今回の【実録】介護の本質chは
福祉用具の展示に視る行政の気配りに対する違和感 というお話です。
数年前の話になります。
当時、ケアマネージャーをしていた私は更新のための研修を受けるため、社会福祉総合センターという所を訪れていたんです。
社会福祉総合センターというのは、大きく分けるとこんな所です。
- 福祉に関する仕事を紹介してくれる「人材センター」
- 物忘れがひどくなった高齢者などが、第三者に依頼して生活に必要な管理をしてもらいたい時に相談を受けてくれる「権利擁護事業相談」
- 介護保険サービス・障がい者支援サービスを利用した人について、行政が負担する利用料などを一括管理する「介護保険・障がい者給付管理業務」
- 福祉に関するセミナーや研修を行う「研修場」
などを備えています(^-^)
研修場は主に6階になるんですが、休憩時間などには1階のエレベーター横のスペースに喫茶店があり、そこで昼食などを食べられるので、研修などがあるとそこで食事をしながらくつろいだりしているんです。
喫茶を出て左側の空きスペースを見ると、そこにはかなり大きなロビーがあり、福祉に関する展示なども行っていました。
主に展示されていたものをご覧ください。
歩行器やシルバーカー、電動車いす、セニアカー(スピードが出ない三輪バイクのようなもの)。
電動ベッド、床ずれ防止用のエアマット、入浴の際の移動用リフトやシャワーチェアなどが展示されていたんですが、これを見た私にある「違和感」が…
皆さん、分かりますか?
「紙おむつ」や「杖」などが置かれていない。ではありませんよ…(^-^;
私が感じた「違和感」は、「ハード面」ではなく「ソフト面」。
福祉用具が展示されていても、使い方などを説明してくれる人が近くにいない。
ということなんです。
お家で生活なさっておられる高齢者や在宅で介護をなさっている人などは
何も「福祉用具サービス事業所」へ直接行かれる人ばかりではなく
センターで福祉に関する相談などをした後に立ち寄られる人も多くおられると思います。
ご近所の方であれば、なおさらこの「社会福祉総合センター」へ足を運ばれると思うんです。
福祉に関する相談をした後であっても、そこに職員さんの姿は見かけられず…
おそらく私が推察するに
ここに福祉用具を展示していますので、よかったらご覧くださいで「終わっている」のでは…
ドアを挟んだフロアには、おそらく職員さんがおられるんでしょうが、ドアは閉じられたまま。
しかも「福祉用具についてのご相談は、事務局まで」などの案内板もない状態。
多くの業務を抱えて「忙しい」のは理解できるとしても
せめて案内板を設置しておくことや、ドアぐらいは開けておいてもいいのでは?
ベターなのは、その場所の一角にデスクを置いて、福祉用具専門員や社会福祉主事、ケアマネージャーなどを交代で常駐させて、展示をご覧になった人が「どこに質問や相談をすればいいのか」を明確にした上で「困りごと」などを適切に捉え、迅速に「行政窓口」や「福祉用具事業者」などへつなぐこと。
じゃないだろうか…
そんなことを考えながら、研修場へ戻った記憶があります。
研修を終え、帰りに事務局の人に気になった点を伝えてセンターを出たんですが、慌ただしく日々を過ごす中であっても気になっていましたが、なかなか頻繁に行くところではないので、どうなったのかを確認する機会もないまま、時は過ぎていきました…
そして先日、別件の用事があって久しぶりに社会福祉総合センターを訪れた私。
1階の社会福祉協議会で用事を済ませた後、ふと気になったので職員さんに訊いてみたんです。
あの~
ちょっと気になることが
あるんですが
はい。
どんなことでしょう?
同じ階のロビー付近に
展示してあった
福祉用具の件なんですが…
あぁ。あれですか?
今、ここにはありません。
去年から
県営福祉パークの方で展示しています
県営福祉パーク?
職員さんに場所を伺い、その足で「県営福祉パーク」へ向かいました。
近隣には「リハビリテーション病院」などもあって、福祉用具を展示するには格好の場所と考えたのでしょう。
正面玄関を入って左側、奥へ進んだ所の広いスペースに福祉用具は展示してありました。
数年前の「社会福祉総合センター」での展示品の数とは比べ物にならないくらい、いろんな福祉用具が展示してありました。
カタログなども結構充実していて、これならいろんな情報が得られそう…
とは思ったんですが!
しばらくすると、私の目の前に広がっている光景は「数年前に抱いた違和感」と同じことに気がつき、しかもさらに悪くなっている印象すら感じました。
それは何なのか?
展示している福祉用具の近くに人がいない
「福祉用具に関することが事務局まで」などの案内板がない
さらに悪くなっている印象とは、写真をご覧になって分かるように
展示されている場所が暗い ということなんです。
コロナ禍という時節柄、あまり人が来られないことを差し引いたとしても
介護のみならず、人々の暮らしは継続している訳ですから
どんな時でもすぐに対応できるようにしておくことが必要なのではないでしょうか?
高齢者の自立支援を声高にいうのであれば、身体のみならず心からの自己実現力を高める意味合いを含めて、細やかな気配りを行ってもらいたいですよね。
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