
“ありがとう”と“君が好きだ”の想いを乗せて
紙飛行機は、君の元へ——
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS

毎回、一つの楽曲を徹底考察し、あなたの心に癒しと力をお届けする本シリーズ。
今回は、幾田りらさんの楽曲「恋風」を取り上げます。
▶はじめに

幾田りらさんの「恋風」は、ABEMAが制作・配信している大人気恋愛リアリティ番組『今日、好きになりました。』ニュージーランド編の主題歌として書き下ろされた楽曲です。

温かみのあるメロディーと、透明感あふれる歌声が、聴く人の心に優しく寄り添い、恋愛に対して前向きな気持ちを届けてくれる――
そんな一曲です。
この記事では、「恋風」というタイトルが指す“恋の風”とは何か、歌詞に込められた想いや感情を丁寧にひも解きながら、この楽曲が私たちに伝えてくれる“新しい恋の始まり”を考察していきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
▶楽曲イメージ

この「恋風」という楽曲を初めて聴いた時、私の心に浮かんだ情景は、「陽の光が差し込むテーブルに佇む砂時計」でした。

それは、風がそよぐ窓辺にある、誰もいない静かな部屋。
窓から柔らかい光が差し込み、木のテーブルの上には、小さな砂時計が静かに佇んでいる。
さらさらと落ちる砂の音が、時間の流れを穏やかに刻む――
この風景には、「過ぎていく時間」と「そこにある確かなぬくもり」が同時に存在しています。
それはまるで、「恋風」の歌詞に描かれる心の変化そのもの。
- 過去の恋で傷ついた“僕”が、まだ前に進めずにいる静かな時間
- でも、君と出会ったことで、部屋に風が吹き、光が差し込み、心がほんの少しずつ動き始める
この楽曲には、大きなドラマも叫びもありませんが、内側で起きる感情の揺らぎや、丁寧な一歩の重みが、砂時計のように静かに、でも確かに伝わってきます。

幾田りらさんの声もまた、その風景に寄り添うように、光の粒子のように繊細で優しい。
温かな風が吹き抜けるようなサウンドとともに、心にそっと触れてくれるのです。
だからこの楽曲は、「新しい恋を始める勇気をくれる歌」でありながら、「過去の恋も、優しく抱きしめてくれる歌」でもあると、筆者は感じています。
▶歌詞の意味を徹底考察!

それでは、いよいよ歌詞考察に入ります。
歌詞全体を通して感じるのは、恋に落ちる瞬間の不安とときめきが交錯するリアルな心情。
でもそれは、決して激しく燃え上がるような恋ではなく、じんわりと心に灯る恋のはじまりです。
歌詞の中で印象的なフレーズをピックアップしながら、意味を深掘りしていきましょう。
※JASRAC管理楽曲のため、すべての歌詞は掲載していません。
詳しく知りたい方は、以下のリンクからご確認ください。
・“いつかの恋の後遺症”――真っ直ぐだからこそ引きずる想い
いつかの恋の後遺症で
踏み出せなくなってしまっていた
たまに疼いて痛くって
臆病になる
恋の“後遺症”という表現はユニークでありながら、とてもリアルですよね。

忘れたつもりでも、ふとした瞬間に疼いてしまうような心の痛み。
『もう2度と、こんな痛みは感じたくない』から臆病になってしまう…
恋をしたことのある人なら、誰もが共感できるのではないでしょうか。
・“ふわり”“ゆらゆら”“ぐるぐる”――心の動きを可視化する言葉たち
ふわり
空いた心にそっと
宙になってゆらゆら
行ったり来たり
ぐるぐる巡ってる
体温が上がっていくような

歌詞には擬音語・擬態語が多用されています。たとえば:
- ふわり:君との出会いが、空気のように自然に、優しく心に入り込んでくる様子
- ゆらゆら:恋心に揺れる気持ちの不安定さと、心地よさの両方を表現
- ぐるぐる:考えても答えが出ないもどかしさ、会いたい気持ちの渦
このような言葉選びが、恋をする過程の微細な感情の揺れを繊細に描写しています。
・“伝えたいのに、伝えられない”――誰もが抱く“恋の風景”
君が今何をして
どこで誰と笑っているんだろうって考えて
会いたくなったり
美しいものを見ると
知らせたくなったりして
もどかしくなる
このフレーズには、恋をしている時の典型的な“胸のざわめき”が凝縮されています。
- たまたま立ち寄ったカフェで飲んだコーヒーが美味しかった
- 何気に視線を向けた場所に咲いていた花がとても綺麗だった
日常のちょっとした出来事であっても伝えたい…

ふとした瞬間に、今あの人は何をしているんだろう――
スマホを開いて連絡しようか迷ったり、共有したい景色を見て写真を撮ってしまったり。
でも… 番号の最後の一桁が、送信ボタンに指がかかるけど… 押せない——

筆者自身も、かつて同じような気持ちになったことがありますが、これら誰もが経験した“恋の風景”を、幾田さんは自然体で描いています。
・“心の葛藤“を超えた時、”恋のはじまり“を知る
恋に落ちることはきっと
もっと簡単だっていいはずだ
このフレーズには、心の葛藤がにじんでいます。
「好き」という気持ちに気づいていながら、踏み出すことが怖い。
恋は簡単なはずなのに――
そう思いながらも、どうしても慎重になってしまう自分。
それでも、君と出会ったことで、その壁を超えようと思えた。
それこそが、本当の“新しい恋のはじまり”なのです。
・“「君が好きだ」”――真っ直ぐな気持ちを“紙飛行機”に乗せて
きらり
光った想いをぎゅっと
ちゃんと抱きしめて行く
今なら
君が吹かせた風に乗って
確かな一歩 踏み出すよ
「君が好きだ」
物語のクライマックス。
傷ついた過去を癒し、新しい恋を始めようとする“僕”の決意が描かれています。
ここでの“風”は、もう臆病な僕を揺らすだけの風ではありません。
前に進むための追い風です。
そして、その風を吹かせたのは――「君」。

最後に放たれる「君が好きだ」の言葉は、想いを乗せた紙飛行機のように、まっすぐに、そっと君の元へ届いていきます。
▶まとめ:恋風とは、どんな風?

今回は、幾田りらさんの楽曲「恋風」を徹底考察しました。
恋をすることに臆病になっていた主人公が、
君という“風”に出会い、少しずつ心を開いていく。
「恋風」には、そんな“恋の再生と成長の物語”が描かれています。

音楽は、聴くたびに新しい気づきを与えてくれます。
- 涼風、温風、熱風
- そよ風、強風、暴風
- 追い風、向かい風
日常の中にある“風”は、さまざまな表情を持ちますが、
“恋風”とは、心地よく肌をくすぐるような、そっと背中を押してくれる優しい風だと筆者は感じました。

あの日、風に乗って飛んでいった紙飛行機は、今、どこを飛んでいるんだろう。
きっと、あの「君」の心に、そっと届いていると信じたい。
もしかしたら今、あなたの隣にも——
そっと恋風を吹かせてくれる誰かが、いるかもしれませんよ。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは、他にも幾田りらさんの楽曲を考察しています。
よろしければ、そちらもぜひご覧くださいね。
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