【バレンタイン/感動エピソード】
筆者のこれまでの人生の中で
想い出に残るバレンタインエピソードをお伝えする内容です。
今回「完結編」では「想いのかけはし」と題された
筆者が19歳の頃に体験したエピソードをお伝えします。
お話する内容は、個人名や団体名を除いてすべて「ノンフィクション」
画像は「イメージ画像」になりますので、あらかじめご了承ください。
それでは始めていきましょう!
第1章:2月14日に届いた正体不明の「M」からの手紙…
平成元年・立春の頃。
当時私は「予備校生」であった。
2月から始まった私立大学の受験を終え
なんとか希望する大学に合格したいという思いでいっぱいだったが…
送付されてくる封書を開いても結果はあまり芳しいものではなく…
そんなある日、自分が一番「試験が出来なかった」大学からの封書が届いた。
「どうせまた…」という思いがあったが、とりあえず開いてみると、そこには。
「やった!」という思いとともに「長かった…」という思いも加わり、自然と涙が。
父も母も合格を喜んで「その合格通知、額に入れとかなきゃ」などと盛り上がっていると
♪ピンポ~ン。
「しょうらくさんにお届け物です。ハンコをお願いします」
「私に?!」
宛名は確かに私であったが、差出人の名前は「M」の一文字。
開けて見ると、チョコレートが1箱と「手紙」が1通。
「M」。
私は「M」が誰のことかが全くわからず。
でもはっきりしていることは、「M」は「女の子」である。ということ。
大学受験のことを知っているのは、両親・親戚と高校時代の友人が数名のみ。
予備校の友人は男ばかりなので、きっと高校時代の友人だろうが
数名の友人の中に「M」で始まる苗字はいない。
でも、送ってくれた気持ちは大切にしたい。
そう思った私は、送られて来たチョコを有り難く噛み締めた。
第2章:再び届いた「M」からの手紙
大学生活が始まり、バイトも始め、毎日を充実して過ごしながら
大学生活で初めての「2月14日」を迎えた。
その日は大学も2時限とも「休講」だったため、バイトをフルタイム勤務。
「しょうらくさん。これ食べてください」
バイト先の女の子から「義理」と思いっきりプリントされたチョコをもらい、複雑な気持ちになっている私…
それでも、気遣ってくれたことへ感謝して、帰りの電車の中で美味しくチョコをいただいた。
帰宅すると母が「しょうらく。あんたに何か届いてるよ」と。
手渡されたものは「差出人『M』さん」からの贈り物。
開いて見ると、チョコレートが1箱と「手紙」が1通。
「M」。
急いで高校時代の友人に電話し「M」という名前に覚えはないか尋ねると。
「そんなヤツいたかなぁ」と気のない返事…
「とにかく私も心当たりを探してみるから、気にかけておいて」と頼み、卒業アルバムを引っ張り出して自分の高校時代のクラスメートなどを調べてはみたが…
「…ない」
結局「M」さんが誰なのか、この年も分からず。
「M」さんのことが気にはなったが
大学生活やバイトの忙しさなどで次第に記憶の隅へ…
第3章:ついに「M」の正体が!3年越しで蘇る記憶と想い
そして、大学2年の「2月」を迎えた。
「今年も『M』さんから手紙が送られて来るのだろうか」
そんなことを考えながら忙しくバイトをこなしていると、あっという間に「バレンタイン前日」。
この日はバイトも休みで大学も1時限のみだったので
自宅でたまった講義のメモなどを整理していると、1本の電話が。
しょうらく:「もしもし」
友 人 :「おおっ!しょうらくか。よかったぁ。家に居るん?」
しょうらく:「居るよ。今日はバイト休みやから」
友 人 :「ところで『M』さんは誰か分かったんか?」
しょうらく:「それが…全然見当がつかんのやけど…」
友 人 :「オレ気づいたんやけどな。お前、高校卒業するときに女の子から手紙貰っとったやろ?」
しょうらく:「手紙?」
友 人 :「そうや。この間久しぶりに高校時代の仲間と飲みに行ったんやけど、その時にしょうらくの話をしてたら、やっと『M』さんのことが分かったんや」
しょうらく:「ほんまか!」
友 人 :「ほんまや。よ~く聞けよ。1つ学年が下の子や」
学年が1つ下…
それならいくら「卒業アルバム」を見ても分からないはず。
しょうらく:「で? 名前は?」
友 人 :「中島っていうねんけど」
しょうらく:「中島やったら『N』になるがな」
友 人 :「苗字と違う。名前の方や。中島美紀っていうねん。聞いたことあるやろ?」
中島美紀… 「あっ!」
そうか!
