【旅立ち】介護ブログドラマ「Pure Smile~祐二と智子のアイノカタチ」第9話

ブログドラマ

第9話:旅立ち

平成11年2月吉日。

祐二
祐二

武田祐二と申します。

よろしくお願い申し上げます。

智子
智子

寺西智子と申します。

よろしくお願い申し上げます。


奈良市内にあるホテルで、両家の家族が初めて顔を合わせる宴席。

祐二
祐二

奥から父の忠春、そして母の志津乃でございます。

智子
智子

奥から父の勝、母の雅代。

そして姉の翔子でございます。

結納が決まり、両家での顔合わせも兼ねての宴席をと、忠春が予約しておいたものだ。

忠春
忠春

この度は息子の祐二と智子さんとの結婚が決まり、

誠にめでたいことです。

勝

まぁお父さん。

堅苦しい挨拶はともかくとして

どうぞ一杯。

志津乃
志津乃

でも、祐二がお付き合いしている娘さんが

いるなんて、全然知りませんでしたわ。

雅代
雅代

私もです…

この子ったら、私共には一言も…

翔子
翔子

あらぁ。

私には話してくれてたわよ。

素敵な彼氏が出来たんだぁって。

 
 和やかな雰囲気で「宴」は進む。

 しかし祐二には、智子の体調が気になっていた…

 
それは「宴席」が決まった日の翌日のこと。

祐二
祐二

どうしたの?

最近顔色が良くないようだけど…

智子
智子

実は…

生理が来ないの。

私、遅れることはあっても

1ヶ月以上来ないことは…

祐二
祐二

もしかしたら…

智子
智子

私もそう思うの…

妊娠しているかもしれない…

2人がお付き合いをしていることは、施設スタッフを除いては愛媛でお世話になった医師しか知らない…

両親ですら、2人の関係を知らない…

そのことを、智子は気にしていた。

祐二はそんな智子の想いを受け留め、こう言った。

祐二
祐二

もし仮にそうだとしたら

素晴らしいことじゃないか。

智子
智子

えっ?

祐二
祐二

俺と智子が幸せになるために

神様が授けてくださったんだよ。きっと。

智子
智子

じゃあ…

祐二
祐二

まさかとは思うけど、智子。

ヘンな気を起こそうとしていなかったか?

智子
智子

だって…

祐二
祐二

俺は智子と一緒に

幸せになるって決めてるの。

それがもう1人一緒になんて

嬉しくって。

智子
智子

ありがとう!

私…嬉しい…

祐二
祐二

とにかくお医者さんへ行って

診てもらおうよ。

智子
智子

うん!

そうする。

 診断結果は宴席の翌日と言うことに。

 両家の家族も、まだ「このこと」は知らない。

 智子は、体調がよくないにも拘らず、なんとか「宴席」を務めていた。

 黙っているわけには行かない。

 祐二はおもむろに席を立つと、

祐二
祐二

お父さん、お母さん。

そして智子さんのご両親様。お姉さん。

この席で話しておきたいことがあるんです。

智子さん、こちらに。

 キョトンとする「家族」をよそに、

祐二
祐二

この度は、私たちの結婚を許していただき

ありがとうございます。

この慶びを胸に、2人で頑張ってまいります。

ここで皆さんにお話しておきたいことは…

 祐二は、智子のお腹の中に『授かった命』があるかもしれないこと、仮にそうであってもなくても、

 一生かけて『新しい家族一丸となって、幸せになる』ことを誠心誠意伝えた。

祐二
祐二

確かに世間でいえば【順番が違う】のかもしれません。

ですが、たとえ世の中がどうであれ、私は智子さんを。

そして家族を命を賭けて守り抜きます!

どうぞよろしくお願い申し上げます。

智子
智子

お願い申し上げます…

  


 しばしの沈黙…

 その「沈黙」を破ったのは…

 温かい「拍手」だった。

 双方の母親は泣いていた。 智子の姉もハンカチで目頭を押さえていた…

勝

祐二さん!

ありがとう。

ここまで智子のことを想ってくれて…

私はもう嬉しくて何も言うことはない!

そうでしょう? お父さん。

忠春
忠春

まぁ…

確かにそうですが…

勝

【順番が違う】。

それは祐二さん、その通りだよ。

でも、私は順番なんてどうでもいいと思う。

『一生懸命2人で幸せになる』

『一生かけて家族を守り抜く』

これだけの想いを伝えてもらえて、家内も喜んでますよ。

お父さん、こんなに素晴らしい息子さんを

育てあげてくださって、感謝します。ありがとうございます!

忠春
忠春

なんともお恥ずかしい限りです…

でも、私も祐二がこれから精一杯

頑張ってくれることを期待しています。

志津乃
志津乃

こんなに成長してくれて…

雅代
雅代

お母さん。私からも御礼を。

本当にありがとうございます…

翔子
翔子

じゃあもう1回乾杯しよう!

2人の…じゃなくて3人の門出に‼

 こうして「宴席」は御開きとなった。

 家に帰ると、父母が。

忠春
忠春

お前、ビックリさせるなよ~。

志津乃
志津乃

本当に…

生きた心地がしなかったわ…

祐二
祐二

ということで、よろしくお願いします。

忠春
忠春

ところで、祐二。

これは提案なんだが…

祐二
祐二

提案?

忠春
忠春

あれだけ向こうの親御さんに

しっかりしているって言われたんだ。

お前もここを出て、智子さんと2人で

一緒に暮らしてみないか?

祐二
祐二

ここを…出る?

忠春
忠春

お前は高校や大学受験の時も

就職する時も『ここから通える場所』を探してくれた。

何より家族を大切にしてくれているのは俺も分かっている。

ただ、ここを大事にしてくれることだけではお前はそれ以上

強くなれないと俺は思っている。

智子さんと一緒に暮らす場所を探して、そこでお前と智子さんとで

夫婦とはどんなものか、家族とはどんなものなのかを経験していって

もらいたいと考えて、母さんとも相談して決めたんだが…

 

祐二
祐二

分かった。

俺、頑張るよ。

志津乃
志津乃

頑張るんだよ。パパさん!

 翌日、智子の診断結果が出た。  診断結果は…

 『妊娠7週』

 この結果を、双方の両親に報告した祐二と智子。

 施設にも智子の身体のことについて報告し、智子の「勤務軽減」を申し出た。

山谷婦長
山谷婦長

まぁ! それはおめでとう。

よかったわねぇ~。

寺西さん、身体を大事にしないとね。

入所者様の介助については直接的なものは禁止にします。

そして夜勤業務も外す形でシフトを組みますからね。

後は寺西さんの体調を観ながら、できる範囲での援助を

頑張ってもらうことにしますね。

祐二
祐二

ありがとうございます。

智子
智子

婦長さん。

ありがとうございます。

 祐二と智子の「幸せになるための旅立ち」が今、始まろうとしていた…

 

(次回へつづく) 

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