今回【実録】介護の本質chからは
【第27回ケアマネ試験】
解答速報と難易度、合格ラインなどを現役ケアマネが徹底解説!
と題してお伝えします。
この記事では、令和6年10月13日に行われた「第27回ケアマネ試験」(正式名称:介護支援専門員実務研修受講試験)においての解答速報を見ながら、実際に出題された問題の中で「選択肢に迷った」や「意味が解らなかった」などといった「気になる問題」について現役ケアマネジャーである筆者が徹底解説していきます。
後半の方では、今回の試験の難易度や合格ライン、予想される合格率などについてもお伝えしますので、どうぞ最後までご覧ください。それでは始めていきますね!
第27回ケアマネ試験・解答速報ならびに「気になる問題」の解説
それでは早速「解答速報」からご覧いただきますが、これに先立っての注意点がありますので、まずはコチラを確認しておいてくださいね。
この記事において記載されている解答速報については
介護福祉各社サイトが掲示しているものをベースとして
筆者が実際に問題を解いて導き出したものと整合したものです。
あくまでも「速報」ですので
正式な解答ではないことを予めお伝えしておきます。
解答内容に関する問い合わせなどについては
お答えできない旨ご了承の上でご覧くださいませ。
各分野においての「解答速報」をご覧いただいた後
「気になる問題」を解説していく流れになりますので
決して終わったことにせず、しっかりと復習して行ってくださいね。
介護支援分野(全25問):解答速報
まずは「介護支援分野」の解答速報からお伝えします。
現時点での正答は、コチラです!
問題1 | 問題2 | 問題3 | 問題4 | 問題5 |
2,3,4 | 3,4 | 2,3 | 2,4 | 1,3 |
問題6 | 問題7 | 問題8 | 問題9 | 問題10 |
1,2,4 | 1,3,5 | 1,4,5 | 1,5 | 1,2,4 |
問題11 | 問題12 | 問題13 | 問題14 | 問題15 |
2,3,5 | 1,3,4 | 2,3,4 | 4,5 | 2,5 |
問題16 | 問題17 | 問題18 | 問題19 | 問題20 |
1,3 | 1,2,5 | 1,3 | 1,2,3 | 1,2,5 |
問題21 | 問題22 | 問題23 | 問題24 | 問題25 |
1,4,5 | 1,4,5 | 1,3,4 | 2,4 | 2,3,5 |
介護支援分野(全25問):気になる問題の解説
では、この分野において皆さんが「ちょっと難しかった」、「よく分からなかった」、筆者も実際に解いてみて「???」だった「気になる問題」をいくつか取り上げ、解説していきたいと考えます。
気になる問題としては5つ。
具体的には問題1、問題3、問題6、問題15、問題18です。
それでは解説していきますね。
1問目ということもあり「老老介護」、「ダブルケア」、「ヤングケアラー」といった言葉が登場していますので、緊張のあまりその文言だけで「○」と判断してしまいがちですが、落ち着いて問題をよく読むと正解を導きやすいと考えられます。
1番。確かに「老老介護」は近年話題となっていますが”減少ではなく増加”しているので「×」。
2番と3番は、社会福祉法の改正によって創設された”重層的支援体制整備事業”においての課題になっているので、ともに「○」。
残ったのは4番と5番。正解はどちらか?
4番は、制度としては1999年より法制化され、段階を経て取得範囲を拡大させているので「○」。
5番は、減少傾向はみられず、少なからず増加傾向にあるので「×」。
したがって正解は、2番・3番・4番になります。
この問題は、大手各社の解答において見解が分かれているのですが、近年の社会情勢などをイメージし、選択肢の末尾の言葉を見てみると、必ず気持ちの中で引っかかる部分がありますから、その”引っかかり”を大事にしながら問題を解いていくと、正解に辿り着くことができるでしょう。
では、次の「気になる問題」の解説です。
「医療保険者の事務」については、大きく3つあります。
- 第二号被保険者の介護保険料の徴収
- 第二号被保険者の保険料の算定
- 社会保険診療報酬支払基金に対する介護給付費・地域支援事業交付金の納付
これが分かっていれば答えは容易に導き出せますよね。
2番と3番が正解になります。
医療保険者なので、介護保険では40歳以上64歳までで特定疾患を患っている人が対象になり、この方々は「第二号被保険者」にあたるので、おのずと1番は「×」ということが分かるでしょう。
4番と5番は、交付ではなく納付なので「×」になります。
どんどんいきます。次の問題!
