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【秘密】介護ブログドラマ「Pure Smile~祐二と智子のアイノカタチ」第6話

ノンフィクションドラマシアター
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第6話:秘密

雨の日の告白から1ヵ月後。

施設の入所者とのかかわりやイベントの準備など、忙しい日々を送っていた祐二と智子ではあったが、仕事が終われば必ず屋上に上がり、野菜や花の水遣りなどをしながら「2人だけの時間」を過ごしていた。

智子の家族も「火事」以降、それぞれが「新たな出発」であり、忙しくしながらもだいぶ落ち着きを取り戻したようだった。

そのこともあり、自然と智子には笑顔が多くなっていた。

祐二もまた、そんな智子の笑顔を誰よりも喜んでいた。


 

祐二
祐二

夏休み、もう取った?

智子
智子

ううん。まだ。

祐二
祐二

俺も。まだ取ってない。

 

夏季休暇は3日間。 好きな時に取れるが、イベントなどが挟まるとそう上手くは行かないが、

今は夏祭りイベントが終わり、しばらくは忙しくない。

祐二
祐二

来月のシフトはまだ出来ていないって

婦長が言ってたなぁ。

智子
智子

婦長さんも

忙しかったからね。

祐二
祐二

よし!

来月のシフトで夏休みを

3日間全部取ることにしよう!

智子
智子

私も、そうする!

祐二
祐二

よかったら

一緒に泊りがけで

遊びに行かないか?

智子
智子

泊りがけで?

 
 さすがに「泊りがけで」というのは、いささか「大胆な提案」ではあったが…

祐二
祐二

あっ! ごめん…

ちょっと大胆過ぎたね…

智子
智子

ううん。いいよ!

私、泊りがけだったら

行きたい所があるんだぁ。

祐二
祐二

どこ?

智子
智子

道後温泉。

本館のお湯に一度ゆっくり入ってみたいの。

祐二
祐二

道後温泉…

聞いたことある。

愛媛にある温泉だよね。

そこへ行くには確か、橋を渡るんだよね?

智子
智子

そう!

瀬戸大橋だよ。

 

祐二
祐二

夏休みは3日間あるんだ。

どうせなら本四にかかる橋を

全部渡っちゃおうよ。

智子
智子

すごーい‼

楽しみ楽しみ~♪

2人は次の日「夏季休暇届」を提出。

来月の勤務表では、見事に2人の夏季休暇が一致… 

するはずはなく…

祐二
祐二

夜勤明けから3日間になったか…

1日ずれちゃったね…

智子
智子

私はすんなり

3日間取れてるんだけど…

祐二
祐二

でもいいよ!

じゃあ俺の夜勤明けの日

10時過ぎに屋上に来ておいてくれるか?

智子
智子

私は大丈夫だけど…

無理しないでね。

祐二
祐二

大丈夫だよ!

申し訳ないけど、その日は

向こうに着いたらそのまま寝るから。

 
双方の親には「研修旅行」ということにして、二人は「その日」を楽しみにしていた。

そう…  「運命の日」を…

出発当日の朝。  「職業病」と言ってもいい持病の「腰痛」を抱えていた祐二。

この日も「痛み止め」を飲んで、起床介助や排泄介助などを行なっていた。

なんとか夜勤をこなし、業務終了!  

着替えて急いで屋上へ上がると、智子が待っていた。

智子
智子

おはよう!

お疲れさまでした。

祐二
祐二

おはよう!

はぁ~疲れたぁ~。

智子
智子

大変だったでしょう?

大丈夫?

祐二
祐二

大丈夫だよ。

さぁ!出発しよう!!

 

2人は最初の目的地「淡路島」へ。

この時から既に、祐二の身体には「異変」が起きていた。

高速に乗り、「明石海峡大橋」を渡る。

「高所恐怖症」の祐二でさえも、橋から望む景色には「目を向けずにはいられない」ほどの絶景。

サービスエリアでの昼食を済ませ、しばしの休憩。

 二人は眼前に広がる「明石海峡大橋」に、ただただウットリ。。

祐二
祐二

え~っと。

今日は『慶野松原』までだったね。

智子
智子

そう!

そこからの夕日が

とっても綺麗なんだって!

 
『慶野松原』へ到着。
車から降り、チェックインを済ませると、二人は松原を抜けて「砂浜」へ。

寄せては返す波と、どこまでも広がる水平線、そして夕日。

二人の想いがつながるまでには、さほど時間はかからなかった。

智子
智子

私…

来てよかった。

祐二
祐二

本当の目的地には

まだ着いてないよ。

智子
智子

そうじゃなくて…

あなたとここに来られて

ってこと。

祐二
祐二

ありがとう。

 

 『やさしい時間』を過ごし、慶野松原での夜は過ぎて行った…

 次の日の朝。

 智子が目覚めると、祐二の姿がない。

 どこへ行ったんだろう・・・。

 しばらくすると、祐二が姿を見せた。が・・・。

智子
智子

おはよう。

どうしたの?

顔色…悪いよ。

祐二
祐二

そう?

心配ないよ。

少し腰が痛いだけだから…

智子
智子

大丈夫?

祐二
祐二

今、痛み止めを飲んだからね。

すぐに治まると思う。

 

朝食を済ませ、チェックアウト後、車は「大鳴門橋」を渡り、一路香川方面へ。

智子
智子

この辺に『金比羅』さんがあるのよね。

祐二
祐二

行ってみるかい?

智子
智子

うん‼

金比羅さんの階段を上る。

2人はいろんなお店を見ながら、楽しい時を過ごすはずだった…

200段ほど上った「その時」。

祐二
祐二

うっ‼……

腰ではなく、左のわき腹辺りから「激痛」が走った。

みるみるうちに「顔面蒼白」となって行く祐二。

智子
智子

た…武田くん!

どうしたの⁈…

大丈夫?…

祐二
祐二

あ… ああ…

なんとか…

悪いけど、下へ下りよう…

 

急いで車に戻り、祐二は「痛み止め」を探すが…

祐二
祐二

ない………

無くなってる…

痛みは治まらない。

近くの薬局で「即効性の痛み止め」を購入し、すぐに服用した祐二。

しばらく経つと、少し痛みが和らいで来た。

祐二
祐二

よし…

これなら行ける。

智子
智子

無理しないで…

まだ顔色悪いよ…

ここからは私が運転するから。

祐二
祐二

智子。

高速乗ったことないんでしょう?

大丈夫。

大丈夫だから…

痛みが和らいでいる間に…出来るだけ……距離を稼いでおこう…

その想いだけが祐二を奮い立たせていたが、車が「善通寺インター」の入り口に差し掛かった時

かつてないほどの激痛が祐二を襲う… 

祐二
祐二

ぐわぁ‼‼

智子
智子

武田くん!

しっかり‥‥

しっかりして‼…

路肩に車を停めて、痛みが治まるのを待つ祐二だったが、痛みはどんどん増すばかり…

祐二
祐二

智子…

智子…

 

智子
智子

武田くん!…

イヤ!

イヤだよ‥‥‥こんな…。

祐二
祐二

ほ…本当に悪いんだけど…

運転…代わってくれるか…

智子
智子

分かった!

なんとか頑張ってみる!

祐二
祐二

ごめん‥‥‥な‥‥

 

初めての土地で、どこに何があるのかも分からない。

ただ一つ分かっていることは「この道を行けば、松山へは行ける。」

智子は、一路松山を目指し「初めての高速」へと車を走らせた。

激痛に顔を歪めながら必死に痛みに耐えている祐二の「手」を、

しっかりと握りしめながら…

 
(次回へつづく)

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