♪ピンポ~ン
「しょうらくさんにお届け物です。ハンコをお願いします」
「差出人『M』さんからの贈り物」
中身は「チョコレート1箱と手紙が1通」
すべて思い出した。
高校卒業の時、私は彼女にこんな手紙をもらっていたことを。
私に泣きながらも笑顔で手紙を渡してくれた彼女。
中島という名は覚えていたが、下の名が「美紀」だったなんて…
友 人 :「しょうらく? もしもし? しょうらく?」
しょうらく:「ああ。ごめん。彼女なら覚えてる。けど私、彼女の住所も連絡先も知らんで」
友 人 :「オレが何の情報も持たんと、お前に電話かけて来ると思うか?」
しょうらく:「へ?!そしたら」
友 人 :「ちゃ~んと調べてある。っていうかオレ、彼女の同級生の男とボーイスカウトで一緒やったから、そいつに聞いたら教えてくれたんや」
しょうらく:「ありがとう!恩に着るわ」
彼女の連絡先を聞いて、すぐに彼女へ電話をかけたが…
「ただいま留守にしております。御用の方は3分以内で伝言をどうぞ。ピーッ」
何回かかけたが繋がらず…
でも、このままではいられない。
3年間も彼女の想いに応えられなかった私は、留守番電話にメッセージを残した。
しょうらくです。ごぶさたしています。 元気にしていますか? 卒業してからも、私のことを気にかけてくれていたにもかかわらず 君の気持ちに応えてあげられなくて本当にごめんなさい。 できることなら直接会って話したいと思って電話しましたが 留守のようですね… でももし、この電話を聞いてもらえたなら 今夜19時に高校の正門前で待っていますから 来てもらえませんか? 勝手なことばかりいってごめんなさい… どうか…お願いします。
メッセージをお預かりしました…
最終章:3年越しの想い…その結末は!
約束の時間より1時間早く、正門前に到着した私。
寒い夜だったが3年間の彼女の気持ちを考えれば、寒さなど関係ない。
来てくれなくても構わなかった。
それが当然。
でも…
もし会えたなら…
3年間の彼女の想いに精一杯応えてあげたい。
そして…
幸せにしてやりたい!
時刻は19時30分を過ぎていた。
その時、正門の方へ向かってくる人影が…
その人影は、しだいに大きくなって…
「先輩…」
来てくれた!
あんなに待たせて
あんなに気持ちを分かってもらえなかった私に会うために。
美 紀:「先輩。来ちゃった!」
笑顔でそういってくれた。
しょうらく:「中島… ごめん!本当にごめんなさい!」
美 紀 :「いいんですよ…本当は今日どうしようか悩んだんですけど、先輩に話したいこともあって…」
しょうらく:「話したいこと?」
美 紀 :「実は私…今年の秋に結婚することになったんです」
しょうらく:「そうか…」
美 紀 :「先輩には高校時代いつも励ましてもらってたし、優しく包み込んでくれるような笑顔が素敵でしたし…好きです。今でも…」
しょうらく:「もっと早く気づいてあげられればよかったんだね」
美 紀 :「そんな…でも今日だけは先輩と過ごしたいと思って…」
しょうらく:「3年間、君の想いに応えられなかったんだ。何かしてあげられること、ある?」
美 紀 :「3年分話したいし、3年分デートしたい気持ちもあるんですけど…じゃあ1つだけ今、ここで願いを叶えてもらえますか?」
しょうらく:「願いって…何?」
美 紀 :「私を… 3年分、抱きしめてください!」
そういうと、彼女は私の胸に飛び込んで泣き出した。
ごめん…遅くなって。
本当にごめんなさい!
彼女の想いに応えるように、私は力いっぱい彼女を抱きしめた。
エピローグ
「2月14日」
私と彼女の「想いのかけはし」は
3年越しでたった1日だけではあったが、ようやくひとつに繋がった。
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