区分支給限度基準額が適用されるサービスは全部で17あり、施設サービスに当たるものや居宅療養管理指導は対象外とされていることを理解し、選択肢を見ていくと正解は、1番・2番・4番になります。
次の問題の解説に行きますね。
「介護認定審査会」と勘違いしてしまう”ケアレスミス”が多発する問題として取り上げました。
介護認定審査会は市町村に設置され、文字通り”要介護認定について審査・判定する”機関なのに対し、介護保険審査会は都道府県に設置され、介護保険における保険給付および要介護認定に関わる”行政処分”に対する「不服申し立ての審理・裁決」を行う第三者機関になります。
このことを踏まえ、選択肢をみていくと1番、3番、4番が「×」であることが分かるので、正解は2番と5番ということになるでしょう
ほぼ毎回出題される「要介護認定」問題ですが、今回は比較的分かりやすかったように感じます。
要介護認定等基準時間は、1分間タイムスタディにおけるデータを基に割り出された時間であり、認定を受ける人が”1日当たりどれだけの介護の手間を要するのか?”をコンピューターが算出し、その値によって介護度が判定される。これが「一次判定」の仕組みになります。
あくまでもコンピューターが算出した時間なので、実際行われている介護時間とは少なからず違っているので、認定が下りた際に「え⁈」と感じる人も多くいるのは否めないのが実情です…
これを踏まえ、選択肢を見ていくと1番は「○」で、2番は「×」だと分かりますよね。
残りの選択肢を解説すると、3番は「要介護認定調査」のことを指していて、74項目の調査を全国一律の内容で行うことから「○」。4番は都道府県が行わないといけないものではないので「×」。5番は一次判定はあくまでも「仮判定」なので、正式な判定前に告知すると混乱を招く恐れがあり「×」。
よって正解は、1番と3番になります。
以上、介護支援分野での「気になる問題」の解説でした。
解説はこんな感じで進めていきますので、この後もよろしくお願いいたします。
保健医療・福祉サービス分野(全35問):解答速報
続いて「保健医療・福祉サービス分野」の解答速報をお伝えします。
ここでの点数差が合否を左右すると言っても過言ではありません。
現時点での正答は、コチラです!
【保健医療サービス分野】(20問)
問題26 | 問題27 | 問題28 | 問題29 | 問題30 |
1,2,4 | 1,2,3 | 1,4,5 | 1,2,5 | 1,3,5 |
問題31 | 問題32 | 問題33 | 問題34 | 問題35 |
1,3,5 | 1,3,5 | 1,2,4 | 1,3,4 | 1,3,4 |
問題36 | 問題37 | 問題38 | 問題39 | 問題40 |
1,2,5 | 1,2,3 | 2,4,5 | 3,4 | 2,3,4 |
問題41 | 問題42 | 問題43 | 問題44 | 問題45 |
1,2,3 | 2,5 | 1,5 | 1,3,5 | 2,3,4 |
【福祉サービス分野】(15問)
問題46 | 問題47 | 問題48 | 問題49 | 問題50 |
2,3,4 | 1,3,4 | 1,3,5 | 2,3,4 | 2,3,5 |
問題51 | 問題52 | 問題53 | 問題54 | 問題55 |
2,4,5 | 1,3,4 | 3,4,5 | 1,2,5 | 1,3 |
問題56 | 問題57 | 問題58 | 問題59 | 問題60 |
1,3,5 | 2,4,5 | 1,4,5 | 2,3,5 | 2,3,4 |
保健医療・福祉サービス分野(全35問):気になる問題の解説
今回の出題については前回、前々回と比較して介護保険サービスに関する設問が多かったように感じました。ある意味「知っているかどうか」がカギになりましたね。
では先程のように、この分野において皆さんが「ちょっと難しかった」、「よく分からなかった」、筆者も実際に解いてみて「???」だった「気になる問題」をいくつか取り上げ、解説していきたいと考えます。
気になる問題としては5つ。
具体的には問題31、問題34、問題43、問題48、問題59です。
それでは解説していますね。
利用者の入院後におけるケアマネの支援活動について問われていますが、関係機関との連携を密にすることによって、利用者において「途切れない」生活を支援する目的を持った”介護支援専門員の役割”についてしっかりと理解していれば、自ずと正解に辿り着くでしょう。
