。
4.居宅サービス計画に地域ケア会議で定めた回数以上の訪問介護を位置付けるときは、それが必要な理由を居宅サービス計画に記載しなければならない。
→条文にも書かれておらず、サービスの位置づけを行う際に開催されるのは
地域ケア会議ではなくサービス担当者会議なので、この選択肢は「×」。
最後、5番。
5.利用者が通所リハビリテーションの利用を希望しているときは、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならない。
この内容については、19項を見ていくと良いでしょう。
19項 介護支援専門員は、利用者が訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスの利用を希望している場合その他必要な場合には、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならない。
→ そのまま書かれているので「〇」ですよね。
したがって解答は、1番・2番・5番になります。
では、次の問題を解いていきましょう。
指定居宅介護支援におけるサービス担当者会議について
適切なものはどれか。3つ選べ。
1.家庭内暴力がある場合には、必ずしも利用者や家族の参加を求めるものではない。
2.開催の日程調整を行ったが、サービス担当者の事由により参加が得られなかったときは、サービス担当者への照会等により意見を求めることができる。
3.末期の悪性腫瘍の利用者について、日常生活上の障害が1か月以内に出現すると主治の医師が判断した場合には、その助言を得た上で、サービス担当者への照会等により意見を求めることができる。
4.サービス担当者会議の記録は、要介護認定の有効期間に合わせて最長3年間保存しなければならない。
5.要介護更新認定の結果、要介護状態区分に変更がなかった場合には、サービス担当者会議を開催する必要はない。
2020年:第23回介護支援専門員試験
この問題についての解説は、先に条文を示してから選択肢を1つずつ見ていきたいと考えます。
サービス担当者会議に関する文言が書かれているのは
「第13条の9項と15項」、「第23条の3項」の3ヵ所。
まずは、その条文をご覧ください。
9項 介護支援専門員は、サービス担当者会議(介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を招集して行う会議<中略>の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)の心身の状況等により、主治の医師又は歯科医師(以下この条において「主治の医師等」という。)の意見を勘案して必要と認める場合その他のやむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。
15項 介護支援専門員は、次に掲げる場合においては、サービス担当者会議の開催により、居宅サービス計画の変更の必要性について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。 イ 要介護認定を受けている利用者が法第二十八条第二項に規定する要介護更新認定を受けた場合ロ 要介護認定を受けている利用者が法第二十九条第一項に規定する要介護状態区分の変更の認定を受けた場合
23項 3 指定居宅介護支援事業者は、サービス担当者会議等において、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ておかなければならない。
では、条文(項目)を踏まえて選択肢を見ていきましょう。
1. 家庭内暴力がある場合には、必ずしも利用者や家族の参加を求めるものではない。
→これについては、9項の最後の方にある「やむを得ない理由」に該当するものと考えられるので「○」になります。
※家庭内暴力があるのに一堂に会するのは、かなり危険ではないでしょうか…
2. 開催の日程調整を行ったが、サービス担当者の事由により参加が得られなかったときは、サービス担当者への照会等により意見を求めることができる。
→これについては、9項と15項に関連する文言が書かれているので「○」。
3. 末期の悪性腫瘍の利用者について、日常生活上の障害が1か月以内に出現すると主治の医師が判断した場合には、その助言を得た上で、サービス担当者への照会等により意見を求めることができる。
