
――抗えない、逃れられない。
2つの”運命”が交差する時、人はこう呟く――「うそだろ…」
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS

毎回、一つの楽曲を徹底考察し、あなたの心に癒しと力をお届けする本シリーズ。
今回は、Snow Manの楽曲「W」を取り上げます。
▶はじめに

Snow Manの「W」は、2025年7月よりスタートする櫻井翔さん主演の日本テレビ系ドラマ「放送局占拠」の主題歌として起用された楽曲。

本作『放送局占拠』は、神奈川県を舞台に、
仮面を被った武装集団による“占拠事件”に巻き込まれた人々と、
それに立ち向かう刑事・武蔵三郎(櫻井翔)が描かれるサスペンスアクションです。
シリーズは、2023年の『大病院占拠』から始まり、2024年の『新空港占拠』、そして2025年の『放送局占拠』と展開。
回を追うごとに敵の真の目的が明らかになっていくスリリングな展開と、正義のあり方を問い直す重厚なテーマが支持されています。
主題歌である「W」は、この“占拠シリーズ”の核心とも言える「善悪の揺らぎ」や「人間の内面の葛藤」を象徴するような楽曲となっています。
本記事では、「W」の楽曲イメージやタイトル、そして歌詞の意味を丁寧に深掘りしながら、Snow Manがこの曲に込めた想いと、そこから浮かび上がるメッセージを読み解いていきます。
どうぞ最後まで、お付き合いください。
▶楽曲イメージ

最初にこの楽曲を耳にしたとき、思い浮かんだのは“勧善懲悪”の物語でした。

白と黒、正義と悪が明確に分かれ、戦隊ヒーローが悪を打ち倒す――
そんなシンプルで痛快な世界。
実際、占拠シリーズのドラマ展開もまた、
仮面に覆われた敵と対峙する緊迫のサスペンスが繰り広げられます。
しかし何度も聴くうちに、その印象は大きく変化しました。
鳴り響く重低音、めまぐるしく変化する展開、そして感情の揺らぎ。
そのとき脳裏に浮かんだのは、駅や空港にある“行先案内板”でした。

カチカチと音を立てて絶え間なく切り替わる表示は、
あたかも選択肢を突きつけてくるようでもあり、どこにも向かえない迷子のようでもある――
そんな“混迷の象徴”としてのビジョンが見えてきたのです。

「正しい道はどれか?」
「本当の自分はどこにいるのか?」
そんな葛藤や分岐のイメージこそが、「W」の核心なのではないかと感じています。
▶歌詞の意味を徹底考察!

それでは、いよいよ歌詞考察に入ります。
印象的な歌詞をピックアップし、ドラマの内容を踏まえながら、丁寧に深掘りしていきますね。
※JASJASRAC管理楽曲のため、すべてのすべての歌詞は掲載していません。
くわしく詳しく知りたい方は、以下のリンクからご確認ください。
■”逃げ出せない”から”逃げない”へ―己の本心と向き合う「葛藤」
I don’t know what to do
遠く沈むThe day
戻れないよ 足掻いてても
Take me out from here
迫るlimit 逃げ出せない
Future, oh where the truth? 常に問うよ
これらのフレーズは、ドラマの主人公・武蔵と仮面の武装集団、
双方の心情を代弁しているように響きます。

現実においても、澱んだ社会の中でもがき苦しみ、
何とか這い上がろうとする人々の姿に重なるものがあるでしょう。

心の苦しみに耐えかねて、もうどうしていいのか分からない――。
過去には戻れない。
けれど、このまま進んでいけば本当に明るい未来が訪れるのか?
この世の正義はどこにあるのか?
残された時間は限られている。
もう限界が近い。
ならば答えはひとつ――
「出口のない問い」に立たされながらも、それでも“光”を信じて進もうとする私たち自身の姿そのものでもあります。
■俗世の”煩悩”の中で、自分の中にある弱さや矛盾と対峙する
Road scenes それぞれの想い
口に出せず潜めている
No more time どうすればいい?
時が嘲笑う 運命のままに
曲調とともに視点も変化します。
筆者はこの部分を、仮面の武装集団たちの内面と重ねて解釈します。

