昭和16年12月8日。
当時の日本軍がアメリカ・ハワイの真珠湾に展開していたアメリカ軍を攻撃したことから「太平洋戦争」は始まった。 と、私は歴史の授業で習いました。
あれから80年の歳月が流れ、時代は昭和から平成、そして令和へと移り変わり、太平洋戦争に関する記述や情報については、現存するものがありますが、こと歴史に関する教育や史実については、時代の変革によって歪められているものが多くあるように私は感じます。
戦争当事者が語る内容と学校教育との間には大きな食い違いがみられ、まるで「先の戦争を美化する」かのような記述もみられるようであり「何に忖度しているのか?」と疑わざるを得ない実情が広がっていますが、あなたは感じていませんか?
終戦の日と比べると、あまりメジャーではない印象の「開戦の日」ではあっても、ここでの選択を間違えなければ、3年9カ月後の終戦に至るまでの悲惨な状態を回避できたのかもしれませんよね。
今回「子育てちゃんねる」からお伝えする
【開戦の日】Z世代の子どもたちは、現世をどう見ているのか
この記事では、私の子どもたちが、学校の宿題に出された「音読」にまつわるエピソードから現世の社会状況などをふまえ、戦争がもたらすものや平和の尊さなどについて、Z世代の子どもたちがどのように見ているのかをお伝えしていきます。
それでは始めていきますね。
純粋な子どもたちの心に刺さる戦争の悲しみ、そして…
まずは、私の子どもたちのエピソードからご覧ください。
当時、息子は小学3年生、娘は小学1年生でした。
子どもたちが発した言葉の1つ1つは、そのことをどのように感じたのかを私と妻に話した素直な想いとして捉えてくださいね。
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それは日常の何気ない光景の中、突然に起こった。
仕事から帰り、いつものように子どもたちの連絡帳チェックやお手紙の確認などを忙しく行っていると、私の元へ息子が教科書を手にやって来た。
「音読の宿題」とのことで「今までは○○ページの□行目まで」ということであったが、今回はフルバージョンでお送りしましょう。てなことで、早速息子は読み始めた。
「ちいちゃんのかげおくり」というお話である。
戦時中、お父さんが出征して行く前の日に、家族で空に放った「かげおくり」。 その頃の空はまだ青く澄んでいて、ちいちゃんにとっても楽しいものであったが、戦況が悪化し、次第に空襲がひどくなるにつれて、空は爆撃機や被弾した建物などの煙などで、どす黒く変化していく。 空襲の最中、お母さんとお兄ちゃんと一緒に避難しようとしていたちいちゃんは、焼き付ける炎から懸命に逃れようとする人々の混乱で、はぐれてしまう。 近所のおばさんらしき人に導かれ、なんとか防空壕へ避難するがお母さんとお兄ちゃんは行方不明のまま。翌日、防空壕から出てきたちいちゃんの見た光景は… 暑さの中、飲まず食わずの状態で意識がなくなる寸前のちいちゃんが、ふと空を見上げると、あの頃家族でやった「かげおくり」のことを思い出し、やってみようとすると、どこからともなくお父さんの声が… 一緒にやっていると、お母さんとお兄ちゃんが笑顔で手を振っている。 ちいちゃんが駆け寄って行くと、そこは一面の花畑… こうして小さな少女の命は消えた。
大まかなあらすじは以上であるが
以前は何かと音読に関しては感情がこもってなく、「棒読み」状態であった息子。
しかし、今回の音読は、何とも情感いっぱいで
聞いていてその光景が鮮明に浮かんでくるから素晴らしい。
ふ~ん。だいぶ成長したんだねぇ~
息子の成長を喜んでいると、傍らから「う…う……」と。
いつのまにか息子の隣に座っている娘の様子がおかしい。
どうしたん? と尋ねても「う…う……」と顔を伏せたまま体を震わせている。
どないしたんや? と娘の肩に手をかけた。
その時である。
「うわ~~~~~~~~ん!(ToT)」
突然娘が号泣し、私の胸に飛び込んで来たのである。
何のこっちゃ分からず、体勢は極めて悪い状況の中であったが何とか娘を受け止め、必死になだめるが、娘は泣くばかり。
落ち着いて!どうしたん? と聞くと、娘はようやく泣き止んで、
「ちいちゃん死んじゃった…お父さんも…おがあざんも…おぢいじゃんぼ~~~(ToT)」
と言ってまた号泣…
その横では、音読し終わった息子まで目に涙をいっぱいにしている。
ひとしきり泣いて落ち着いた娘。
息子とともに「ちいちゃんのかげおくり」についてどう思ったかを尋ねると
- 戦争はこわい。
- 大好きな家族と離れるなんていやだ。
- 何もしていない人を殺してしまうなんておかしい。
- どうして国の偉い人のケンカをお父さんたちが代わりにやらないといけないの?
