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【愛してる】介護ブログドラマ「Pure Smile~祐二と智子のアイノカタチ」第8話

ノンフィクションドラマシアター
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第8話:愛してる

秘密の旅行を終えてから2ヶ月後の10月。

祐二と智子が従事する施設では、秋のイベント「運動会」が終わり、慌ただしさも一段落。

そんな中、祐二は「あるもの」の製作に取り掛かっていた。

それは… 

もうすぐ誕生日を迎える智子への「プレゼント」である。

仕事が終わり、家に帰ると部屋にこもって製作活動をすることが、祐二の日課になっていた。

しかし、智子のことを想い過ぎるせいか、なかなかうまく行かない…

祐二
祐二

あーーーーダメ!

全然ダメだ~…

こんなんじゃ間に合わないよ…

 (何をそんなに一所懸命作っているのかって? それは後で分かります。

 
そんなある日のこと。

智子
智子

今度また連休があるでしょう?

シフトを見たら、武田くんも

私も休みになってた!

祐二
祐二

そうなんだよ。

またどこかへ遊びに行こうか?

智子
智子

うん!

祐二
祐二

どこがいい?

智子
智子

前は私のわがままを聞いてくれたから

今度は武田くんの行きたい所がいい。

祐二
祐二

じゃあ…

キャンプなんかどう?

滝川村っていう所にキャンプ場が

あるんだけど、一度行ってみたかったんだ。

智子
智子

私もキャンプはしてみたかったけど…

でも…今、10月下旬よ。寒くない?

祐二
祐二

大丈夫!

そのキャンプ場には

バンガローもあるんだよ。

そこを予約しておけば寒くない。

智子
智子

うん!

家に帰ると、また「製作活動」…

祐二
祐二

あーーーーダメダメ‼

どうしよう…

もう旅行は明日なのに…

あまりの大声で、母が起きて来てしまった。

母

祐二。

こんな時間に何してんだい。

祐二
祐二

お母さん、ごめん!

起こしちゃったね…

母

夜中にでっかい声張り上げてりゃ

誰だって起きるよ。

祐二
祐二

分かった。

もうちょっとしたら寝るよ。

母

明日早いんだろ?

無理すんじゃないよ。

祐二
祐二

分かってるって!

母

なんだい!

人が心配して言ってるのに…

いい歳なんだから

もっと素直になりな。

祐二
祐二

はいはい。分かった分かった…

いいから寝てください。

おやすみ。

母をむりやり部屋から出して、祐二は再び『製作活動』に。

しかし、いくらやっても『いいもの』ができない。

代わりのものを用意する時間もない…

八方塞の状況の中  ん?  

祐二の頭の中で、さっきの母の一言が引っかかった。

『もっと素直になりな』

『素直』‥‥‥

これだ!

祐二の中で、何かが弾けた。 時間は午前3時を過ぎていた。

 
当日の朝10時に智子を迎え、2人は一路「滝川村キャンプ場」へ。

智子
智子

大丈夫?

昨日、寝てないんじゃない?

祐二
祐二

まあ…

智子と旅行するって思うと

気分が高ぶっちゃって…

心配させまいとすることが、返って智子を心配させる。

前の旅行の時もそうだった。

『素直に』…

祐二
祐二

実は

智子の誕生日プレゼントを作っていて

寝不足なんだぁ。

智子
智子

え⁈ そうだったの…

無理したんじゃ…

祐二
祐二

気に入ってもらえるかどうか…

今晩をお楽しみに。

智子
智子

楽しみにしてます。

滝川村キャンプ場は「滝川村スポーツ公園」の内にあって宿泊施設もあり、食事も用意してくれるが、フライパンなどをレンタルすれば自炊もできる。

2人は「バンガロー」を予約していたので、近隣の商店へ食料を買い出しに行って、バンガロー内で料理を作ることに。

智子
智子

私、餃子が得意なんだぁ。

家でも作ってるの。

祐二
祐二

へぇ~。そうなんだぁ。

食べたいなぁ。

一緒に作りたいけど…

俺、作ったことない…

智子
智子

大丈夫‼

私が教えてあげるから

任せなさい‼

祐二は野菜を細かく切り、ひき肉と混ぜて「あん」を作る役。

祐二
祐二

これくらい細かくすればいい?