人間の心の奥底に潜む「貪欲」「憎悪」「怠惰」「疑念」――それらを象徴する彼ら。
もしそうだとすれば、武蔵が対峙する敵とは、現実に蔓延るあらゆる“煩悩”そのものではないでしょうか。
そしてこの歌詞は、私たちが日常の中で出会う“鬼”とも呼べる存在――
あるいは、自分の中の弱さや矛盾――と対峙する姿でもあります。

本音を押し殺し、言いたいことも言えず、ただ時間だけが過ぎていく日々。
そんな“現代人の閉塞感”を鮮烈に映し出しているように感じられるでしょう。
■善でも悪でもない、“誠実さ”というたった一つの光
I am a lover not a fighter
だから I’m always 迷いながら
白と黒の狭間 試される選択
“What is right?” 答えは無い
だけど I will fight for me 戦う
生きる意味を問いながらも立ち向かってく Yeah…
楽曲のメッセージの核心が語られています。
“Lover”と“Fighter”――
愛する人のために、私は戦士となる。
その理由は人それぞれでも、根底には「護りたい想い」があります。
「白と黒の狭間で試される選択」とは、正義(justice)と罪(guilty)の対立構造ではなく、
もっと曖昧で複雑な現実を意味しているのではないか。
筆者はここで「justice(正義)」と「guilty(罪)」という英語の対比から、
狭間にあるのは「honest(誠)」なのではないかと考えました。

善でも悪でもない、“誠実さ”というたった一つの光。
それは、誰かを傷つけないために、あるいは誰かを救うために選ぶ行動の根拠であり、
答えのない世界において、自分を信じ続けるための“支え”です。
だからこそ、「答えはない」のであり、どんな時も狼狽えることなく
それでも「自分のために戦う」と言える強さを胸に抱き、今を生きろと伝えているのではないでしょうか。
■”過去の闇”と”未来の光”の狭間に、待ち望む”誠”がある
Every time I see 君は今何を待つ?
答えのない自問自答繰り返している
Don’t be afraid to love 飲み込まれても
‘Cause you gotta trust me You’re gonna be…
過去に囚われ、未来への希望も見えずにいる今、待っているものとは何なのか。
今、目の前に広がる現実と向き合うことしか答えを導き出すことはできない。
過去の闇と未来の光の狭間に、あなたが待つ「誠(真実)」はあるのだ。

ブリッジ部分の最後のフレーズ
‘Cause you gotta trust me You’re gonna be…
直訳すると「貴方が私を信じてくれたらあなたは…」となりますが
You’re gonna be…の後に続く言葉があるはずですよね。
この後に続く言葉が、何になるのか。
筆者は「okay(OK)」であると考えます。
信じることを止めなければ、必ず未来は明るいものとなる。
過去に縛られ、煩悩に支配された心を解き放つことができるのは
誠の心を取り戻すことであり、本当の愛を信じること…
こういったことから、この部分は「You’re gonna be okay」であると考えられるのです。
▶まとめ

今回は、Snow Manの楽曲「W」を徹底考察しました。

Snow Manの「W」は、“二面性”や“選択”といったテーマを、
力強いビートと繊細な歌詞で描き出した名曲です。
ドラマ『占拠シリーズ』の主題歌としての役割を果たす一方で、
この曲は聴く者の心に直接問いかけてきます。
――「あなたは、誰のために、何のために戦っていますか?」
白か黒か、正しいか間違っているか。
そんな単純な問いではない。
この曲が教えてくれるのは、
「未来の光を信じ、その光によって過去の闇を解き放つことの勇気」
「自分の中にある“誠”を信じ続ける強さ」です。
それこそが、混迷の時代を生き抜く“リアルな正義”なのかもしれません。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも彼らの楽曲を考察しています。
そちらもぜひ、ご覧くださいね。
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