はじめに
回転寿司や丼ものを食べるお店のメニューに書かれている「赤だし」。
あなたも目にしたことがあると思いますし「好んで注文します」という方もおられるでしょう。
お椀の蓋を開けると、ほんわかとした湯気の中から芳醇な味噌の香りが鼻をくすぐって、何とも言えず食欲をそそりますよね。
ここであなたに質問です。「赤だしって何ですか?」
多くの人は「味噌汁に決まってるじゃん!」と答えます。
そりゃそうですよね。実際「味噌汁」のように出て来ますから「味噌汁」と考えてもおかしくはないですが、どうも実際はそうではないようなんです。
・味噌汁ではないとすれば、一体赤だしって何なのか?
・どうして赤だしのことを味噌汁だと思うのか?
謎は深まるばかりですけど、ここにはちゃんとした理由があるんです。
今回はこういった「赤だし」の謎について、できる限り分かりやすくお伝えしますので、どうぞ最後までご覧ください!
基本的に「赤だし」は味噌汁ではなくて「味噌風味のお吸い物」です
ではまず「味噌汁ではないとすれば、一体赤だしって何なのか?」という疑問についての私見をお伝えします。
世間一般で思われている「赤だし」が「味噌汁」と言われる要因は「赤だしといえばお味噌汁としてあなたを含めた私たちの頭の中で定義されてしまっているから」に他なりませんが、そもそも論として「味噌汁」は「味噌味の汁物」だということですので、基本的には「赤だし」は「味噌汁」ではありません。
どうしてか?
だしが主役になっているからです。
赤だしのことをあえて「味噌汁」という場合、米味噌や麦味噌(甘みのある味噌)と豆味噌(酸味やいらがっぽさが強い味噌)とをブレンドしたもの(赤味噌)に「だしを利かせたお味噌汁」ということ。その「だし」ですが、言わずと知れて「カツオや昆布などのだし」になります。
だしをふんだんに利かせた汁に少量の赤味噌を加えることで「赤だし」は完成します。
仮に味噌汁とした場合は、味噌が主役になることでしょっぱさや濃さが強くなってしまうために一口飲むと「濃い!」「何か後味が残る」といった印象になるのは、あなたにも経験があるのではないでしょうか?
(そういった場合って、後でたくさん水やお茶を飲んだりしていると思われますが)
ということをふまえて考えると、赤だしは味噌汁ではなくて「味噌の風味を生かしたお吸い物」と捉えるとしっくり来るでしょう。
「赤だし味噌で作るから」「会席の〆で出る汁物だから」という誤解
次に「どうして赤だしを味噌汁と思ってしまうのか」についての私見をお伝えします。
単純に考えると「赤だし味噌で作るから味噌汁」という考え方が最もポピュラーでしょう。
味噌を使う汁物だから味噌汁という考え方には共感はしますが、そうなると味噌ラーメンも「味噌汁」になってしまいます。
「赤だしって書いてあるからだしも入っているでしょう?」とあなたは思うでしょうが、実際のところ多くの赤だし味噌の中にはだしは入っていません。
あるメーカーが製造販売している「赤だし」という商品を例に挙げると、原材料として7つ表記されています。
・豆味噌 ・米味噌 ・麦味噌 ・粉末水あめ(水あめ) ・ブドウ糖 ・酒精
・調味料(アミノ酸など) ・ビタミンB2
この中であなたや私たちが想像する「だし」となるものがありますか?
ありませんよね。
ということは、豆や米、麦で作られた味噌をブレンドしたものを「赤だし」と呼んでいると考える方が自然ではないですか?
こう考えた場合「お湯に味噌を入れただけの汁物」ということになりますが、試しに作って飲んでみると、結構美味しくないです…
ふんだんにだしを利かせて、少しの味噌で作ることで美味しくなるのは分かりますよね。
中には「会席などの〆に出て来る汁物だから」という方もおられます。
確かに会席料理の〆に出て来る「ごはんと香の物(お漬物など)と汁物」は「華やかさ」ではなく「質素」でなければならないですよね。
であれば「赤だし」でなくて「普通の味噌汁」が出て来てもおかしくはないはず。
でも赤だしが出て来るのはどうしてか?
「お吸い物だから」です。
お吸い物は到ってシンプルな味わいで後味もスッキリするので、会席料理全体の余韻を消すことなくバランスも崩さない汁物ですよね。
味噌の風味を感じながらだしの味わいを楽しむという考えで「赤だし」をチョイスしている店舗が多いように私は感じます。
仮に味噌汁とした場合、どうしても味噌の風味が強く後味に残ってしまうので「料理を食べた満足感」はあったとしても「会席料理を食べた」という満足感とは異なる印象が残るのではないでしょうか。
こういったことからも「赤だし≠味噌汁」ということが言えると私は考えます。
まとめ
今回は「赤だし」の謎についてお伝えしました。
「赤だしは味噌風味のお吸い物」という思考は、ある意味秀逸なものだと私は思います。
「赤だし」を飲む時にふと思い出したり、料理を楽しんでいる時の会話の中でこういった話をしてみると、食事がもっと楽しくなるのではないでしょうか。
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