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【バレンタイン/感動エピソード】マイガール~ちいさな、てのひらに~

ノンフィクションドラマシアター
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【バレンタイン/感動エピソード】

マイガール~ちいさな、てのひらに~

※この話は、筆者が実際に体験し、記憶に残る

バレンタインの想い出を「ノーカット」で書き綴ったものです。

あなたがこれまでに経験したバレンタインの想い出と併せてぜひご覧ください。


第1章:初めてのバレンタイン!ちいさな想いを叶えたくて…

​​平成16年1月のことである。

当時の私は、市内にある総合ショッピングセンターでの「お歳暮ギフト」からの流れで「バレンタインギフト」の販売を受け持つことになり、ディスプレイやラッピングなどを行っていた。​

1月15日を過ぎたあたりから「バレンタインギフト」のディスプレイ製作を店舗裏で行い、決まった日から随時会場準備に入るといった流れ。

モ○ゾフメ○ーなどの専門メーカーは既にバレンタインのラッピングを終えており、陳列するだけになっていますが、売り場でラッピングしなければならないものもあり、そういったものは売場開設と同時にその作業に入る。

「バレンタインギフトセンター」の販売員は当然といっては何だがほとんどが女性。

男性の販売員は私ひとり…(^-^;)

お歳暮ギフト当時から「しょうらくさんはラッピングが上手ですね」といわれていたこともあり、お歳暮終了の際に「バレンタインギフトの販売員として残ってもらえますか?」との依頼に「私でよければ」ということで、そのまま働くこととなったのだ。

開設して3日目の夕方のこと。

まだ「ギフトセンター」に来るお客さんはまばら。

「2月に入ると忙しくなってくる」ことを見越し、ギフトカウンターでラッピング作業をしていると、売場の端に置いてある「手作りチョコ」のエリアに1人の女の子が。

どう見ても「小学校低学年」と思しきその女の子は

「エリアを行ったり来たりしてはしばらく立ち止まって」を繰り返している。

気になった私は「いらっしゃいませ」と声をかけてみると

女の子は私の声に少し驚いた様子で足早にエレベーター方向に走って行った…

「まあ、こんなおっちゃんが声をかければ、誰だってビックリするだろう」と思い、再びラッピング作業に戻り、忙しくしていると

「あの…」

声のする方を見ると、さっきの女の子。

私は笑顔で女の子の元へ行き、女の子と目線を合わせるように座った。

しょうらく:「いらっしゃいませ。さっきから手作りチョコを見ていたようだけど」

 女の子 :「うん…」

しょうらく:「自分で作るの?」

 女の子 :「うん」

しょうらく:「ひとりで?」

 女の子 :「そう!」

しょうらく:「そうかぁ。えらいね。でも難しいよ。大丈夫?」

 女の子 :「だいじょうぶ…と思う」

しょうらく:「作り方はわかる?」​

 女の子:「よくわかんない」

引用元-salvia

確かにこの子には「説明書」は内容が複雑で分かりにくそう。

しょうらく:「じゃあ、ちょっと待っててくれる?」

私はギフトセンターの「仲間」に可愛い「お客さま」の要望を伝え、簡単にできそうなチョコの作り方を教わり、それを「ひらがな」で紙に書いて女の子の元へ。

しょうらく:「これを見ながら作ってみるといいよ」

 女の子:「これは?」

しょうらく:「今、お姉さんたちに聞いて来たの。『かんたんにできるチョコの作り方』」

 女の子:「ありがとう!」

「お客さま」は大変喜ばれ

「袋詰めの割れチョコ」をご購入。

 女の子:「ありがとう!おじさん!」 

しょうらく:「上手にできるといいね。がんばって作ってね」

 女の子:「うん!」 

女の子は駆け足で去っていった。

私は女の子が見えなくなるまで手を振り

振り返ると「仲間」も笑顔で女の子を見送ってくれていた。

ギフトカウンターに戻るとギフト主任が私に声をかけた。

 主 任:「お疲れさま。あれでよかったのかなぁ」

しょうらく:「はい。女の子、すごく喜んでくれましたよ」

 主 任:「でも、驚いたわ。いきなりしょうらくさんが『チョコレートの作り方を教えてください』って来たから私、しょうらくさんが奥さんに作るのかって思っちゃった」

しょうらく:「私は作らないですよ。女の子が作り方を教えてほしいと私に言ったので…。初めて作るバレンタインチョコのようだったので、なんとか上手に作ってもらいたいんです」