→これについては、9項の後半部分「ただし」の後からの文言が該当するので「○」になります。
4.サービス担当者会議の記録は、要介護認定の有効期間に合わせて最長3年間保存しなければならない。
→原則2年、最長であれば5年間保存しなければならないので「×」。
5.要介護更新認定の結果、要介護状態区分に変更がなかった場合には、サービス担当者会議を開催する必要はない。
→これについては、15項に書かれていますが、イの部分において選択肢とは逆になっています。認定が変わらなくても「更新」されれば開催義務が生じるので、こちらは「×」。
したがって解答は、1番・2番・3番になります。
条文や項目について覚えられなくても、ポイントを押さえておくことで解答を導きやすくなることに加えて、ここで筆者がやっていたこととして「選択肢の最後のフレーズを逆にして違和感があれば「×」」といった考え方をしていけば、自ずと点数が取れるのではないでしょうか。
こういった形で、今後も進めていきますね。
介護保険制度改正について
制度改正に関する問題については、改正年度に係っていれば出題される傾向になると筆者は考えています(2020年に改正されていますので、2023年は改正年!今年に限って言えば必ず出題されるといってもいいでしょう)
ここでは、過去3回において改正されている主な内容について
先に押さえておきながら過去問を解いていくことにしましょう。
では、介護保険制度改正(過去3回分)の主なポイントをまとめたものをご覧ください。
平成27年度(平成26年改正) 地域支援・総合事業の開始に伴い、要支援者が利用する「訪問介護」と「通所介護」がこの事業に移行(サービス基準などは市町村が規定) 利用負担割合、上限額の引き上げ(自己負担1割→所得に応じて2割) 特別養護老人ホーム入所要件「要介護3以上」
平成30年度(平成29年改正) ・地域包括ケアシステムの構築・推進へ向けた取り組みの開始 (全市町村が保険者機能を発揮し、自立支援・重度化防止への取り組み、仕組みを制度化) ・年金を含む世帯所得(単身:340万円以上、2人以上463万円以上)→自己負担3割 ・要介護認定最長期間:24ヶ月→36ヶ月 ・総報酬割の導入(第2号被保険者において所得に応じた保険料負担) ・介護医療院設立 ・共生型サービス導入(障がい者においては65歳を過ぎても従来のサービスを併用して利用可能)
令和 3年度(令和 2年改正) 感染症や災害への対応力強化 地域包括ケアシステムの推進 自立支援・重度化防止 介護人材の確保・介護現場の革新 制度の安定化・持続可能性の確保
これらを踏まえて、過去問を解いていきましょう。
2017(平成29)年の介護保険制度改正について
正しいものはどれか。3つ選べ。
2020年:第23回介護支援専門員試験
選択肢は、コチラ。
1 .改正の趣旨は、地域包括ケアシステムの強化である。
2 .共生型居宅介護支援を創設した。
3 .市町村介護保険事業計画に、自立支援、介護予防・重度化防止等への取組を記載することとした。
4. 施設サービスとして、介護医療院サービスを追加した。
5 .第1号被保険者の保険料に総報酬割を導入した。
制度改正の内容をみると3番と4番は「○」、2番と5番が「×」であることは分かりますよね。
選択肢の中で悩ましいのが1番の「地域包括ケアシステムの【強化】」という言葉。
改正内容から見ると【推進】と書かれていて、言葉のチョイスの問題だけで意味合い的には同じと考えられ、1番は「○」ということになるでしょう。
シックリこない人もいるでしょうけれど、この問題の場合〇と×がはっきりと分かれていて導き出す正解は3つであることを考えると、言葉が違っていても他に「明確に違った言葉や表現の選択肢が2つある」ので、正解へと辿り着くことができるのではないでしょうか。
ただ、「正解を2つ選べ」とした場合は「推進と強化では言葉的に違和感がある」ので「×」とするのが正しいと筆者は考えます。紛らわしい表現は受験者を混乱させ、合格後の実務においても支障をきたすことがあるので、出題する側も配慮が必要ですよね。
介護保険制度における国、都道府県、市町村の役割について
介護保険制度における国(政府)、都道府県、市(区)町村の役割<事務>についてもよく出題されています。最近では大きな事務のみならず、役割の中の細かな部分においての出題も増えて来ていますので注意が必要です。
出題の文言だけを変えて混乱させるものもあるので、しっかりと押さえておきましょう!
