
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】
BRAND-NEW MUSIC DAYS

毎回、一つの楽曲を徹底考察し、あなたの心に癒しと力をお届けする本シリーズ。
今回は、福山雅治さんの楽曲「クスノキ」を考察します。
◆ はじめに

「クスノキ」は、福山雅治さんが2014年にリリースした2枚組アルバム『HUMAN』の冒頭を飾る一曲。
そのモチーフとなったのは、福山さんの故郷・長崎に実在する「山王神社の被爆クスノキ」です。

1945年、原爆によって被爆も奇跡的に生き延びたこの木は、“命の象徴”として、静かに時代を見つめ続けてきました。

そして2025年、戦後80年の節目を迎えるにあたり、NHKが被爆80年の特別企画としてこの楽曲を取り上げると発表。
先行して、新たに編曲された「クスノキ」が、令和7年6月3日よりNHK「みんなのうた」にて放送されます。

世界情勢が揺れ動く今、この曲が新たな意味を帯びて注目を集めていることが窺えるのではないでしょうか。
本記事では、楽曲の持つイメージと歌詞を丁寧に読み解きながら、「クスノキ」が私たちに何を伝えようとしているのか、その本質に迫っていきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
◆ 楽曲イメージ ~祈りをたたえる静寂~

静かに流れるピアノソロ。
重なるギターの旋律。
音と音の間に生まれる“間”には、涙がこぼれ落ちるような余韻があります。
福山さんの歌声もまた、抑揚を抑え、あくまで静かに、淡々と語るよう。
それは“悲しみ”でも“怒り”でもなく、それらを超えた「祈り」に近い。
まるで、“命の声”として、心の奥深くまで沁みわたっていくのです。
◆ 歌詞の意味を徹底考察!

それでは歌詞考察に入ります。
※歌詞は考察の一環で引用しています。
全文は公式リンクよりご確認ください:
▶ クスノキの声に耳を澄まして
冒頭で歌われるのは――
我が魂は この土に根差し
この語り口は、まるでクスノキ自身が語っているように感じますよね。
でもそれは、ただの“木”ではありません。
原爆で命を落とした人々の魂を背負い、今もなお生きる“記憶の器”だと筆者は考えます。
後に続くフレーズ――
決して朽ちずに 決して倒れずに
この丘で生きる
我が魂は 奪われはしない
この身折られど この身焼かれども
涼風も 爆風も
五月雨も 黒い雨も
ただ浴びて ただ受けて
ただ 空を目指し
爆風や“黒い雨”にただ身を任せ、それでも空を目指す。
そこにあるのは、怒りでも、叫びでもない。ただ、静かなる受容。
そして、ただ“在り続ける”ことの力強さを表していると筆者は考えます。
▶ “片足鳥居”が語る記憶

歌詞に登場する「片足鳥居」は、長崎・山王神社に実在する被爆遺構。
片側の柱を失いながらも立ち続けるその姿は、記憶を今に伝える“生き証人”です。
クスノキと並び立つように、戦禍を超えて残るその姿は、平和の脆さと、命の強さを私たちに語りかけてきます。
▶ 葉音で歌う、生命の叫び
終盤で印象的なフレーズが登場します。
葉音で歌う 生命の叫びを
葉が風に揺れる、かすかな音。それを「叫び」と表現するこのフレーズ。
まるで、“命が命を想う”、そんな静かなる絶唱のようです。
耳を澄まさなければ聞こえないほど繊細で、それでいて揺るぎない魂の声…
その声は、こう語りかけてくるかのようです――
◆「クスノキ」が語りかけるメッセージ(ミニポエム)

私の姿を、生き様を
あなたの瞳の中に焼き付けなさい。
そして、あなたの大切な人と共に
私に誓うのです。
「今在る幸せを、平和を、決して手離さない」と。
◆ 「我が魂」はここに在る
~平和を、祈りではなく生き様で~

「クスノキ」は、単なる反戦の歌ではなく、レクイエムでもありません。
それは、「言葉ではなく、生き様で平和をつなぐ」というメッセージを秘めた楽曲です。

焼かれ、折られながらも根を張り続けるその姿。
それは、「我が身」がどうなろうとも「我が魂」はここに在るという不変の意志の象徴。
そしてその魂は、決して過去のものではなく、“今を生きる私たち”に託されたバトンなのだと筆者は考えます。

ただ祈るだけでは、もう足りない。
ただ願うだけでは、届かない。
今ある平和を「生きること」
そのものが、最大の祈り。
「クスノキ」は、そう静かに、けれど確かに、問いかけてくるのです。
◆ まとめ

今回は、福山雅治さんの楽曲「クスノキ」を徹底考察しました。

この曲に宿るのは、戦火を生き抜いた木の“記憶”であり、その記憶に重なるように語りかけてくる、未来への祈り。
そしてその祈りは、遠い過去の出来事ではなく、今、私たちがどう生きるかを問いかける“現在形のメッセージ”です。
どうかこの曲に、そして、クスノキに宿る御霊の声に、そっと耳を澄ましてみてくださいね。
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