最終話:10年後のあなたへ
結婚式を間近に控えた平成11年5月のある昼下がり。
祐二と智子は、車で30分ほど走ったところにある「総合公園」へと出かけた。
陽気に照らされた新緑が目映く、一面に春風の匂いが広がっている。
いよいよだね…。
そうね…。
この公園…
降りしきる雨の中で、祐二が智子に胸いっぱいの愛を伝えた「想い出の場所」…
思えば、はじまりは「缶コーヒー」からであった。
その頃から、お互いに「気になる存在」だったのかもしれない…
初めて施設で行ったイベント。
みんなが同じ方を向いて、懸命に頑張ったイベント後に「知らされた真実」…
ちょっとした仕草、一つ一つに「一喜一憂」していた…
智子のためにできること。 それは、智子の笑顔を守ること…
智子の笑顔 ただそれだけが見たくて、たとえどんなに疲れていても頑張れた…
いつも、どんな時も、傍にいてあげたい。
祐二の想いは、日に日に加速していった。
その想いに応えようと、智子は祐二にすべてを話し「ありのままの自分を受け容れてほしい」と涙を流した…
そして、それは…
降りしきる雨の中で結実した。
2人だけの「秘密」の旅行。
突然祐二を襲った「激痛」…
もがき苦しむ祐二の手を、ずっと握り締め続けた智子…
温かな手のひらのぬくもりが、二人の絆をさらに強くして行く…
今の自分にできることを、心いっぱいに伝えたい。
その想いの末に贈った「プレゼント」。
気持ちを素直に…「愛してる」。
いつしか2人は、結ばれていた…
2人の旅立ちを、応援してくれた両親と家族。
すべての人々が、2人の新たな旅立ちを笑顔で祝福してくれた。
2人での生活が始まり、お互いのことしか見えなくなって次第に苛立ち、ぶつかり合う心の果てに言い争ったこと…
でもそれはきっと神様が「分かってほしいから、人はぶつかり合う」と言うことを、2人に教えたかったのだろう。
出会ってから1年。
共に笑い、共に泣き、共にぶつかり合って過ごして来た日々…
今、想い出の場所にいるのは、あの頃よりも確かな愛を手にした2人。
笑顔で話している祐二と智子の側で、そよ風に優しく花びらを揺らす「ハナミズキ」…
花言葉は… 「私の想いを受け止めて」…
どんなにつらい時も、笑顔だけは忘れずに、あなたとなら…乗り越えて行ける‼
10年後のあなたへ… これからもずっと、一緒に歩いていきたい… 心からの笑顔「Pure Smile」を、温め合いながら…
(エピローグへつづく…)
エピローグ
本日5月9日が、私と妻の22回目の結婚記念日になります。
本編は結婚10周年を記念して、2人の想い出にと書き下ろしたものをベースとして、登場人物の個人名や施設などの団体名においては一部を除いて仮名とさせていただきましたが、できる限り事実に基づく内容を忠実にドラマ仕立てとしてお送りしました。
21世紀を一緒に歩む中で2人の子供を授かり、我が子の成長と共に人としても成長させてくれた妻に、心から感謝しています。
10年後とは2019年にあたり、妻には20周年を記念してオープンハートのペンダントを贈りました。
昨年は新型コロナウイルスの影響もあってお祝いなどは控えていたんですが、今年は息子も21歳、娘も19歳ですので、ささやかながらでもホームパーティーなどを企画して、楽しい結婚記念日を過ごしたいと考えています。
結びとなりますが今、恋愛や結婚を考えているカップルの方々。
そして、これから未来へ向けて「愛する人」との出会いを求めている方へ。
私からのプレゼントとしてこの言葉を贈り、「Pure Smile」を終了したいと考えます。
恋とは、下心。 愛とは、真心。
結婚とは、2人の変わらぬ愛を結び合うこと。
「絆」という名の「赤い糸」で…。
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