
――“ヒーロー”とは、何だろう。
あなたは、自分を信じきれなくなった夜を過ごしたことがありますか?
押しつぶされそうな孤独の中で、
「このままでは終われない」と胸の奥で何かが静かに燃え上がる――
そんな感覚に覚えはないでしょうか。

―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】
BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、宮本浩次さんの楽曲「I AM HERO」を考察します。
▶はじめに

宮本浩次さんの「I AM HERO」は、
2025年10月31日公開の映画
『爆弾』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。

繊細なイントロと、潔く突き抜けるボーカル。
静と動が交錯するサウンドは、映画の緊張感に寄り添いながら、
聴く者の胸に“生きる切なさ”をまっすぐ届けてきます。
この記事では、楽曲イメージやタイトル、歌詞の意味を丁寧に深掘りし、
「I AM HERO」が現代に投げかけるメッセージは何か?について
心をケアする【メンタルエイド】という視点で読み解いていきます。
▶「I AM HERO」から筆者が感じた情景イメージ

初めてこの曲を聴いたとき、脳裏に浮かんだのは――
“肩で風を切り、胸を張って歩くヤンキーの姿” でした。

どれだけ時代が変わっても、同じ歩幅で、同じテンポで前に進む。
まっすぐで、不器用で、それでも折れずに立っている。
そんな姿がなぜかこの楽曲と重なって見えたのです。
あなたも、こうした“無骨な強さ”や“
どうしようもなさを抱えた弱さ”を、
掻き鳴らされるギターの音色から感じませんか?
この“まっすぐで不器用な強さ”は、
映画『爆弾』の男が抱える歪んだ衝動とも、
どこか通じるものがあるように思えてなりません。
▶歌詞の意味を徹底考察!

ここからは、歌詞に込められたストーリーを丁寧に深掘りしていきます。
※本記事では、著作権等により、すべての歌詞は掲載していません。
歌詞の世界観を詳しく知りたい方は、音楽配信サービスや歌詞検索サイトでご確認ください。
この歌は、
“自分という存在を、もう一度名乗り直す”物語です。
物語の主人公は、
若い頃から「でかい男になりたい」と息巻いて生きてきた人物。
しかし時が流れるにつれ、
衝動も感情も、世の中の波に押しつぶされそうになる。
「こんなものなのか?」「これでいいのか?」
そんな自問自答に、胸がざわつく夜をくぐり抜けてきた。

けれど、そこで終わらない。
彼は夜明けの気配を感じた瞬間、“今だ”と跳ね上がる。
本能が、彼を前へ押し出すのです。
過去を振り返れば、愛も悲しみも、妄想や迷いも、
全部ひっくるめて自分をつくってきた記憶の地平線がある。
それでも主人公は言い切る。
「立ち上がる。俺はヒーローだ」

それは誰かを救うヒーローではなく、
“自分の人生を救うためのヒーロー” という宣言。
挫折も絶望も抱きしめながら、
それでも堂々と生きようとする姿が、
ストーリーとして鮮やかに立ち上がってきます。
▶楽曲タイトル「I AM HERO」が意味するものとは?

“I AM HERO”――直訳すれば「俺はヒーローだ」。
しかし、この“ヒーロー”という言葉は、
一般的にイメージされる「正義の味方」ではありません。

映画『爆弾』のストーリーを踏まえると、
タイトルはより複雑で、人間の心の深部に触れる意味を帯びてきます。
物語の中心にいるのは、爆弾予告を仕掛ける謎の中年男。
社会的に見れば彼は“悪”であり、決してヒーローではない存在です。
しかし、この男の内側には――怒り、絶望、孤独、承認欲求。
抑え込んできた衝動と懊悩が積み重なり、
歪んだ自己定義へと形を変えていきます。
そんな人物が言い放つ「I AM HERO」は、
「社会にどう見られようと、俺は俺の物語の主人公だ」
という、痛みの裏返しの宣言だと読み取れます。
つまりこれは、まっすぐな正義ではなく、むしろ――
- 歪んだままの正義
- 壊れた人生を自分で肯定しようとする衝動
- “悪”すら正当化しないと立っていられない弱さ
そうした複雑な感情をすべて抱え込んだ人物が、
自分を奮い立たせるための言葉なのではないでしょうか。

“I AM HERO”とは、
「誰かを救う者」ではなく、
「壊れかけた自分自身を救おうとする者」。
それが、このタイトルが象徴する本質であり、
映画の世界観と楽曲をつなぐ最も重要な鍵なのだと感じます。
そしてこれは、決して映画の中だけの話ではありません。
現代を生きる私たちもまた、
「正しく立っていたい」
「誰かに認められたい」という思いに揺れながら、
小さな“英雄性”を自分の中で探し続けているのかもしれません。
▶【メンタルエイド】的視点:この歌の、心への効用

この歌が特に効果を発揮するのは――
- 自己否定のループから抜け出せないとき
- “誰にも必要とされていない気がする”と感じるとき
- 過去の失敗や絶望に飲まれて、自分の価値が分からなくなるとき
そうした切実な心の葛藤を抱える人に深く効いてくると感じます。
この楽曲は、
「完璧じゃなくてもいい」「歪んだままの自分でも構わない」
そう語りかけることで、心のざらつきをひとつ和らげてくれます。
映画の中年男が“ヒーロー”と名乗らなければ崩れ落ちてしまうように――
私たちもまた、自分を守るために
小さな「ヒーロー宣言」が必要な瞬間があるのではないでしょうか。
- 「自分を正しく立たせるために、必死に叫ぶ言葉」
- 「壊れた自信を拾い集めるための、ぎこちない自己肯定」
- 「誰にも認められなくても、せめて自分だけは自分を支えたい」
“I AM HERO”は、
“倒れそうな心を支えるための、自己救済の言葉”として、
静かに効いてくる楽曲なのです。
▶まとめ

今回は、宮本浩次さんの楽曲「I AM HERO」を徹底考察しました。
映画『爆弾』の物語に登場する男は、正義の味方ではありません。
社会の中で居場所を失い、歪んだまま生きるしかなかった存在です。
しかし、それでも彼は「I AM HERO」と呟くことで――
自分の人生を、自分で肯定しようと足掻いていたのかもしれません。

宮本浩次さんの歌声は、
そんな“歪んだままの自己肯定”に寄り添い、
聴く者に静かに語りかけます。

「あなたにも、自分を守るための“ヒーロー”がいる。」
「壊れた日があっても、絶望した夜があっても、あなたの物語は続いていく。」
迷ったとき。
心が折れそうなとき。
どうか「I AM HERO」をそっと処方箋にしてみてください。
たとえ世界が認めてくれなくても、
あなた自身が――
自分を奮い立たせる“ヒーロー”になれるはずです。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも宮本浩次さんの楽曲を考察しています。
そちらもぜひ、ご覧くださいね。







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