
命を懸け、無意識に誰かのために飛び込む人がいる。
その原動力は、使命か、信念か、それとも…本能か。
【メンタルエイド】
BRAND-NEW MUSIC DAYS

毎回、一つの楽曲を徹底考察し、あなたの心に癒しと力をお届けする本シリーズ。
今回は、Vaundyさんの「僕にはどうしてわかるんだろう」を考察します。

※音源が解禁されていますので、以下のリンクからお聴きください。↓
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はじめに

この楽曲は、人命救助のスペシャリストを目指す若者たちの過酷な訓練と成長を描くドラマ『PJ〜航空救難団〜』の主題歌。
※PJ…Pararescue Jumperの略称。

静かに始まるメロディーは、軽快なリズムへと変化し、ドラマティックなサビへと展開していく。
その音の流れには、“突然訪れる非常事態”と、それに応じる人間の本能的な反応が浮かび上がります。
この記事では、タイトルの意味から楽曲の世界観、そして歌詞に込められた想いの本質まで、感覚と言葉をたよりに丁寧に読み解いていきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
楽曲情報とVaundyさんのコメントから読み解く
「使命」や「情熱」はどこから来るのか?

Vaundyさんは、この楽曲について次のようなコメントを残しています。
“使命”や“情熱”というものはどこからやってくるのだろう。
何かを成し遂げる上での根拠のない自信とは何なのだろう。
それはきっと、僕たちが運命に導かれ、何度も繰り返している“輪廻”の中で生きているからなのではと思い、この曲が出来上がりました。
この言葉から浮かび上がるのは、“自分でも理由のわからない衝動”に突き動かされる人間の姿です。
たとえば、誰かの命を救おうとする瞬間。
そこに理屈や条件はなく、ただ「助けなければ」という想いが生まれる。
Vaundyさんは、そうした行動の根源にあるのは“運命”や“輪廻”といった、人智を超えた流れなのだと提示しているように思えます。
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楽曲のイメージから世界観を読み解く
映写機のように記憶が映し出される

この楽曲を聴いた瞬間、ふと脳裏に浮かんだのは「8mmフィルムの映写機」。
ノイズ混じりの懐かしい光が、心の奥に眠っていた“記憶”を一枚一枚、そっと映し出していくような感覚。
そんなビジュアルが、イントロから静かに漂い始めます。
ダンスホールのような優雅さと哀愁

また、メロディーを聴き込んで感じたのは、「ダンスホールを舞台としたミュージカル」のような世界観でした。
少しビターで、でも優雅。現実と幻想が交差するような音の舞台装置が、私たちをどこか懐かしい場所へ連れていってくれます。
転調が生み出す「時間軸の変化」

さらに感じたのは、最初と最後に比べ、曲間にあるサビが微妙に“低く転調”しているということ。
この転調が、「過去」「現在」、そして「未来」へと想いを行き来させる装置のように機能しており、物語性をより深めているように感じます。
歌詞の意味を徹底考察!

それでは歌詞考察に入ります。
楽曲タイトルの意味を含め、印象的な歌詞をピックアップし、深掘りしていきますね。
※全文を知りたい方は、以下のリンクからご確認ください。
タイトルに込められた“問い”と“答え”

楽曲タイトルであり、繰り返される問いでもある「僕にはどうしてわかるんだろう」。
この問いかけには、人間としての”根源的なもの”に触れているように筆者は感じます。
それは、理屈ではなく“感覚”でわかってしまう自分の行動や感情の奥に、実は長い時間をかけて積み重なってきた「記憶」や「他者とのつながり」があるから――
という深いメッセージが込められているようです。
僕以上に、僕以前に、僕よりも 僕のことつくってる
この一節には、今の自分が“ひとりでできたものではない”ことへの静かな気づきと、それを受け入れる優しさが宿っています。
モノクロが意味する“色を超えた記憶”

歌詞の最大の特徴は「シアン」「蒼白」「翡翠」など、印象的な色彩がたびたび登場することにあります。
これらはすべて「青緑」系の色であり、自然や身体、記憶と深く関わるものばかりです。
荒天と海神
蒼炎際立つ
骨相青に溶け
という冒頭のフレーズに始まり、「青緑」はまるで記憶の層を漂う霧のように、無意識と感情の深い部分を彩っていきます。

そしてこの色彩の流れは、自衛隊・航空救難団(PJ)の制服カラーが深緑であることとも静かにリンクしているようにも思えます。
命と向き合う現場にいる人々の“静かな勇気”が、楽曲全体に染み込んでいるような印象です。
やがてその色彩は、「モノクロ」へと集約されていく――
それは“色を失った”のではなく、あらゆる感情が統合された“記憶の本質”だからなのです。
全ての景色が 思い出すためのモノクロ
「セピア」ではなく「モノクロ」。
それは決して色褪せることのない“記憶”であり、今につながる“軌跡”。
「どうしてわかるんだろう」の答えは、自分の無意識に刻まれた記憶が、今もなお心と身体を動かしているからなのかもしれません。
「僕たちは、翡翠の軌跡を生きている」
この一文が象徴するように、Vaundyさんはこの楽曲を通して、私たちがそれぞれに紡ぐ人生の物語、命の連なりを優しく肯定してくれているように感じます。
「僕にはどうしてわかるんだろう」…その答えとは?

“困っている人がいたら、傷を負い、苦しんでいる人がいたら助けなければならない”—— そんな法律があるわけではない。
けれど私たちの中には、古くから語り継がれた“道徳的観念”が生きていて、 ときに「助けよう」と意を決するまでもなく、自然と心と身体が動いてしまう。
これは「無意識」であり、「本能」であり、 ある意味では“人間であること”そのものなのではないでしょうか。
であれば、「僕にはどうしてわかるんだろう」の答えは
- あなたが“人間”だから
- その行動が“授かった運命”だから
- それが“生きとし生けるものの宿命”だから
になるのではないかと筆者は考えます。
まとめ

今回は、Vaundyさんの「僕にはどうしてわかるんだろう」を徹底考察しました。
Vaundyさんの「僕にはどうしてわかるんだろう」は、 私たちが日々の中で見落としがちな“無意識の優しさ”や“本能的な選択”を、 鋭く、そして優しくすくい上げる楽曲だと感じました。

『PJ〜航空救難団〜』という、まさに命を懸けて人を救う物語とともに鳴り響くこの曲は、 “あなたの中にある何か”を静かに揺さぶるのではないでしょうか。
過去から現在、そして未来へと“命と想い”が紡がれていく中で、自分という存在を静かに見つめ直すきっかけとなる一曲。
ぜひ何度でも繰り返し聴いて、あなた自身の「モノクロ」に映る記憶を感じてみてください。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
この他にも多くの楽曲を考察していますので
そちらの方もどうぞご覧くださいね。
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