
――“ゆらぎ”の中でやっと見つけた、本当の自分。
あなたには、心が世の中から“少しずれてしまった”と感じた瞬間はありますか?
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、米津玄師さんの楽曲「トレモロ」を考察します。
▶はじめに

米津玄師さんの「トレモロ」は、2025年11月に発表された楽曲であり、
RADWIMPSが2006年にリリースした同名の楽曲をカヴァーした作品です。
(楽曲は、「Dear Jubilee-RADWIMPS TRIBUTE-」に収められています)
原曲よりも少しウィットを感じさせるアレンジで、
乾いたビートの上を滑るように転がる米津さんの歌声が、
どこか「心と現実のタイムラグ」を象徴しているように響きます。
頭で考えること、胸で願うこと、
口にできること、そして行動にできること――
それぞれが微妙に“ずれている”。
そのアンバランスさが、聴けば聴くほどしっくりと腑に落ちてくる
不思議な魅力を持つ楽曲です。
この記事では、この「トレモロ」が現代を生きる私たちに何を届けているのか、
歌詞の世界観とともに心のメッセージを丁寧に紐解いていきます。
▶楽曲「トレモロ」から筆者が感じた情景イメージ

初めてこの曲を聴いたとき、筆者の脳裏に浮かんだのは
“太陽フレア”のイメージでした。

眩しすぎるほどの光。
ゆらぎながら放たれ、宇宙を放射していく熱。
その光を見上げたときの、どこか胸がざわつくような感覚。
あなたも、どこかで似たようなイメージを抱いたのではないでしょうか?
美しくも不安定で、綺麗なのに壊れてしまいそう。
その「ゆらぎ(トレモロ)」こそが、
この曲の質感そのものであるように思えます。
▶歌詞の意味を徹底考察!

ここからは、歌詞に込められたメッセージをストーリーとして読み解きます。
※著作権の都合により、歌詞の引用は行っておりません。
物語は、静かで美しい夜から始まります。

“満天の星空に、大切な人の声が響いてもおかしくないほど綺麗な夜”。
けれど主人公の心には、
どうしても消えない「悲しみ」や「伝わらなさ」が渦巻いています。
本当に伝えたいことほど、言葉にした瞬間に壊れてしまう。
だから主人公は笑ってごまかす。
そして相手もまた、「ここには何もないよ」と笑って見せる。
お互いが本心を隠し合う、そのもどかしさだけが夜の中で膨らんでいきます。

二人とも、本当は“望んでいる”。
「意味がない」と自分を切り捨てることでも、
「何もない」と笑うことでもなく、
その先にある“光の粒”のような、小さな希望を。
やがて主人公は、自分が自分から離れていくような感覚に包まれます。
けれど、そのときふと気づくのです。
――真実は、それだけで美しい。
神様が夢を見せるみたいに、
悲しみが悲しみで終わらない未来をどこかで信じている。
そして主人公は、閉じていたページの上に、
そっと言葉を描きだすのです。
「僕は、僕の手を離さない」と。

止まっていた景色がゆっくりと動き出し、胸の鼓動が4拍子を刻み始める。
不器用でもいい。
終わりに向かっていく明日を、笑って迎えられるように。
歌詞全体を通して描かれるのは、
“自分が自分を再びつかみ直す物語”だと筆者は感じました。
物語の中で主人公の心は、ずっと揺れています。
- 自分を信じたいのに、うまく信じられない
- 言いたいことがあるのに、伝えられない
- 「悲しみ」と「希望」がせめぎ合う
- 自分の存在が溶けていくような不安
そのゆらぎの中で唯一確かなのは、“光の粒”という微かな希望です。

それは、大切な人の声なのか、未来への願いなのか、
あるいは主人公の心の奥底にある“真実”なのか。
その正体は曖昧なまま、しかし確かに主人公を導いていきます。
やがて歌詞は「4拍子」という象徴的な言葉へと向かいます。
ここが、この曲の核心だと筆者は感じました。
その真意をお伝えしますね。
◆「4拍子」が象徴する4つの世界

この“4拍子”は、単なるリズムの話ではありません。
歌詞全体に散りばめられた要素を照らし合わせると、
まるで世界を形づくる4つの軸が提示されているように思えるのです。
それは、次の4つ。
- 膨れる万象(世界そのもの)
― 私たちを取り巻く大きな現実。 - 光の粒(願い・希望)
― 心の奥の、消えずに残る小さな光。 - 真実(自分の核)
― 本音や本心、揺らがない“芯”。 - 夢(未来の輪郭)
― まだ届かないけれど、確かに存在する予感。
これらは、主人公の心の中で絶えず揺れ動き、
それぞれが“4拍子”のように拍を刻みながら、主人公を支えています。
つまり「4拍子」とは、
自分を取り戻していく過程で立ち上がる“4つのリズム”と言えるのかもしれません。
そして主人公は、そのリズムの上に乗り、想いと言動のバランスをキープしながら
自分の中に在る“真実”を求め、もう一度歩き始めるのだと感じます。
▶楽曲タイトル「トレモロ」が象徴するもの

「トレモロ」はイタリア語で“ゆらぎ”“震え”を意味し、
楽器の演奏技法としても知られています。
これは、まさに曲全体のテーマを象徴しています。
- 言いたいのに言えない
- 言ったら壊れてしまいそうになる
- 心が波打つように揺れる
- 自分が自分から離れそうになる
- でも、それでも“光の粒”を探してしまう
人間の内側にある“ゆらぎ”のすべてが、
まさに「トレモロ」という言葉に吸い寄せられるように収まっています。
“ゆらぎの中にこそ、真実がある。
揺れているからこそ、あなたはあなたでいられる。”
「トレモロ」には、そんなメッセージが込められていると思えてなりません。
▶【メンタルエイド】的視点:この歌の、心への効用

「トレモロ」は、次のような心の痛みにそっと寄り添う楽曲です。
●自分の気持ちが言葉にできない人へ
伝えたい想いほど言葉にできない。
そんな葛藤を抱えてきた人に、この曲は深く共鳴します。
●自分を見失いそうになった人へ
自分を見失いそうになることを決して恐れず、
もう一度“自分の手をつかみ直す”きっかけをくれます。
●「悲しみがずっと続く」と感じている人へ
“悲しみが悲しみで終わらないように”
という祈りにも似たメッセージが、心の奥で灯りのようにゆらめきます。
この曲は、派手に励ましてくれるタイプの“処方箋”ではありません。
むしろ、夜の静けさの中であなたの隣に座って、
「大丈夫、まだ終わってないよ」とそっと伝えてくれるような歌です。
▶まとめ

今回は、米津玄師さんの楽曲「トレモロ」を徹底考察しました。
「トレモロ」は、
揺れて、迷って、不安定であっても決して怯まず、
あなたのままでいいと伝えてくれる楽曲です。
悲しみだけで終わらない未来を、もう少しだけ信じてみたいとき。
自分を見失いそうになったとき。
何かを言葉にできないまま胸が痛む夜。
どうか、この曲をそっと再生してみてください。

“ゆらぎの中にこそ、あなたの真実がある。”
そう気づけたとき、あなたの心が少しだけでも軽くなりますように。
この記事が、あなたの心にそっと灯る光になれていたら嬉しいです。
「トレモロ」の余韻のまま、もう少しだけ音楽の旅を続けたい方へ。
心にそっと寄り添う、こちらの考察もぜひあわせてご覧ください。







コメント