- その人たちでケンカしといたらええやん!
などが彼らの口からどんどん出てきた。
子どもたちがもう少し大きくなったら「ヒロシマ」「ナガサキ」のことをもっと知る機会が訪れるであろう。
でもその前に、戦争がどれほど愚かなことか、平和がどれほど尊いものなのかを、この日子どもたちは理解してくれたようである。
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エピソードは、ここまで。
ちいちゃんのかげおくりは、私ではなく妻が習った記憶がありました。
ちいちゃんという女の子の目線から戦時下の人々の状況がよく分かる話ですよね…
当時、小学生だった私の息子と娘。
今は立派に成人となっていますが、彼らが現世をどんな風に見ているのか?
私はとても知りたくなりました。
開戦の日を前に、彼らの当時の想いと今の世の中をどう思うかを聴いた内容が次の章にあります。
Z世代の彼らは、現世をどう見ているのか。
続きをどうぞご覧ください。
Z世代の子どもたちのリアルな考え方
先日、この話を22歳になった息子ともうすぐ20歳になる娘に話すと、子どもたちは当時のことを鮮明に憶えていました。
そして、成人となった今、世の中をどう思うかを尋ねると、息子はこう話してくれたんです。
よく今の日本は平和ボケしているという人がいるけど、ある意味それって幸せなことだと思う。だって、何の不安も感じない世の中って平和ってことなんだと思うからね。
不況が続いてコロナがやって来て、不安なことが増えている中で、ぼくらのことなんか考えずに自分たちのことばかり考えている政治家が「憲法改正」とかばっかり言ってるのは、どう考えたっておかしい。
今の人たちって、戦争したくてたまらないんじゃない?
最後の言葉に、私はゾッとしましたが、息子はさらにこう続けました。
戦争したいんだったらすればいい。でも、それにはルールがあって。
人を巻き込まずに、したい人だけすればいい。
ぼくは、あの頃と想いは変わらない。許される戦争なんかありえない。
殺し合いに加担したり徒党を組んだりなんてナンセンス。
「そうでなければ平和は生まれない」と言うなら
ぼくは、ぼくのやり方や考え方でみんなを護る。
続いて、娘に聞いてみると
私がお兄ちゃんの音読を聞いた後、私も同じことを習ったけど、悲しくてまともに読めなかった。授業の後でお友だちと話したけど「なんか怖いね」くらいの返答だった。
お父さんがあの時私たちに話してくれた「戦争は、国が認めた人殺し」という言葉がものすごく印象に残っていて、国に自分たちの命を取られるなんてバカらしいと思うようになり、人間はたくさんの大切な人に見守られながら死ぬのが一番幸せなんだと感じた。
誰かが幸せになると、そのことを妬んだりする人がいて
誰かが幸せになろうとすると、何か粗探しして邪魔をする人がいる。
今はそんな世の中だから、きっとみんな幸せになれないんだと私は思う。
ものすごく鋭い視点だな…
そう思っていると、娘はさらにこう続けました。
何某かの縁があってこの地球に生まれて一緒に生きている人たちなんだから、想いや考え方が違っても、お互いにもっとよく知ることが大切だと思う。
よく知りもしないで感情のみで行動するから争いが起きる。
人間って、ちょっとしたきっかけがあれば、お互いに分かり合えることも多いと私は思う。
なんか…
私の方が学校で教わっているように感じてしまいました。
まとめ
今回は
【開戦の日】Z世代の子どもたちは、現世をどう見ているのか
と題してお伝えしました。
文科教育に関する予算が、防衛予算よりも低い実情の日本。
悲しい歴史が繰り返されることのないように
私たち大人がしっかりと監視していく必要があるのではないでしょうか。
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