
――愛されてきた命が、誰かを愛する命へ変わるとき。
あなたには、
「この人と一緒に生きていきたい」
そう思える人がいますか?
そして、もしその人と人生を歩むのなら、
どんな家族になりたいですか?
福山雅治の「家族になろうよ」は、
聴く人の心に、そんな問いをそっと投げかけてくる楽曲です。

―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、福山雅治の楽曲「家族になろうよ」を考察します。
▶はじめに

日本の男性シンガーソングライター・福山雅治の楽曲「家族になろうよ」は、
2011年8月にリリースされたシングル曲です。
陽だまりのようなサウンド、ゆったりとしたメロディー、
優しく語りかけるような歌声が重なり合い、
聴き込むほどに胸を、目頭を熱くさせる
――そんな楽曲だと感じます。
この記事では、
流行りの一曲として消費してしまうにはあまりに惜しい、
この楽曲が現世に伝えようとしているメッセージについて、
【メンタルエイド】の視点で考察していきます。
▶楽曲「家族になろうよ」から筆者が感じた情景イメージ
この楽曲を聴くと、
筆者には決まって思い出す光景があります。
中学1年の冬が近づく11月のこと。
当時、祖母は病に伏せっていて、
自宅でほとんど寝たきりの日々を送っていました。
学校から帰ると、
筆者は制服姿のまま
祖母の寝ている部屋へ向かい、いつもこう聞いていました。
「おばあちゃん。寒かったから、お布団に入ってもいい?」
祖母はいつも優しい微笑みを浮かべ、
「あぁいいよ。寒かったろう。
でも、お風呂に入れてないけどいいのかい?」と聞き返してくる。
「うん!大丈夫。あぁ~温かいなぁ」――
そんなたわいもない会話を交わすことが、当たり前の日常でした。
そんなある日、
いつものように祖母の布団に潜り込むと、
祖母がふいに口を開きました。
「しょうらく。いつも一緒にいてくれてありがとうね。」
「おばあちゃん。ぼくは何もしてないよ。
いつもおばあちゃんのお布団で温かくしてもらってるだけだから。」
そう答えると、祖母は少し涙を浮かべながら、こう続けました。
「しょうらく。
今からおばあちゃんが言うことをよく聞いてほしいの。
あなたは頭のいい子だからきっと分かる。
このことを、よ~く覚えていてほしいの。」
そうして祖母が授けてくれたのが、
「9つの約束事」と「3つの言霊」でした。
- 祖母が伝えてくれた「9つの約束事」
負けたらあかんのが「自分」。
失ったらあかんのが「信用」。
言ったらあかんのが「悪口」。
捨てたらあかんのが「情熱」。
決めたらあかんのが「限界」。
諦めたらあかんのが「希望」。
信じたらあかんのが「永遠」。
お金よりも大切なのが「時間」。
そして、いちばん忘れたらあかんのが「感謝」。
- 3つの言霊
祖母が私に伝えてくれたのは、
人生を歩くための「言葉」だけではありませんでした。
晴れの日も、曇りの日も、雨の日も――。
どんな日にも、それぞれに寄り添う言葉を伝えてくれました。
それが――

晴れの日は「エール」。
曇りの日は「いたわり」。
雨の日は「励まし」。
――という3つの言霊です。
晴れの日は「エール」
――今日も元気に頑張ってこいよ。
曇りの日は「いたわり」
――心と身体に無理をせず、マイペースで。
雨の日は「励まし」――
泣きたい気持ちは、代わりに泣いておいてやるから元気出せよ。
筆者が12月生まれだったこともあり、
祖母は覚えやすいようにと、
伝えたい想いを合わせて12個にしてくれたのだろうと思っています。
寒い日に分け合った布団の温もりと、
あの日祖母が遺してくれた言葉。
一人では抱えきれない寒さも、
誰かと寄り添えば温かさに変わる――
この楽曲を聴くたびに、
筆者の中でよみがえるのは、そんな情景です。
あなたには、どんな情景が浮かびますか?
▶歌詞の意味を考察!

この歌には、
大切な「あなた」と人生を歩もうとしている
一人の女性の姿が浮かびます。

二人は、きっと長い時間を一緒に過ごしてきたのでしょう。
みんなの前で困らせてしまうこともある。
それでも、隣で笑っていてくれる。
そんな相手が自分を選んでくれたことに、主人公は感謝しています。
けれど彼女は、
愛とは「すべてを理解し合うこと」ではないとも感じています。
どれほど深く信じ合っていても、
相手の心のすべてを知ることはできない。
人は誰も、それぞれの心の中に、
誰にも触れられない孤独を抱えて生きているからです。
だからこそ、
その孤独を消そうとするのではなく、
孤独を抱えたままの相手に寄り添って生きること。
それこそが、「愛する」ということなのかもしれません。
これは、非常に現実的な愛の姿です。

「ずっと一緒なら、何もかも分かり合える」という理想ではない。
分からないことがあってもいい。
すれ違うことがあってもいい。
それでも隣にいて、一緒に笑う。
そんな二人になりたいという願いが伝わってきます。
そして主人公は、
自分がこれまで受け取ってきた「家族の愛」に目を向けます。

