
――今、あなたは幸せですか?
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS

毎回、一つの楽曲を徹底考察し、あなたの心に癒しと力をお届けする本シリーズ。
今回は、藤井風さんの楽曲「Hachikō」を取り上げます。
▶はじめに

2025年9月リリース予定の全英語詞アルバム『Prema』に先駆けて発表された、藤井風さんの新曲「Hachikō」。
その穏やかでグルーヴィーなビートに、英語と日本語のリズムが柔らかく溶け合い、まるで現代の祈りのような静けさと強さを湛えています。
今回は、そんな「Hachikō」に込められた歌詞の意味を丁寧に読み解きながら、なぜこの楽曲が今、私たちの心に響くのかを考察していきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
▶楽曲イメージ~“雑踏”と“回り続けるアナログ時計”の中で

この曲を初めて耳にした瞬間、
私の脳裏に浮かんだのは――
渋谷の雑踏を行き交う人々と、ただひたすらに時を刻み続けるアナログ時計でした。

止まることのない喧騒のなかで、
私はひとり、大切な“誰か”をただ静かに待ち続けている。
そしてふと気づくのです。
この街には、それぞれの時間を生きる人々がいて、
誰もが何かを抱えながら、それでも今日を歩いているのだと。

足取り、歩幅、うつむく視線――
そんなささやかな仕草に、言葉にならない想いがにじんでいて、
それはどこか、私自身の心とも重なっていく。

歌詞に在る「Doko ni iko Hachiko(どこに行こうか、ハチ公)」
何度も繰り返されるこのフレーズが、
まるで雑踏のなか、ふいに聞こえてくる心の声のように。

それは静かに、けれど確かに、
私の心に問いかけてきます。
――『今、あなたは、幸せですか?』と。
▶歌詞の意味を徹底考察!

それでは、いよいよ歌詞考察に入ります。
ほぼ英語の歌詞の中で、印象的なものをピックアップし、深掘りしていきますね。
※JASRAC管理楽曲のため、すべての歌詞は掲載していません。
詳しく知りたい方は、以下のリンクからご確認ください。
“You’ve been patiently waiting for me”
あなたはずっと、辛抱強く私を待っていてくれた。
→ これはまさに“ハチ公”の心そのもの。
けれど同時に、それは私たち一人ひとりの中にも宿っている感情なのかもしれません。

忙しさにかき消されそうな日々の中でも、心のどこかで「大切な誰か」とつながっていたいと願う私たちの姿が重なります。
“Just be kind and open hearted”
ただ、優しくて開かれた心でいよう。
→ 藤井風さんがこれまでの楽曲でも伝えてきた“慈しみ”の精神が、ここでも響きます。

混沌とした社会の中で、「やさしさを忘れない」ことが、どれだけ大きな力になるかを改めて教えてくれます。
“This time I’ll never let you go”
今度こそ、あなたを絶対に離さない。
→ この短い言葉に滲むのは、“過去への後悔”と、“もう二度と離さない”という強い決意。
愛する誰かを失ったことがある人なら、きっとこの想いに共鳴できるのではないでしょうか。

再び出会えたときに、「もう二度と手放さない」と誓うその想いは、過去の痛みを知っているからこそ出てくる強さなのかもしれません。
“We don’t need to rush, take it slow”

さらに、楽曲終盤では、この直前に
“We don’t need to rush, take it slow”
急ぐ必要なんてない、ゆっくり行こう。
このフレーズが重ねられています。
→これは、現代社会に蔓延している“空気”への警鐘だと筆者は感じました。

現代は、スピードと効率が優先されがちな時代。
でも「Hachikō」は、あえて“待つことの意味”や“ゆっくりと育む想い”に光を当てているように感じます。

まるで日々に追われる私たちの肩に手を添え、背中をふっと撫でてくれるよう。
心のざわつきをリセットし、私たちの本来の“リズム”――心の奥で静かに流れている、やさしさや思いやり――を取り戻そう。
そんな風に、この歌は静かに、でも確かに語りかけてくるのです。
▶まとめ

今回は、藤井風さんの楽曲「Hachikō」を徹底考察しました。
「Hachikō」は、忠誠心という“静かな強さ”と、愛する誰かを思い続ける“やさしさ”を兼ね備えた珠玉の一曲です。

ハチ公のように、ただひたむきに“誰か”を想う気持ちは、
決して過去の物語ではなく、今を生きる私たちの中にも確かにある。
そして、メロディーに乗せて、ふいに届く一つの問い。
――今、あなたは、幸せですか?

渋谷の雑踏にそっと溶け込みながら、この歌は、今日も誰かの心に寄り添い続けているのかもしれません。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも藤井風さんの楽曲を考察しています
彼の音楽の世界観を、ぜひご堪能ください!
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