
――どうしようもなく君を求める。
この感情は愛か、それとも狂気か。
人はなぜ、抑えきれない衝動に身を委ねてしまうのか。
その矛盾を抱えた心に寄り添う楽曲が、ここにある——

―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYSは、毎回一つの楽曲を徹底考察し、
音楽を“心を支える薬”としてお届けするシリーズです。
今回は、米津玄師さんの楽曲「IRIS OUT」を取り上げます。
▶はじめに

「IRIS OUT」は、2025年9月19日公開のアニメ映画
『劇場版チェンソーマン レゼ篇』の主題歌として、
米津玄師さんが書き下ろした楽曲です。

本作は「恋」と「死」の際どい境界をテーマに、
レゼというキャラクターの危うさを象徴する楽曲に仕上がっています。
この記事では、楽曲イメージやタイトル、歌詞の意味を丁寧に深掘りし、
この歌が伝えようとしているメッセージを紐解いていきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
▶「IRIS OUT」から筆者が感じた情景イメージ

楽曲を初めて聴いた時、筆者の脳裏に浮かんだのは、
ネオンライトが明滅する地下クラブで、狂喜乱舞する人々の群れ。

その笑顔は幸福なのか、それとも破滅へ向かう歓喜なのか――
聴く者に判断を委ねてきます。
そして曲全体から感じられるのは、
“狂気と甘美が同居したカーニバル”。

電子的なノイズと軽快なリズムが重なり合い、
浮き足立つような高揚感と、どこか不穏な気配が交互に押し寄せます。
▶楽曲タイトル考察:「IRIS OUT」が意味するもの

「IRIS OUT」は、映画用語で”画面がだんだん暗転していく表現”のことを言います。
画面の一点にフォーカスしていくように暗転していく様は、
時に”執着”を感じさせるのではないでしょうか。
これを恋愛に置き換えて考えると、ある意味においては”一途”とも取れますが、
”執着”として捉えた場合、映画の内容とリンクすると考えられます。
「愛に飲み込まれ、視界が閉ざされる」「恋によって世界が塗りつぶされる」ことを、
このタイトルは暗示しているように筆者は感じます。
▶歌詞の意味を考察!

それでは、歌詞考察に入りましょう。
※本記事ではJASRAC管理楽曲のため、歌詞全文は掲載しておりません。
歌詞の世界観をより詳しく知りたい方は、
公式の歌詞配信サイトや音楽配信サービスなどでご確認ください。
歌詞全体を通して描かれているのは、
「愛に狂わされ、理性を超えてしまう感情」です。
主人公は「やめろ」と理性が叫ぶ声を無視し、恋心に突き動かされていきます。
相手の仕草ひとつで胸は乱れ、体も心も制御不能となり、
まるで血が噴き出すように「アイラブユー」が溢れてしまう。

彼にとって相手は唯一無二の存在であり、
「君だけが正解」と断言できるほど絶対的な存在なのです。
その想いは、勝ち目のないオセロの比喩や、
呪文「アバダケダブラ」で打ち抜かれるイメージによって、
恋における敗北感と中毒性として鮮やかに描かれます。
やがて恋は甘美でありながら破滅的なものへと高まり、
「瞳孔が開いて溺れ死にそう」と歌われるように、
命を削るほどの愛へと変貌していくのです。
そして最後に訪れるのは「IRIS OUT」。
常識やモラルを突き破り、光も視界も奪われるほど強烈な恋の衝動――
その行き着く先は、幸福か、破滅か。
筆者には、そんな危うくも抗えない愛の物語として響きました。
📝 歌詞に登場する難しい言葉の解説
- モラリティ:道徳、倫理性
- フィロソフィ:哲学、価値観
- アバダケダブラ:死の呪文
- スティグマ:偏見や差別
- 蕩尽:すべてを使い果たすこと
▶【メンタルエイド】的視点:この歌が心に効く理由

「IRIS OUT」が効くのは、“愛に翻弄されて苦しいとき” だと筆者は感じます。
- 理性では止められない恋に落ちてしまったとき
- 相手を想うほど、自分が壊れていく感覚に襲われるとき
- 狂気じみた恋の熱に怯えながらも、その高揚を手放せないとき
この歌は、「そんなあなたの痛みを否定しない」。
むしろ、「その狂おしさこそが生きている証だ」と肯定してくれる。
だからこそ、恋に疲れた心に効く“処方箋”となるのです。
▶まとめ

今回は、米津玄師さんの楽曲「IRIS OUT」を徹底考察しました。
『IRIS OUT』は、恋によって壊れてしまいそうな“あなた”を、そのまま肯定してくれる楽曲です。
――理性を失ってもいい。乱れてもいい。
「君だけを愛そう」と叫ぶその衝動こそが、生きている証だから。
どうか、心が乱れた夜にこの曲を処方箋にしてください。
世界が暗転しても、あなたの中の「愛の光」だけは消えません。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも多くの楽曲を考察しています。
そちらもぜひ、ご覧くださいね。






コメント