まずはオーソドックスに、この過去問から。
介護保険制度における都道府県の事務として正しいものはどれか。
2つ選べ。
2020年:第23回介護支援専門員試験
選択肢は、コチラ。
1.財政安定化基金の設置
2.地域支援事業支援交付金の交付
3.第2号被保険者負担率の設定
4.介護保険審査会の設置
5.介護給付費等審査委員会の設置
介護保険制度における都道府県の役割<事務>とは、概ね以下の通りです。
☆都道府県が条例で定めるもの(事務) ①要介護認定・要支援認定の支援に関する業務。 ②保険者の財源にかかる定率負担、財政安定化基金の設置などの財政支援。 ③事業者・施設に関する業務 ④介護サービス情報の公表に関する業務。 ⑤介護支援専門員に関する業務。 ・介護保険審査会の設置と運営 ・介護給付費に対する負担 ・ケアマネージャーの試験、登録、研修など ⑥介護サービス基盤の整備に関する業務。
制度における事務内容を踏まえ、あらためて選択肢を見てみると
1番と4番がそのまま該当していますよね。よって解答は1番・4番が正解です。
※ちなみに他の選択肢も解説すると、2番については「市町村」、3番については「国(政府)」、5番については「国保連(国民健康保険団体連合会)」が実施主体であり、その事務を行っています。
では、次の過去問を一緒に解いてみましょう。
(この問題は、筆者が体験した中でもかなりややこしい問題です…)
介護保険法において市町村が条例で定めること
とされている事項として正しいものはどれか。
3つ選べ。
2021年:第24回介護支援専門員試験
選択肢は、コチラ。
1.保健福祉事業
2.区分支給限度基準額の上乗せ
3.市町村特別給付
4.指定介護老人福祉施設に係る入所定員の人数
5.地域包括支援センターの職員の員数
市(区)町村が条例で定めることは、以下の通り。
市(区)町村が行う役割<事務> ①介護認定審査会の委員の定数、任期 ②地域密着型介護老人福祉施設の入所定員(29人以下) ③地域包括支援センターの設置・運営基準 ④第1号被保険者に対する保険料率 ⑤普通徴収にかかる保険料の納期 ⑥保険料の減免または徴収猶予その他保険料の賦課徴収等に関する事項 ⑦過料に関する事項 ⑧地域密着型サービス(共生型サービスを含む)、居宅介護支援、基準該当居宅介護支援、介護予防支援、基準該当介護予防支援の指定基準 ⑨区分支給限度額の上乗せ ⑩種類支給限度基準額の設定 ⑪福祉用具購入費支給限度基準の上乗せ ⑫住宅改修支給限度基準の上乗せ ⑬市町村特別給付 ⑭保健福祉事業
制度における事務内容を踏まえ、あらためて選択肢を見てみると
2番と3番はそのまま該当しているので「○」ですよね。
4番については指定介護老人福祉施設ではなく地域密着型介護老人福祉施設なので「×」。
残った選択肢は1番と5番。
先にお伝えすると、5番が正解になります。
どうしてか?
先に正解である5番の解説からいきますね。
事務内容にある「地域包括支援センターの設置・運営基準」の中には「人員基準」も含まれているため、人員の員数を条例で定めるのは市(区)町村の事務に該当する。ということになります。したがって5番は「○」。
事務内容にも入っているのになぜ1番が「×」になるのか?
ここが最大の疑問になるでしょう。筆者も悩ましさMAXです…
しかしながら悩ましく思っていても先に進まないので
保健福祉事業の定義を見ていくことにしましょう。
保健福祉事業とはどんなものなのか?
ネットなどで検索すると
第1号保険料を財源に 市町村が独自に条例で定めて実施するサービスです。 要介護・要支援認定者だけではなく 被保険者全体を対象として行われるものです
とあり「○」としたいところなのですが
介護保険法115条の49項を見てみると、こんな風に記されています。
「市町村は、地域支援事業のほか、要介護被保険者を現に介護する者の支援のために必要な事業、被保険者が要介護状態等となることを予防するために必要な事業、指定居宅サービス及び指定居宅介護支援事業並びに介護保険施設の運営その他保険給付のために必要な事業、被保険者が利用する介護給付等対象のための費用に係る資金の貸付けその他の必要な事業を行うことができる。」
となっていて「条例に定める」旨が条文のどこにも書かれていないので「×」ということになるのです。理由としては、市町村が保健福祉事業を行うか否かは「任意」であり、実際に事業を行う前には「条例で定める」ということのようです。
何ともややこしい問題ですよね…
しかしながら、この「介護支援分野」で出題される法令に基づく問題についての基本は「条文に書かれているのかどうか」になることが、この問題を通しても裏付けられたのではないでしょうか。
こういった感じで、後半においてもしっかりとサポートしていきますので、一緒に勉強していきましょう!
