「人生の終焉」である「死」。
「人は生まれた時から死へ向かって歩みを進めている」などといわれると、何とも寂しい気分になりますが、決して間違ってはいないことなだけに考えさせられますよね…
普段何気なく過ごしていても隣り合わせの存在である「死」については、あんまり深く考えたことがない方も多いと思いますが、いい機会ですのでここでじっくりと考えてみましょう。
「人の死」については「順番」があって、年齢の高い方から逝かれるものだという風に考えがちですが、不慮の事故や容体急変による急逝、衝動的に自らの命を絶つなどによって、決してそうとも言い切れない昨今の状況を考えた時、遺された人たちの胸中は穏やかなものではないことは容易に理解できるでしょう。
如何なる状況であっても、人は誰もが愛する人や家族などに看取られ、送られて別の世界へと逝く訳ですが、中には家族や親族が既に他界していて「身寄りがいない人」もおられます。
筆者がケアマネージャーとして担当していた高齢者がそれに当たり、自宅で心臓発作を起こして急逝されたとの一報を受け、お家を訪れた際には救急隊が引き揚げる所で「こちらから警察へは連絡しているので。事情聴取があるようです」と。
程なくして警察が到着し、事情聴取が始まったんですが「親族の方は?」との問いに「この方には既に親族や血縁関係のある方は他界していて、いらっしゃいません」と伝えるのみ。
警察も困惑した様子で調べていましたが、どれだけ探してもやはり親族などはいませんでした。
誰にも看取ってもらえない。誰にも送ってもらえないなんて、悲しいですよね…
でも、こういった場合において「きちんと看取り、送ってくれる人や場所がある」となったら、あなたはどう思いますか?
何とも心強いですよね。
そこで今回は「身寄りがいなくても安心して余生を過ごせる情報」として、とある自治体が行っている取り組みなどを見ながら、今からでもあなたにできることについてお伝えします。
「身寄りがいない人が亡くなったら、その人はどうなってしまうの?」という疑問から
実際に行われている行政サービス、今からでも行える手続きなどにおいてもお伝えしますので、どうぞ最後までご覧ください。
それでは始めていきましょう!
身寄りがいない人が亡くなったら、その人はどうなってしまうの?
「身寄りがいない人が亡くなったら、その人はどうなってしまうの?」
ストレートに言い換えれば、タイトルにもある
「身寄りがいない人が亡くなったら、葬式は誰がするの?」になりますよね。
結論からいうと
「自治体の首長が喪主となって速やかに火葬され、官報にて公告。一定期間保管後、無縁仏として納骨などが行われる」ということになるようです。
少し詳しく見ていきましょう!
身寄りがいない人が亡くなった場合は「行旅病人及び行旅死亡人取扱法」という法律に則って対応されます。(内容についてはコチラのリンクからどうぞ)
これはお家で独り暮らしされている人だけではなく、施設で暮らす人にも同じく適用されます。
ただ、施設で暮らす人については、介護保険制度が始まってから少し様子がおかしくなったことがありました。どんなことがあったのか?
介護保険制度が始まる前までは、施設(主に特別養護老人ホーム)に入所する際には「措置制度」というものが存在していて、葬式(葬祭)を執り行うには「老人福祉法第11条2項」によりきちんとした規定があったため、比較的スムーズに対応が行えていました。
ところが介護保険制度が始まると主たる法律は「介護保険法」となり、入所においても「措置から契約へ」と変化してしまったため、これまでの規定が及ばない状況が発生。
しかも介護保険法には「葬祭執行」についての文言は書かれていないという事態があったんです。
となると、原則論からすれば、身寄りがいない人が施設で亡くなった場合は「規定の適用外」になってしまうことになり、「施設に入所している間に家族や親族がすべて亡くなった人は…」との疑問が不安に変わり、一気に押し寄せてきますよね…。
こういった事態を鑑み、
厚生労働省が介護保険制度施行時に
「施設所在地の区市町村が一般の住民サービスとして葬祭執行等を行うこととなる」
という見解を示したことにより、現状事なきを得ているんです。
この見解がなければ、施設で暮らしている「身寄りがいない人」の逝き先がなくなってしまい、とんでもないことになってしまうところでした…。
実際のところ、日本においてこういった「身寄りがいない人の死亡(行旅死亡人)」と呼ばれる方々が年間で600~700人おられるとのデータがあり、関連する法律に則った内容で対応されています。
身よりがいない人が亡くなったら、その葬式の費用は誰が払うの?
法律が変わっても適用外になることなく、しっかりとした見解を示してくれていることで、あなたの気持ちも少し穏やかになったことでしょう。
でも、まだ「費用などに関すること」の心配が残っていますよね。誰が負担するのか。
結論からいうと「費用などの負担も自治体が行う」にはなるんですが、全国一律という訳ではなくて、遺体や火葬した遺骨の取り扱い、費用などにおいては自治体によって異なるようです。
ここでは一例として、とある自治体の行っている内容について具体的に見ていきましょう。
奈良県大和郡山市においての条例の中に実際に記されているものを抜粋してお伝えします。
市民葬と直葬があり、多くの場合は直葬になるようですが、料金的にはこんな感じになるようです。
以上のことが条例に明記されていて、これらの負担はすべて「公費」で賄われることになっています。(もちろん戸籍などで親族がいないことが確認された段階で。にはなりますけどね)
身寄りがいなくても安心して余生を過ごすために
ここまで見てくると、しっかりと行政がセーフティーネットとして対応してくれることは有難いですよね。
ただ、こうなってしまうと、いくらあなたが「誰にも迷惑かけたくない」と思っていたとしても、結果として多くの方々に負担をかけてしまう形になりますよね…
では、今、あなたにできることとして何かないのか。になりますが、
これは一案ですが「死後事務委任契約」というものがあるのを知っていますか?
「死後事務委任契約」とは、あなたが生きている間に司法書士やNPO法人、葬儀社などを交えて「自分が亡くなったらどのようにしたいのか」を取り決めておいて、その内容に沿って対応してもらえるサービスのことです(基本的な内容について分かりやすくまとめたものがコチラです)
詳細については、あなたが知っている葬儀社や司法書士事務所、社会福祉協議会などを通じて詳しく教えてくれますのでぜひ利用しましょう。
まとめ
今回は「身寄りがいない人が亡くなったら、葬式は誰がするの?」ということから、
「身寄りがいなくても安心して余生を過ごすために知っておきたい情報」
についてお伝えしました。
どんな人であれ必ず迎えることになる「死」についてを考える時ってなかなかないとは思いますが、「昨日のあなたにはもう誰も会えない」ことを思うと「未来のことは誰にも分からない」になりますよね。
「今できること」を行いながら明日をしっかりと見据えて、不安少なく笑顔の多い日々を過ごしましょう!
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