智子
智子

うまいじゃん‼

武田くん、素質あるよ。

祐二
祐二

混ぜるのは、これくらいでいいかい?

智子
智子

十分‼

後はこれを餃子の皮に

少しずつ乗せていってほしいの。

祐二
祐二

分かった。

祐二ができるのは、ここまで。

智子が手際よく餃子を包んで行く。 

なんとも器用。

祐二
祐二

へぇ~。

そうやって作るんだ~。

智子
智子

寺西さん流の包み方なの。

あんまり餃子らしくないけどね。

感心しきりの内に、餃子が焼けて来た。

焼き上がりも上々♪

美味しく2人で食べた後…

祐二
祐二

では、これから

プレゼントの贈呈で~す!

祐二はそう言うと玄関を出て、車のトランクから1本のギターを取り出し、智子の元へ。

智子
智子

?

祐二
祐二

運動会が終わってから

ずっと作ってたんだけど、

なかなかうまく行かなくて…

出来上がったのが今朝の4時半なんだ…

智子
智子

………

祐二
祐二

今までの2人のことや

今の智子への気持ち。

そして、これからの2人への想いを

素直に書いたので、ぜひ聴いてください。

そう言って、祐二はメロディーを奏で始めた…

※音源はありませんので、実際に贈った歌詞のみをご覧ください…

 「0・1・2」~message of love~

<「ZERO→ONE→TWO」愛のメッセージ> 作詞・作曲/武田祐二


♪ 大切な君だからずっと守り続けたい 

この世の果てまでも強く抱きしめたい

移ろい行く季節が二人を変えたとしても 

もう迷うことはない

この腕の中 いつまでも


ロマンティックに憧れて 

ドラマティックな出会い期待してたけど

始まりはありふれた台詞(セリフ)のくりかえし

すべてが順調に進んでいたわけじゃなくて 

互いに涙流して傷つけ合った日もある

気づけは いつもそばで 

苦しめてばかりいたけれど 

「君が好きなんだ」

もう二度と離さない・・・

見つめ合えば合うほど 

愛すれば愛するほど 

降りしきる雪のように想いはつのる…

偶然の重なりがいつしか 

かけがえない愛 

はるか長い時間(とき)を越え

この腕の中 いつまでも       
    
   


ポジティブな恋がいつしか 

ネガティブな愛へと変わり

自分を守ることばかり考えてしまう

でも

会うたびいつも新鮮な気持ちでいたつもり 

二人の行く先に戸惑いながらもここまで来た

これからどんな未来が

二人に訪れたとしても 

君がそばにいるだけでいい

そして君を守りたい

幾度のすれ違いや誤解や錯覚を越えて 

君に「さしも知らじな萌ゆる想いを」

やむことのないウェディング・ベル 

変わることのない想い

君へのmessage of love すべて

この胸の中 いつまでも

 

    
(間 奏)

     
気づけは いつもそばで 

苦しめてばかりいたけれど 

「君が好きなんだ」

もう二度と離さない…

 

     
大切な君だからずっと守り続けたい 

この世の果てまでも強く抱きしめたい…

移ろい行く季節が二人を変えたとしても 

もう迷うことはない 

この腕の中 いつまでも…

     
(後 奏)♪

引用元-T.TAKIGAMI Lyrics BEST SELECTIONS

今までの出来事が頭の中を駆け巡り、何度も涙声になりながらもなんとか歌い切った祐二。

智子も途中から涙を流しながら、一所懸命祐二を見ていた。

そして。

智子
智子

ありがとう…

武田くん…私、泣いちゃって…

でも…すごく嬉しい‼

 

智子はそう言うと、祐二の胸の中へ飛び込んだ。

祐二
祐二

…愛してるよ…智子…。

智子
智子

私も…愛してる。

星空がきらめく滝川村のバンガローで、2人は互いの愛を確かめ合い、抱きしめ合った…

 


(次回へつづく)

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