介護ブログドラマ「Pure Smile~祐二と智子のアイノカタチ」第4話:加速する想いの行方

ノンフィクションドラマシアター

第4話:加速する想いの行方

智子の実習が始まった。

約束通り、祐二は実習終了時間前には蔭山インパルスへ到着し、智子が出て来るのを待っていた。

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祐二

お疲れさま!

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智子

お疲れさま!

いつもごめんなさい

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祐二

謝らなくていいよ。

『ありがとう』でいいんだ

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智子

うん!

ありがとう

あまりにも毎日同じことを言い合っているので、2人は顔を見合わせて笑った。

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

実習は、順調に進んでる?

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智子

おかげさまでバッチリ!

毎回レポートを提出しないといけないんだけど、

それさえなければもっと楽しいんだろうけどね…

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

でも、本当によく頑張ってるね

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

どうしても取りたいの。

この仕事をするようになって、毎日が楽しいんだぁ

介護の話で盛り上がっていると、あっという間に智子の家の前に。

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

よし!着いた!

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

いつも、ありがとう

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

今日もお疲れさまでした。

ええっと、明日が確か最終日だよね?

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

そう。

楽しかったけど、明日で実習も終わり

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

じゃあ明日は「打ち上げ会」をしよう!

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

どこで?

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祐二

それは、内緒

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智子

え~。ケチ~!

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

だって、今それを言ったら

明日の実習、そればっかり

考えちゃうでしょう?

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

今、言ってくれないと

そればっかり考えちゃうよ~

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

アハハ。

分ったよ。

食べたいもの、ある?

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

そうだなぁ~…

お肉が食べたいかな

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

決まった!

じゃあ明日は帰りに

焼肉レストランで打ち上げ会ってことで

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

やったー!!

楽しみにしとこ♪

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

じゃあ、また明日

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

おやすみなさい

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

おやすみ

走り去る祐二の車を、智子は見えなくなるまで見送った。
 
ただ、見送る智子の顔には、さっきまでの笑顔はなかった。

智子は、まだ祐二の知らない「苦悩」を抱えていた…

いよいよ実習最終日。

 
この日も終了時間より早く、祐二は蔭山インパルスへ到着し、智子を待っていた。

ところが、いつもの時間になっても智子が出て来る気配がない。

『レポートを書いているのか?…』 それとも「修了式」みたいなことをやっているのか?…』

 

20分が過ぎようとしていた頃、ようやく智子が施設から出て来た。

泣いているのか、少し目が赤い…

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

お疲れさま!

本当によく頑張ったね

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智子

お疲れさま。

ごめんね。遅くなって…

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

気にしないの。

確かに遅かったね。

レポート書いてたの?

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

ううん。

お別れの挨拶をしてたら

入所者の1人が泣き出しちゃって…

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

入所者が?

何でまた泣いたんだろう?

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

その人、実習初日からずっと私のことを気にかけてくださってて、

挨拶の後ずっと私の手を握って放してくれないの。

『ずっとここにいてぇ~なぁ』って…

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

きっとその人には

君の頑張りが通じたんだろうね

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

そう思って

明日からまた頑張る!

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

それで君、目が赤いんだね

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

え?…うん……

様子が変だとは思ったが、祐二はそれ以上訊かないことにした。

しかし、心の何処かから込み上げてくる「何か」が、祐二の胸を締め付けた。

しばしの沈黙の後。

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

今日は約束通り『打ち上げ会』をやりま~す!

その「何か」を打ち消すべく、祐二は明るく言ったが…

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

ごめん…

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

どうしたの?

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

せっかくの『打ち上げ会』、楽しみにしてたんだけど…

急な用が出来ちゃったの。

だから、また今度にしてもらえないかなぁ…

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

え…

あ…ああ…

それは構わないけど…

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

本当にごめんなさい!

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

気にすんなって!

じゃあ、家まで送るよ

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

今日は、蔭山駅まででいいよ

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

蔭山駅でいいの?