主 任:「しょうらくさん、優しいのね…」

しょうらく:「それに、たとえ子どもであっても大切な『お客さま』なので、できる範囲で応えて差し上げたいと思ったので、忙しい中でしたがお願いしたんです」

主 任:「しょうらくさんの想い、きっと通じると思うわ。もしいつか、あの女の子がまた売場に来たら、しょうらくさんに担当をお任せするわね」

しょうらく:「かしこまりました」

ギフトカウンターには笑顔が溢れていた。

その日から、女の子のことを仲間全員が「しょうらくさんのマイガール」と呼ぶようになり、私も「マイガール」がチョコレートを上手に作れることを願いながら慌ただしく売場を駆け回っていた。


第2章:奇跡の再会!「マイガール」のちいさな、てのひらには…


2月に入ると、ギフトセンターは大忙し。

開設当初は閑散とし、山のように積まれていたチョコも

あっという間に売れて行く。

それでもバレンタイン前日の夕方にもなると幾分お客さんの数も減り、売り切れた商品のディスプレイも出始め、徐々に「片付け作業」に入って行く。

陳列棚を片付けるのは私の仕事。

女性には陳列棚は重く、手をはさんだりする恐れもあるからだ。

お客様の邪魔にならないように、それでも手早く片付けを行う私。

仲間が呼んでいた「しょうらくさんのマイガール」は

あの日以降売場に現れることはなかった…

寂しい想いはあったが、女の子がきっと上手にチョコレートを作ったに違いないと考えるようにして、陳列台の搬出をしている最中、ギフトカウンターから「仲間」の呼ぶ声が聞こえた。

「しょうらくさ~ん。『お客さま』ですよ~」

振り返って見るとそこには

あの時の「お客さま」

そう。「マイガール」と呼んでいた女の子が

笑顔で手を振りながら私に駆けよって来るのが見えた。

 女の子:「おじさ~ん!こんにちは~!」

しょうらく:「いらっしゃいませ。どう?うまくできた?」

 女の子:「うん!おじさんのくれたメモのおかげで上手にできたよ!お母さんにも『えらいね』ってほめられたの」

しょうらく:「そうかぁ!よかったじゃん!」

 女の子:「それでね。おじさんにプレゼントがあるの」

しょうらく:「プレゼント?」

 女の子:「そう!これ!」

そういって差し出された

女の子の「ちいさなてのひら」には

きれいにラッピングされた「チョコレート」が。

 女の子:「がんばって作ったチョコ!おじさんにもあげる!」

しょうらく:「いいの?」

 女の子:「いいよ!食べてみて!」

しょうらく:「ありがとう!じゃあ、もらっておくね」

 女の子:「今食べてほしいの」

いくらなんでも「売場」では…(^-^;)

閑散としてきてはいても、まだ他のお客様がいる中で

チョコレートを食べる訳にはいかないよね…

気持ちは十分有難かったので、その想いを伝えることにした。

しょうらく:「有難いけど、ここでは食べられないんだ…後で必ず食べるよ」

女の子:「今がいい!」

困ったなぁ…(^-^;)

その時、様子を見ていたギフト主任が

私に声をかけてくれた。

 主 任:「しょうらくさん。いいわよ。食べてあげなさいよ。」

しょうらく:「主任さん。いいんですか?」

 主 任:「だって『お客さま』のご依頼なんでしょう?しょうらくさん、あの時「たとえ子どもであっても大切な『お客さま』だから、できる範囲で応えて差し上げたい」っていってたじゃない。いいわよ。見なかったことにするから」

しょうらく:「ありがとうございます」

女の子が握り締めていた様子で少し溶けかかっていたが

食べてみるとなんともおいしいチョコ(^-^)

 女の子:「どう?おいしい?」

しょうらく:「うん!とってもおいしいよ。気持ちもいっぱい詰まっているからね」

 女の子:「よかった!じゃあ、おじさんバイバ~イ!」

しょうらく:「ありがとう!うれしかったよ」 

感謝の気持ちを込め、私は笑顔で手を振った。

笑顔で手を振る『お客さま』に、主任や「仲間」も一緒に手を振ってくれた。

一日が終わり、店を出ると、寒く感じる「2月の風」が

この日はなぜか、暖かく感じた。

2月14日

あなたにとって素敵なバレンタインになりますように!

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