幼い頃は身体が弱く、泣いて甘えることも多かった。
自分のことで精一杯で、親に十分な恩返しもできなかった。
そんな過去を抱えながらも、彼女は思うのです。
明日から突然、立派な人間になれるわけではない。
それでも――
少しずつ「与えられる人」から「与える人」へ変わっていきたい。
その想いが、この歌の大きな転換点になっています。

父親のような大きな背中。
母親のような静かな優しさ。
祖父のような無口な強さ。
祖母のような可愛らしい笑顔。
主人公が思い描いているのは、
完璧な家族ではありません。

自分がこれまでの人生で受け取ってきた愛を胸に、
自分たちらしい家族を少しずつ築いていくこと。
そして物語は、さらに未来へ進みます。

二人の間に生まれるかもしれない子ども。
父親の笑顔によく似た男の子。
母親の泣き虫なところを受け継いだ女の子。
まだ存在していない未来の命まで思い描けるのは、
「あなたとなら生きていける」
という確かな信頼があるからでしょう。
ここで恋愛は、
「二人だけのもの」から「未来のもの」へ変わります。
好きだから一緒にいたい。
恋人だからそばにいたい。
その先に、
「この人と家族をつくりたい」
という願いが生まれるのです。
▶タイトル「家族になろうよ」が意味するものとは?

この言葉は、
「結婚しよう」でも、「一緒に暮らそう」でも、
ある程度の意味は伝わります。
それでも、この曲は「家族になろうよ」と歌います。
筆者は、そこに強い意味が込められているように感じます。
「結婚」は、二人の関係を表す言葉。
一方、「家族」という言葉には、もっと多くの人が含まれます。

父。母。
祖父母。子ども。
そして――
これから生まれてくるかもしれない命。
つまり「家族」には、
過去・現在・未来が同時に存在しているのです。
だからこそ筆者は、
「家族になろうよ」という言葉を、
単なる結婚の約束だけでは受け取れない。
もっと深く、
「あなたと一緒に、受け取った愛を未来へつないでいける人になりたい」
というプロポーズなのではないでしょうか。
そして「家族」は、
必ずしも血のつながりだけを意味するものではないと感じます。
喜びを分かち合い、苦しいときには支え合い、
互いの弱さも受け止めながら、
「この人と生きていこう」と思える関係。
それもまた、
一つの「家族」なのではないでしょうか。
▶【メンタルエイド】的視点:この歌の、心への効用

この楽曲は、
次のような心の痛みを抱える人に
そっと寄り添ってくれる一曲だと感じます。
■大切な人との関係に、迷いや不安を感じている人へ
どれほど信じ合っても、
わかり合えない部分が残ることは当然のこと。
その孤独ごと受け入れて生きていくことが
「愛する」ということだと、この曲は教えてくれます。
■家族への感謝を、うまく言葉にできずにいる人へ
精一杯生きているだけで、
十分に親孝行ができていないと感じている人にとって、
“一歩ずつ変わっていけたら”という歌詞は、
自分を責めすぎなくていいのだという小さな許しになるはずです。
■「家族」というものの形に悩んでいる人へ
血のつながりだけが家族ではない。
そう言って、静かに背中を押してくれる楽曲です。
誰かと生きていくことを選ぶ、
その意志こそが家族の始まりであると教えてくれます。

音楽を”処方箋”として捉えるなら――
この楽曲は、人との関係に疲れたときに、
もう一度「誰かと生きていくこと」の温かさを思い出させてくれる。
そんな一曲だと感じます。
▶まとめ

今回は、福山雅治の楽曲「家族になろうよ」を考察しました。
福山雅治「家族になろうよ」。
この曲を聴いていると、
「家族」とは、最初から完成されたものではない
のだと思えてきます。
親も、子も、夫婦も。
みんな不完全で、ときには傷つき、すれ違い、
それでも少しずつ相手を思いやりながら、
「家族」という関係を育てていく。
そこには、
過去から受け取った愛があり、
現在の誰かを想う気持ちがあり、
未来へつないでいく命があります。
だから、「家族になろうよ」は、
単なる結婚のプロポーズではない。
それは、
「これまで愛されてきた命を、
これからは自分たちの手で誰かへつないでいこう」
という、かけがえのない命へのプロポーズなのではないでしょうか。
筆者が祖母から受け取った言葉も、
いつか誰かの心を照らす灯になるのかもしれません。
「家族になろうよ」――。
それは、
「一緒に生きよう」という言葉。
「一緒に幸せを育てよう」という言葉。
そして何より、
「あなたからもらった愛を、今度は僕たちから未来へ渡していこう」
という、愛と命をつなぐ約束なのだと感じます。
大切な人の顔を思い浮かべながら、
この曲を聴いてみてください。
きっとそこには――
あなたがこれまで受け取ってきた愛と、
これから誰かへ渡していく愛の姿が、
静かに浮かび上がってくるはずです。
さて、BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも様々なアーティストの楽曲を考察しています。
ぜひそちらもご覧ください。
あなたの“心のリアル”に寄り添う一曲が、きっと見つかるはずです。




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