
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】
BRAND-NEW MUSIC DAYS

毎回、一つの楽曲を徹底考察し、あなたの心に癒しと力をお届けする本シリーズ。
今回は、back numberの楽曲「ブルーアンバー」を考察します!
はじめに

back numberの「ブルーアンバー」は、カンテレ系月10ドラマ『あなたを奪ったその日から』の主題歌として書き下ろされた一曲です。

このドラマは、食品事故で子どもを亡くした母親が、事故を起こした男性の愛娘を誘拐し、復讐を果たそうとする――という衝撃的な展開から始まります。
けれど、そこには思いもよらぬ誤算と、胸を締めつけるような“感情の渦”が潜んでいました。
ドラマの根底に流れる“奪う”と“奪われる”というテーマ、そして復讐と愛の間で揺れる複雑な感情――
それを「ブルーアンバー」は、切実なまでに美しく描き出しています。

本記事では、楽曲「ブルーアンバー」が現代を生きる私たちに何を語りかけているのか、その本質に迫っていきます。
ぜひ最後まで、お付き合いください。
楽曲イメージ

筆者がこの曲を初めて聴いたとき、頭に浮かんだのは「雨に濡れた夜のフロントガラス」の映像でした。

降りしきる雨、油膜で滲んだ視界。
その向こうに、涙を拭わず車を走らせる誰かの姿が重なって見えたのです。
忘れようとしても忘れられない記憶。
胸の奥に押し込めていた感情が、清水依与吏さんの歌声とともに一気にあふれ出す――
そんな情景が浮かびました。
歌詞の意味を徹底考察!

それでは歌詞考察に入ります。
特に印象的なフレーズに注目しながら、歌詞の世界を深掘りしていきますね。
👉 歌詞全文はこちら:https://www.uta-net.com/song/372195/
「赤い雫」と「青い雫」
“抱きしめられた記憶から 流れ出た赤い雫”
“渡しそびれた心から 流れ出た青い雫”
この対比はまるで、「動脈と静脈」あるいは「情熱と慟哭」のようにも読み取れます。

“赤”は、燃えるような愛、あるいは奪われた命への情念や怒り。
“青”は、深い悲しみと静かな絶望。護れなかった悔しさが染み出す涙。
これらの色は、立場が変われば入れ替わるものでもあります。

まさに光と闇は表裏一体であり、人生は“フラッシュの一瞬”で変わる――
そんな無常を「雫の色の違い」に託しているように思えます。
「こんな色になるまで泣いていたんだね」
“こんな色”とは、何色なのか。
泣き続けて、感情の色さえも滲み、薄れ、最後には透明になっていく――
筆者はここに“無色透明”=心の浄化と再生の兆しを感じました。

あらゆる感情が削ぎ落とされ、“本来の自分”に立ち返っていく。
悲しみを繰り返しながらも、そこに小さな希望の光が差し込む。
「ブルーアンバー」が照らすのは、そんな“再生の瞬間”なのかもしれません。
「遠くの海の底に沈んで 宝石にでもなれるのを待つわ」
この“宝石”は、タイトルにもある「ブルーアンバー(青い琥珀)」を指していると考えられます。

ブルーアンバーは、通常の琥珀とは異なり、紫外線に当たると青く輝くという特性を持つ特別な存在。
傷ついた心、押し殺した感情も、いつか誰かの“光”に照らされたとき、美しく輝き始める――
そんな希望のメッセージが込められているのではないでしょうか。
「ごめんね」「綺麗よ」
この言葉は、誰に向けられたものなのでしょうか?
――愛する人を失った自分自身への許し
――大切な存在を護れなかった悔恨
――それでもなお、愛し続ける気持ち
さまざまな解釈が可能ですが、“綺麗よ”という言葉の繰り返しには、怒りや憎しみすら超越した“慈しみ”と“赦し”が感じられます。
制作者の言葉から

ヴォーカル・清水依与吏さんは、本楽曲に込めた思いを次のように語っています:
人間はたくさんの細胞の集合体なので
全ての判断において『全細胞一致の可決』とはいきません。
『強い意思や覚悟』で統率し、行動に移していくわけです。
ですが、その意思や覚悟を生むための肝心な『理由』は、
大半の場合、選べないことが多いと感じます。
『あなたを奪ったその日から』『ブルーアンバー』においても、各々に違った『理由の先の意思や覚悟』があり『行動』があります。
その一つひとつが、あなたの目や耳、記憶や毎日にどんなふうに映り光るのか、確かめてみてください。
――公式コメントより
「選べない理由」があるなかで、それでも人は行動し、何かを選び取っていく。
――そんな“どうしようもなさ”と“それでも進もうとする強さ”
それこそが、「ブルーアンバー」が私たちに語りかけている核心なのかもしれません。
まとめ

今回は、back numberの楽曲「ブルーアンバー」を徹底考察しました。

back numberの「ブルーアンバー」は、一見すると”別れの歌”のようにも聴こえますが、実は、護れなかった命への悔恨、奪われた存在への怒り、そしてその全てを包み込む“愛と赦し”が込められた深い楽曲です。

感情の複雑な交錯を、“青く輝く琥珀”というモチーフに託して、優しく、静かに、語りかけてくる――
似たような悲しみを経験した人にとっては、なおさら心に染み渡る楽曲ではないでしょうか。

涙の果てに見える“蒼天”の光――
それは、憎しみではなく、赦しと再生に向かおうとする、心の希望なのかもしれません。
back numberの他の楽曲考察もどうぞ
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは、この他にも彼らの楽曲を考察しています。
back numberの音楽世界をより深く味わいたい方は、ぜひ他の記事もご覧ください。
コメント