
――傷ついたままの感情を抱えて、それでも朝を迎えてしまったあなたへ。
「あるがままのあなた」でいいと、この歌は静かに誘います。

―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、yamaさんの楽曲「Dawn」を考察します。
▶はじめに

yamaさんの楽曲「Dawn」は、
2026年1月23日公開の映画
『恋愛裁判』(主演:齊藤京子さん)主題歌として書き下ろされた一曲です。
映画『恋愛裁判』が描くのは、
アイドルグループの人気メンバー・山岡真衣が、
契約書に記された「恋愛禁止条項」に反したとして、
所属事務所から訴えられ、裁判の場に立たされる物語。
――アイドルが「恋」をすることは、罪なのか。
――「心」を縛るルールは、どこまで正当なのか。
この作品は、実際に起きた事件を基にしながら、
“感情を持つこと”と“役割を演じること”の狭間で
引き裂かれる人間の心を、鋭く、そして静かに問いかけます。

主題歌である「Dawn」は、
その問いに対して、答えを提示するのではありません。
代わりに描かれるのは、
愛憎、葛藤、後悔、そして祈りが交錯する、ひとりの心の内側。
暗闇の中にある仄かな光を感じさせるメロディーと、
まどろみの中から語りかけるようなyamaさんの歌声は、
そんな心に抱く感情に、そっと寄り添うように響きます。
この記事では、トレンドや話題性としての主題歌ではなく、
「Dawn」がこの現世に差し出している“心へのメッセージ”を軸に、
情景イメージやタイトル、歌詞の物語性を踏まえ、
【メンタルエイド】の視点から読み解いていきます。
▶楽曲「Dawn」から感じた情景イメージ

筆者がこの曲を初めて聴いたとき、脳裏に浮かんだのは、
“雨に濡れた曇りガラス”でした。

はっきりとは見えない。
けれど、確かに向こう側に光があることだけは、わかる。
yamaさんの歌声は、決して感情を露わに叫ぶわけではなく、
むしろ、眠りと覚醒の境目で、そっと心に触れるような、
真綿のような柔らかさと温もりを帯びています。
あなたもこの楽曲を聴きながら、
希望を信じきれないまま、
それでも前を向いていた朝を、思い出しませんか。
▶歌詞の意味を要約し、物語として読み解く

ここからは、歌詞に込められたメッセージをストーリーとして読み解きます。
※著作権の都合により、直接的な歌詞の引用は行っておりません。
「Dawn」が描くのは、
“自分らしさ”を見失いかけた一人の人間が、
それでも歩みを止めなかった心の物語です。

かつては笑い合っていた日々。
無敵だと信じて疑わなかった過去の自分。
けれど今は、光が見えず、
「このままでは自分を見失ってしまう」という不安に支配されている。
夢とアイデンティティを天秤にかけ、
何のために生きているのかを、何度も問い直す日々。
泣き出したくても、立ち止まることはできなかった。

舞台の上で浴びた眩しすぎる光は、
同時に、濃い影を心に落としていった。
本音を言えば未練だらけで、
ぐしゃぐしゃに泣いて吹っ切れるほど強くもなれない。
それでも主人公は、歩みを止めなかった軌跡こそが
「今の私」を形作っているのだと、静かに受け止めていきます。

癒えない傷も、矛盾した感情も、
誰かを傷つけてしまった過去さえも――
すべてを抱えたまま、
“理想じゃない私”を、それでも愛したいと願う。
「Dawn」は、世の中が勝手に作った常識によって心を裁かれる物語ではなく、
自分の感情に、最後まで寄り添うことを選んだ心のかさぶたなのです。
▶タイトル「Dawn」が意味するものとは?

「Dawn」は、「夜明け」「黎明」を意味する言葉です。
一般的には、終わりのあとに訪れる希望や、新たな始まりを指します。
しかしこの楽曲で描かれる夜明けは、
すべてが解決し、救われたあとの朝ではありません。
まだ痛みは残っている。
後悔も、迷いも、消えてはいない。
それでも――夜は、確かに終わりへと向かっている。
この「Dawn」が象徴しているのは、
誰にも答えを出せないまま迎える“心の夜明け”です。

映画『恋愛裁判』では、
恋をしたという事実が、契約やルールによって裁かれます。
そこでは、モラルや規範が優先され、「心」は後回しにされてしまう。
けれど「Dawn」は問いかけます。
――感情を持つことは、本当に間違いなのか。
――誰かを想ったその気持ちは、罪として裁かれるものなのか。
夜明けとは、
白黒がはっきりする瞬間ではありません。
むしろ、闇と光が混ざり合い、まだ輪郭が曖昧な時間帯です。
だからこそこの曲の「Dawn」は、
完全な肯定ではなく、“否定しないこと”を選ぶ朝として描かれています。

理想の自分になれなかった。
誰かを傷つけてしまった。
それでも、その感情が
確かに自分のものであったことを、もう一度信じ直す。
それが、「Dawn」というタイトルに込められた本質ではないでしょうか。
▶【メンタルエイド】的視点:この歌の、心への効用

「Dawn」が静かに効いてくるのは、
もう頑張れない人や、正しさの中で自分を見失いかけている人の心です。
たとえば、
・理想の自分でいなければならない場所にいる人
・役割を演じ続けることに疲れてしまった人
・「好き」という感情すら、後ろめたく感じてしまう人
この楽曲は、そんな心に苛まれ、
ぐしゃぐしゃに泣いても吹っ切れないこと、
未練を抱えたまま前を向いていること、
そのすべてを“生きている証”として包み込んでくれます。
「あるがままでいい」
その言葉は、現実逃避ではありません。
傷を抱えたままでも、
自分の感情を自分のものとして引き受ける覚悟の表れです。

聴き終えたあと
『今は癒えないままでもいい』
『想いが揺れたままでもいい』
そう思えたとき、心はほんの少し、呼吸を取り戻します。
▼同じく「アイドルと恋愛」というテーマを扱いながら、
“別の角度”から描かれた楽曲として、
YOASOBI「アイドル」の歌詞考察も公開しています。
こちらは“感情を持つ側”ではなく、
“感情を求められる側”から描かれた物語。
「Dawn」とあわせて読むことで、
このテーマが持つ二つの顔が、より鮮明になるかもしれません。
▶まとめ

今回は、yamaさんの楽曲「Dawn」を考察しました。
yamaさんの「Dawn」は、
感情に答えを出せないまま迎える朝を描いた楽曲です。
前に進めたのかどうかも分からない。
選択が正しかったのかも、まだ言えない。
それでも、朝は訪れてしまう。
この曲がそっと肯定するのは、
その宙ぶらりんな感情そのものだと感じます。
強くなれなかったこと。
割り切れなかったこと。
理想の自分に辿り着けなかったこと。
それらを「失敗」と呼ばず、
歩いてきた軌跡として抱きしめる余白を、
「Dawn」は与えてくれるのではないでしょうか。

夜明けは、あなたの感情が
整っていなくても、迷っていても、
そのままの心で進んでいいと、そっと照らしてくれます。
どうかこの曲を、
「自分を愛し直すための処方箋」として、
あなたのそばに置いてみてください。

「Dawn」は、
あるがままのあなたの感情に寄り添う、
静かな “asayake” のような一曲です。
そして、「Dawn」に寄り添われて目覚めた朝は、
きっとあなたの感情を置き去りにはしないでしょう。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも様々なアーティストの楽曲を考察しています。
ぜひそちらもご覧ください。
あなたの“心のリアル”に寄り添う一曲が、きっと見つかるはずです。






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