【ちょっといい話】おかあさんを助けるんだぁ【ノンフィクションドラマシアター】

ノンフィクションドラマシアター

今回の「NON SEALD」は、ノンフィクションドラマシアター

筆者の人生の中での想い出に残る

「ちょっといい話」「感動のエピソード」などをドラマ仕立てでお送りする内容です。

普段なかなかお伝えできない、筆者の人となりを垣間見ていただければ幸いです。

今回は

おかあさんを助けるんだぁ というお話です。

筆者が10年ほど前に体験した想い出に残るエピソードになります。

ある意味において、現世の課題を考えさせられる内容ですのでどうぞ最後までお付き合いください。

※なお、使用している画像については、あくまでも「イメージ」ですのでご了承ください。

それでは、開演です!


寒空にひとりぼっちの男の子との出会い

とある平日の昼下がりのこと。

午前中に仕事が終わった私は、その日「公休」だった妻と一緒に

「久々の恋人気分を」と言うことで「半日デート」をすることに。

喫茶店でコーヒーを飲みながら

他愛もない話で盛り上がる「恋人時代」さながらの時間を過ごしていた時

「そう言えば、キャベツ買うの忘れてた!」

という妻の言葉に「現実に戻った」私たちは、近くのショッピングセンターへ。

キャベツを購入し、しばらく店内を歩いていると早くも

「新年度の準備」の看板が。

懐かしさもあり、二人で商品を眺める。

「キャラクター消しゴム」などを見つける度に、自分たちの小学生の頃などを思い出しながら、ノスタルジックな気分に浸っていた私と妻(^-^)

あっという間に時間が過ぎ、気がつけば辺りは日も暮れ始めて…

車に戻ろうと玄関前まで来た時、私と妻の目の前に一人の男の子が。

4、5歳ぐらいとおぼしきその男の子は、商品がいっぱい入っている買い物袋を二つ、両手に一所懸命持とうとしている。


思わず私は声をかけた。


 しょうらく:「おいおい。大丈夫かい?」

  男の子:「うん!だいじょうぶだよ!でも、ちょっとおもい」

 しょうらく:「すごい荷物じゃん。カートを持って来ようか?」

  男の子:「ううん。いい!」

 しょうらく:「でも…」

   妻 :「ねえねえ。お母さんは?」

  男の子:「ちかくにいるとおもうんだけど…」

私と妻は辺りを見回したが「お母さんらしき人」は見当たらない。


 しょうらく:「とにかくこれじゃあ『余りにも』だよ…」

   妻  :「私、店員さんを呼んで来る」

妻が移動しようとしたその時、正面玄関から警備員さんが入って来るのを見かけた。

しょうらく:「待って。警備員さんがいるから、事情を話してみるよ」

妻を男の子の側に残し、私は警備員さんに声をかけた。

 しょうらく:「ああ警備員さん。ちょっとこちらへ」

  警備員 :「はい。どうかなさいましたか?」

 しょうらく:「この男の子のお母さんを探しているんですが…」

  警備員 :「ああ。この子のお母さんなら、先程お会いしましたよ」

 しょうらく:「へ?!。そうなんですか?」

  警備員 :「何でも『財布を忘れて来た』らしくて…家がこの近くのようで取りに行かれたんです」

 しょうらく:「小さな男の子を残してそんな…」

     妻  :「で、警備員さんが?」

  警備員 :「すぐ戻って来られるようならと、しばらく私が見ていることをお約束したんですが、何分私も他の仕事があるもので…」

そりゃ「ごもっとも」な話。
警備員さんも一緒にしばらく待ったが、一向にお母さんが戻って来る気配がない…

 
 しょうらく:「分かりました。では、お母さんが戻って来られるまで、私たちがこの子を見ています」

    警備員 :「よろしいんですか?」

 しょうらく:「よろしいも何も、警備員さん、仕事がお有りなんでしょう?」

     妻  :「私たちが見てますから、大丈夫ですよ」

    警備員 :「ありがとうございます。ではお願いします」


男の子のお母さんの服装などを話し終わると、警備員さんは出て行った。


おかあさんを助けるんだぁ~心やさしい男の子の言葉に感動…

私と妻は、男の子とともに玄関前の邪魔にならない場所へ移動し、お母さんが戻るのを待っていた。

寒空の中をひとりぼっちで待っていた男の子の気持ちが気になった私と妻は、男の子が少しでも安心してお母さんを待てるように、ずっと男の子と会話をしていた。

そんな男の子との会話の中で、お母さんが男の子を1人にしたことが気になっていた私と妻。

それとなく男の子に聞いてみることにした。

 しょうらく:「よくこんなことあるの?」

  男の子 :「ううん。きょうがはじめてだよ」

   妻  :「不安じゃなかった?」

  男の子 :「だってぼく、こんど『いちねんせい』になるんだぁ。あかちゃんもいるし、ちょっとでもおかあさんをたすけてあげたいんだぁ」

男の子の言葉に、私と妻は顔を見合わせた。

まだ小学生にもなっていないのに、こんなに立派なことがいえるなんて…

世知辛い世の中で、久しぶりに感じた純粋な子どもの気持ちに目頭がウルっとした。

   妻  :「素敵な想いを持っているのね。感動しちゃった…」

 しょうらく:「君は本当にお母さん思いの素晴らしい子だね」

そういうと、男の子は照れくさそうに笑った。


エピローグ

それからしばらくして。

 男の子 :「あっ!おかあさんだぁ」

しょうらく:「へ?!どこどこ?」

 男の子 :「ほらあそこ!はしってる!」

男の子と指さす方を見ると、正面玄関に向かって小走りでやってくる女性の姿が。


  妻  :「本当!よかったぁ」

お母さん :「ごめんね!怖くなかった?」

 男の子 :「うん!このおじさんとおばさんといっしょにいたの!」

お母さん :「そうなの。本当にすみませんでした」

しょうらく:「私たちは別に。何かと物騒ですから、くれぐれも気をつけてくださいね」

お母さん :「はい。ありがとうございます」

  妻  :「よかったね!これでもう安心だね!」

  男の子 :「うん!」

 しょうらく:「これからも、お母さんと赤ちゃんを大事にするんだよ」

  男の子 :「だいじょうぶ!だってぼく」

 しょうらく:「『いちねんせい』だからね」

  男の子 :「えへへ」

  お母さん :「本当にありがとうございました」

  男の子 :「じゃあおじさん、おばさん。バイバ~イ」

「親子」はそういうと、二つの買い物かごを助け合いながら抱えて帰って行った。

何とも清々しい気分にさせてくれた出来事であった。

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