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

うん…

そこから、電車で…

『何かある』

祐二はそう思ったが、智子に不安を与えたくはなかったので平静を装うことにした。

<span class="fz-16px">祐二</span>
祐二

分かった。

じゃあ、蔭山駅へ向かうね

『智子に何が起こっているのか…苦しめているのは何なのか…』
『知りたい… でも、知ることが…怖い』

智子を蔭山駅まで送り届けた後の車中で、祐二の心は張り裂けそうであった。

<span class="fz-16px">智子</span>
智子

じゃあ…

また明日ね

そう言って手を振る智子の何とも「つらそうな笑顔」が、その心をさらに締め付けていた。


 
 
それから数日、祐二と智子はお互いに勤務が合わず、互いの連絡先も分からなかったため、話すことも顔を合わせることもなく過ぎて行ったが、祐二は勤務が終われば必ず屋上へ行き、せっせと野菜などの世話をしていた。

プチトマトやピーマンもたくさん実り、入所者の方々にも喜んでいただけている。
 

『2人で頑張った証を、これからも』

その思いが、祐二を毎日屋上へ向かわせたのであろう。
 
それともう1つの『想い』…

『ここに来れば、たとえ会えなくても、智子が傍にいるような気がする』

会いたい気持ちと会えないつらさが交差して、祐二の想いは加速していった。

そんなある日のこと。

いつものように8時に出勤し、何気に勤務表を確認すると、智子は「早出」。

「早出」ってことは、16時には仕事が終わる。』
『でも俺は今日は日勤。どれだけ手早く仕事を終えても17時30分を過ぎてしまう…
また今日も会えないのか…

そんなことを考えながらも、いつも通り仕事をこなし、17時30分業務終了。

急いで屋上へ上がり、倉庫のじょうろを探すがどれだけ探しても見当たらない。
  

『あれ⁈ 昨日ちゃんとここへ戻しておいたんだけど…』
  

誰かいる。

でも、智子はもう帰っているはず。

赤城さんかなぁ…?

屋上の扉を開け、野菜を植えた方の花壇へ向かうと

智子
智子

お疲れさま!

  

祐二
祐二

お疲れさま。

え⁉今日、早出じゃなかったっけ?

智子
智子

ううん。

今日は日勤だよ。

私、実習があったでしょう?

勤務交代になってたの

祐二
祐二

そうだったんだぁ

智子
智子

こないだは…

ごめんなさい

祐二
祐二

打ち上げ会のことは

気にしないでいいから…

智子
智子

武田くんが一所懸命

私のことを考えてくれてたのに…

本当にごめんなさい。

それで、お願いがあるんだけど…

祐二
祐二

お願いって、何?

智子
智子

確か明日、武田くん休みだったよね?

祐二
祐二

そうだけど…

智子
智子

私も明日、休みなの。

だから、お詫びにどこかへ一緒に

遊びに行かない?

祐二
祐二

本当⁉ やったー‼

じゃあ明日は1日かけて『打ち上げ会』やろう!

智子
智子

で、どこ行こうか?

祐二
祐二

君の打ち上げ会でしょう?

だったら俺じゃなくて、君の行きたい所だよ。

どこに行きたい?

智子
智子

じゃあねぇ…

私、神戸に行きたい!

祐二
祐二

神戸かぁ…

分かった。

明日、楽しみにしててね

智子
智子

うん!

智子の顔には、あの時の「つらそうな笑顔」はなかった。
祐二には、そのことだけでも嬉しかった。

『もう、あんなつらい笑顔にはさせたくない…』

次の日の『打ち上げ会』。
  
 
約束の時間まで待ちきれない祐二は、1時間も早く待ち合わせ場所へ。

すると、なんと! もう既に智子が待っていた。

智子
智子

おはよう!

祐二
祐二

何もこんな時まで

俺より早く来なくても…

智子
智子

えへへ。

何か待ちきれなくって…

その言葉に、二人は互いに顔を見合わせ、笑った。
  


2時間ほどで神戸へ。


  
「フルーツフラワーパーク」や「モザイクガーデン」、「ハーバーランドでの夜景」などを楽しみ、時間はあっという間に過ぎて行った。

  
「写真を撮ってあげましょう」

別のカップルの男性が、祐二と智子の様子に気づいて、そう話しかけてくれた。

祐二
祐二

じゃあ、お願いします

祐二は、ふと智子を見た。
傍らで笑っている智子の笑顔が、こんなにも自分の気持ちを癒してくれているなんて…

そうだよ…  君には、その笑顔が一番似合うんだよ。

気がつけば、俺はいつも智子を見ていた。
智子が笑顔でいてくれること。

それが他の何よりも替え難いこと…

祐二は、強く心に誓った。

『君の笑顔は…俺が護る‼』

(次回へつづく)

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