【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回、あなたの心に届けたい楽曲は
Official髭男dismの「Pretender」です。
2019年5月に発表されたこの曲を、今更歌詞考察するってどうなの?
筆者からすれば「今だからこそ、この楽曲の考察をすべき」だと考えます。
これまでに多くの人がこの楽曲の考察を行っていますが
約3年が経過した今でもヒットチャートのベスト50位以内にランクインし、YouTubeでの再生回数も約4億回に達している理由について触れられているものは少ないといえます。
単なる「映画主題歌」、「恋愛の歌」で片づけられるものではなく
発表された時代背景などを考えると、その真意が分かります。
その「真意」とは何なのか?
ロングヒットの要因なども含め、この歌が届けたかった本質をお伝えしますので、どうぞ最後までご覧ください。
それでは始めていきましょう!
ロングヒットの要因①:「人間愛」を描いたから
冒頭から流れるギターのリフレイン、秘めたる想いや切なさをこれでもかと感じさせるメロディーラインに、情感たっぷりに歌い上げる歌声が重なり合いながらビッグウェーブの如く心の奥深くにまで響く5分36秒のこの楽曲。
先程お伝えしたように、この楽曲が発表されたのは2019年5月。
長澤まさみさん主演の映画「コンフィデンスマンJP~ロマンス編」の主題歌としてでした。
内容を単的にいえば「男女の駆け引き」、「騙し騙され」をコミカルに表現したもの。
実際に作詞を手がけた藤原聡さんも「映画のことを考えながら書いた」と仰っていますから、おそらく大多数の人たちは、この「男女の駆け引き」の部分に注目して「恋愛の歌」と感じているように筆者は感じます。
「Pretender」を日本語に訳すと「~のフリをする」といいますので
「恋に落ちたフリ」や「騙されたフリ」といったことになるのでしょう。
「偽善者」という意味もあるので、ストーリーからも頷けますよね。
ここまでであれば、何とも切ない恋愛の歌のイメージになりますが
それだけではここまでのロングヒットは叶わなかったと筆者は考えます。
では、この楽曲が今なおヒットし続ける要因とは何なのか。
この楽曲が描いているのは「恋愛」ではなく「人間愛」だからです。
どうしてそう考えるのか。
それは、この部分の歌詞に表現されています。
もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな そう願っても無駄だから
引用元-J-Lyrics
「もっと違う」の後に続く言葉「設定」、「関係」、「性格」、「価値観」
そして「世界線を選べたら」、「愛を伝えられたら」へとつながっていきますね。
男性として、女性としての「設定」、「関係」、「性格」、「価値観」。
映画の内容に即していえば「詐欺師と凡人」、「あざとい人と素直な人」などが浮かびますし、「自分と相手の立場が逆であれば」といったことを思い浮かべる人もいるでしょう。
しかしながら考えてみてください。
今、列挙した内容については「男女間でなければいけないこと」ではありませんよね。
男女についてのみならず「同性」であっても十分に通用する「愛情表現」。
筆者がこの歌を「人間愛を描いた歌」とした真意は、ここにあるのです。
君の運命の人は僕じゃない
つらいけど否めない でも離れがたいのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも
甘いな いやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
君は綺麗だ
引用元-J-Lyrics
繋いだ手の向こうにエンドライン
引き伸ばすたびに 疼き出す未来には
君はいない その事実にCry…
そりゃ苦しいよな
引用元-J-Lyrics
1番と2番のサビ部分の歌詞をみてみると、共通して女性をイメージする言葉は「君」。
1番の歌詞に「髪」という言葉があるので、より一層「男女」を意識してしまいますが、このことを「親友」に置き換えてイメージしてみてみても意味は通じます。
実際に同性であっても「君」という言葉は使いますし、髪に触れることだってありますよね。
「君は綺麗だ」については、「相手の何が綺麗なのか?」で意味合いが変わってきます。
単に「表情」や「スタイル」だけではなく、相手に対する「心」や「接し方」においてもいえると考えた場合でも、この歌が「人間愛」を描いていることが分かりますよね。
ただ、この歌がこれほどのロングヒットを続けている要因はもう1つあります。
それは発表された時期から日本においても広まりつつあった考え方が背景にあるのです。
その背景とは何か?
ジェンダーです。
その真意について、次の章でお伝えします。
ロングヒットの要因②:「ジェンダー」を描いたから
日本において「ジェンダー」という言葉が使われ始めたのは1980年代後半から。
当時は学問においての「ジェンダー論」として使われていただけで、広く普及はしていませんでしたが、1990年代半ばを過ぎた辺りから「言葉としてのジェンダー」が使われるようになり、国の施策においても積極的に取り入れられていきますが、まだ一般的ではありませんでした…
一般においては言葉ではなく、ジェンダーの意味合いが広く浸透するきっかけとなったのは、おそらくこのドラマからではないかと筆者は考えます。
当時は社会現象ともなったようですが
問題の本質についてはあまり理解は得られなかったように感じます。
そして約20年の歳月を経て、昨年「新語・流行語大賞」で注目されるようになったのは
あなたの記憶にも新しいことでしょう。
では、どうしてここまで浸透しなかったのか?
愛や性というものについて
どうしても「アダムとイヴ」をイメージしてしまうからではないでしょうか。
アダムとイヴより始まったとされる男女の関係性。
誰もが「愛や性については男女間のみの問題」と捉えがちですよね。
男性と女性を区別するものは「身体のつくり」が一般的で
- ・「胸のふくらみ」
- ・「筋肉の付き具合」
- ・「デリケートな部分の凹凸」 などが頭に浮かぶでしょう。
でもこれって「目に見えるもの」ばかりであって
「目に見えないもの」においての区別はできるでしょうか。
明確な定義のない区別のことを「差別」というのではないでしょうか?
「人を好きになることや愛することに年齢や性別は関係ない」
世間では当たり前のようにいわれますが
本当のところは「関係がある」ような空気感を漂わせていますよね。
ここで「アダムとイヴ」まで戻って考えてみてください。
彼ら、彼女らは「男と女」である前に「人間(人)」です。
このことを、世間一般にいわれる
「人を愛することに年齢や性別は関係ない」と照らし合わせた時
あなたはどのように感じますか?
性を超越し、この世に生きる人間として「人を愛すること」の本質を
この歌の最後の歌詞が教えてくれています。
永遠も約束もないけれど
とても綺麗だ
引用元-J-Lyrics
永遠に誰かのことを愛することはできない。
「ずっと愛し続ける」という約束もできない。
だけど、その想いを抱き続け、表現することはできる。
1人の人間として人を愛することが、誰かの支えや救いになっているとすれば
誰もがその存在を「とても綺麗だ」と称えるでしょう…
筆者がこの歌を「ジェンダーを描いた歌」とした真意は、ここにあるのです。
まとめ
今回は
Official髭男dism の Pretender の歌詞の意味を考察し
この歌が伝えたかった本質についてお届けしました。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは、この他にもたくさんの楽曲をご紹介していますので、ぜひともご覧くださいね。
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