要介護認定について
ケアマネジャーの基本的な実務は「ケアマネジメント」、「ケアプランの作成」であることは周知のことでしょうけれど、個々の被保険者の個性や残存機能などにより、その内容は似て非なるものになることは言うまでもありませんが、被保険者の「要介護度」によってもその内容は様々なものになります。
要介護認定の仕組みについて知っておくのもケアマネジャーとして重要なことになりますから、出題頻度は高いですし、制度改正年に当たる場合はなおのこと勉強しておく必要があると筆者は考えます。過去問をしっかり解いて、自分のものにしておいてくださいね。
問題
要介護認定の認定調査について正しいものはどれか。3つ選べ。
2021年:第24回介護支援専門員試験
選択肢は、コチラ。
1. 認定調査は、介護保険法に基づき都道府県に委託することができる。
2. 新規認定の調査は、市町村の担当職員が行う。
3. 更新認定の調査は、介護支援専門員に委託することができる。
4. 被保険者が正当な理由なく認定調査に応じない場合には、市町村は申請を却下することができる。
5. 要介護認定の申請後、認定調査の前に受けた介護サービスは、保険給付の対象にならない。
出題内容に該当する「要介護認定の仕組み」を記しておきますね。
要介護認定調査は、市(区)町村の職員(認定調査員)、市(区)町村が委託した指定居宅介護支援事業者または介護保険施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型医療施設、介護医療院)に所属する介護支援専門員(ケアマネジャー)が調査を行います。 新規の介護認定調査の場合、市区町村職員や事業受託をした法人職員が行い、介護認定を更新や区分変更を行う場合は市区町村職員や法人職員のほか、介護事業者やケアマネジャー(介護支援専門員)が調査します。 なお、正当な理由なしに規定による調査に応じないとき、規定による診断命令に従わないときは、申請を却下することができます。
この内容を踏まえて選択肢を見ていきましょう。
1番は、「市(区)町村ならびに委託された指定居宅介護支援事業所」なので「×」
2番と3番は、そのまま書かれているので「○」
4番も、そのまま書かれているので「○」になりますが、過去の出題において「申請を却下しなければならない」といった文言になっていたことがあるので要注意です!(その場合は「×」になります)
5番は、認定調査前ではなく「要介護認定申請前」になるので「×」
したがって解答は、2番・3番・4番になります。
次は、要介護認定の「更新」に関する問題です。
問題
要介護認定の更新認定について正しいものはどれか。2つ選べ。
2021年:第24回介護支援専門員試験
選択肢は、コチラ。
1. 更新認定の申請ができるのは、原則として、有効期間満了の日の30日前からである。
2. 被保険者は、地域包括支援センターに更新認定の申請手続きを代わって行わせることができる。
3. 更新認定の調査は、介護保険施設に委託できない。
4. 更新認定の有効期間は、原則として12月間である。
5. 更新認定の効力は、更新のための認定調査を受けた日から生じる。
今度は問題の捉え方が分かるように、選択肢の中でチェックする文言に下線を引いてみました。
それでは、出題内容に該当する「要介護認定の仕組み」を記しておきますね。
介護保険の更新手続きは要介護認定の有効期間の最終日の60日前から最終日まで。 介護保険の更新手続きは基本的には介護保険サービスの利用者又はその家族が実施しますが、もし自分で申請を行えない場合は担当のケアマネージャーや地域包括支援センターなど職員が代行申請することも可能です。 また、介護サービス事業者においても「申請代行サービス」などの形で介護保険の更新手続きを代行している場合もあるのでそういったサービスを利用するのも一つの手です。
認定方法 | 期 間 |
新規認定の場合 | 原則として6ヶ月 ※3~12ヶ月の範囲内で市区町村が定める。 |
更新認定の場合 | 原則として12ヶ月 ※要介護は3~36ヶ月、要支援は3~12ヶ月の範囲内で市区町村が定める |
区分変更の場合 | 原則として6ヶ月 ※3~12ヶ月の範囲内で市区町村が定める。 |
これらを踏まえて選択肢を見ていきましょう。
1番は、有効期限について30日前と書かれており、正しくは60日前なので「×」
2番は、地域包括支援センターも代行申請できるので「○」
3番は、さっき問題を解きましたよね(^-^)
更新認定の調査は、介護保険施設のケアマネジャーも委託を受けて行えるので「×」
4番は、認定方法の図を見てもらえると分かるように「○」
5番は、認定調査を受けた日ではなく「申請をした日」からになるので「×」
したがって解答は、2番と4番になります。
こういった感じで、最後の章も分かりやすく解説していきますね。
ケアマネジャー(介護支援専門員)の役割について
※準備中
まとめ
今回は、【実録】介護の本質chから
【ケアマネ試験】過去問から気になる問題を現役ケアマネジャーが徹底解説!
一発合格への勉強法をお伝えします と題してお送りしました。
ケアマネ試験の前年度の合格率は19.0%であり
過去5年間においても平均2割弱の「狭き門」ではありますが
この勉強法を活用することで、その狭き門を見事に突破し
1人でも多くの仲間と一緒に支援活動を行えることを願っています。
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