この「途切れない生活」を支援するということを踏まえて選択肢を見ていくと、1番は「入院中から退院後に向けた準備」を行うことは正しいので「○」。5番は「退院後の状況を入院していた病院に報告」することで、再入院の際に役立つため「○」になります。
後は”介護支援専門員の役割”を踏まえて考えると、3番が「○」であることが分かり、1番・3番・5番が正解になります。利用者や家族が出席できないカンファレンスなどナンセンスであり、介護支援専門員は「公正中立」な立場であることを考えると、2番と4番は「×」であることは明白ですよね。
この問題は、実務に直結するものなので正解しておかないと後々しんどいですよ…
まず1番と4番は、ある意味「感染予防の基本」になるので「○」。2番は「毎年」ではなく「1回目接種後、可能であれば5年以上経過してから2回目を接種する」ので「×」。5番は「エタノール」ではなく「次亜塩素酸ナトリウム」や「加熱処理」が適切なので「×」。
よって正解は、1番・3番・4番になります。
こういった問題においては「肺炎球菌ワクチン」・「毎年1回」や「結核の初期症状」・「食欲不振」云々、「ノロウイルス」・「低濃度のエタノール」といった言葉に着目すると正誤を判断しやすいと筆者は考えます。
訪問介護員、訪問看護師が要介護者の自宅を定期訪問し、短時間の身体介護を中心とした介護サービスや健康管理、診療サポートなどを提供する24時間対応のサービスが「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」です。主治医の指示書が必要で、必要に応じて訪問しますが、緊急時は対応してくれます。
これらのことを踏まえ、選択肢を見ていくと
2番、3番、4番が「×」だと分かるので、正解は1番と5番になります。
まず極端な言葉のある2番から見ていくと、警察に介入を依頼するよりも地域包括支援センターや社会福祉協議会、市区町村職員などに相談する方が先ですよね。よって「×」。
4番の「セルフ・ネグレクト」とは、自らの意思で「食事を摂らない」や「風呂に入らない」、「台体調が悪くても病院に行かない」といった”自己放任”を指していて、配偶者からの虐待は単なるDVにあたるので「×」。
よって正解は1番・3番・5番になります。
”介護支援はチームアプローチによって成り立っている”
という視点から選択肢を見ていくと分かりやすいでしょう。
認知症高齢者の増加に伴い、近年益々注目されている「成年後見制度」についての問題ですが、これは正に「知っているか知らないか」の類になります。
正誤が分かりやすいものから解説すると、1番は親族も後見人になることができるので「×」。4番の身上保護(身上監護)とは本人の生活や健康、療養に関する法律行為(入退院手続きや施設入所などの契約)を意味しているので「×」になります。
あら…答えが出ちゃいましたね。
正解は2番・3番・5番になります。
第27回ケアマネ試験・難易度は?合格ラインは?予想される合格率などを大胆予測!
今年の試験、難しかったですか?
筆者も実際に問題を解いていて、介護保険制度の枠を超えた多岐にわたる知識が必要になっていることに驚きました。「これだけのことを網羅しておかないといけないの?」といった疑問が自然に湧いてくるような問題もあり、今後、出題内容がより一層難しくなる懸念がありますね…
実務においても「重層的支援」体制の整備を加速させる動きがあり、多角的な視点で事の本質を視ることが重要となっていることを踏まえて考えると、今回の試験の難易度は妥当だったのかもしれないと感じています。
したがって難易度はA~Eで示すと…「C(ふつう)」
合格ラインは「43点~48点の範囲」ではないかと考えます。
※ちなみに筆者は「46点」でした…
合格率については、昨年は21.0%でしたが
今年も良ければ20%超。悪くても18%台後半だと筆者は予測します。
現役ケアマネジャーとして伝えておきますが、今回の試験は今後の介護支援活動において必ず役に立つ時が来ますので、自己採点等で一喜一憂するだけではなく、後日行われる合格発表での合否を問わず、試験問題をしっかりと復習しておくことをお勧めします。
まとめ
今回は【実録】介護の本質chから
【第27回ケアマネ試験】
解答速報と難易度、合格ラインなどを現役ケアマネが徹底解説!
と題してお伝えしました。
試験を受けられた皆さん、本当にお疲れさまでした。
結果はもう「神のみぞ知る」ですので、普段の介護支援活動を続けながら吉報を待ちましょう!
合格発表は、令和6年11月25日(月)。通例からいえば14時になります。
一人でも多くの仲間と共に、支援活動が行えることを筆者は楽しみにしています!
コメント