
――もう一度、自分を信じてみよう。
夏が終わり、新しい日々が始まる。
楽しみな気持ちの一方で、なぜか心が重い。
そんなあなたへ――
あなたの胸にある「未来へ」の鼓動を、どうか忘れないでください。

―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、TWO-MIXの楽曲「T・R・Y-RETURN TO YOURSELF-」を考察します。
▶はじめに|「TRY」の先にある、“自分自身へ還る”ということ

日本の音楽ユニット・TWO-MIXの楽曲
「T・R・Y-RETURN TO YOURSELF-」は、
1996年3月にリリースされた3rdシングル。
疾走感あふれるサウンドと、
高山みなみの力強くも透明感のある歌声が重なり、
聴くほどに心の奥へ熱を灯してくれる楽曲です。
「TRY」とは、「やってみる」「挑戦する」という意味。
しかし、この曲にはもう一つの言葉があります。
RETURN TO YOURSELF――あなた自身へ還る。
この二つを合わせて考えると、
楽曲が伝えているのは、単純な「頑張れ」ではないように感じます。
それは――
傷ついた自分を否定するのではなく、
その自分を抱えたまま、本来の自分を取り戻していくこと。
この記事では、楽曲の歌詞を一つの物語として捉えながら、
そこに込められた『届いて欲しい!』という願いを、
【メンタルエイド】の視点から読み解きます。
▶楽曲から筆者が感じた情景イメージ
筆者がこの曲を聴いて、最初に浮かんだのは――
銀河鉄道でした。

夜空の彼方へ伸びる線路を、一台の列車が走っていく。
窓の外には無数の星。
列車の中には、
それぞれの悩みや過去を抱えた人たちがいる。

「これから、どこへ行けばいいのだろう」
そんな迷いを抱えながらも、列車は走り続けます。
このイメージが浮かんだのは、
楽曲の持つ疾走感と、歌詞に描かれる夜空や流星、
そして「鼓動」のイメージが重なったからでしょう。
しかも、その列車には
一人だけが乗っているのではありません。

どこかで同じように傷つき、迷い、
それでも夢を追いかけている誰かがいる。
だから、この曲を聴いていると、
「自分だけが苦しんでいるわけではない」
という感覚が生まれてくるのです。
あなたには、どんな情景が浮かびますか?
▶歌詞の意味を考察!|傷ついた自分を抱え、もう一度走り出す

歌詞の主人公は、最初から強い人ではありません。
争いや傷つけ合いの繰り返しの中で心が疲れ、
自分が持っていた輝きさえ見失いかけています。
それでも心の奥には、まだ消えていないものがある。
それは、かつて抱いていた夢や憧れ、
そして「もっと自分らしく生きたい」という思いです。
ここで大切なのは、
主人公が自分の弱さや傷を隠そうとしていないこと。

傷ついた自分を抱えたまま、
それでも前を向こうとしています。
つまり、この曲は
「弱さを克服して強くなれ」という物語ではない。
弱さを抱えたままでも、もう一度歩き出せる。
そんな再生の物語なのではないでしょうか。
■「NO MORE CRY!」と「ONE MORE TRY‼」――届いてほしいという願い
この歌詞で特に印象的なのが、
何度も繰り返される「NO MORE CRY」と「ONE MORE TRY」。
そして、その後ろに置かれた「!」(エクスクラメーションマーク)です。

これは単なる飾りとして置かれているのではなく、
むしろ――
「この言葉を、どうかあなたに届けたい!」
という、強い願いが込められているのではないでしょうか。
「NO MORE CRY」は、
単純に「泣くな」と言っているのではありません。
悲しみを抱えている人に、
「その悲しみだけに閉じ込められないで」
と呼びかけているように感じます。
そして、その先にあるのが「ONE MORE TRY」。
「もう一度だけ、やってみよう」
という呼びかけです。
ここで大切なのは、
「頑張れ」と無理に背中を押しているわけではないこと。
傷ついたことも、涙を流したことも認めたうえで、
「それでも、もう一度」と声をかけているのです。
だからこそ、「!」が生きてくる。
それは叱咤ではなく、
「まだ終わっていないよ!」という、
誰かを救いたい側からの切実な声なのかもしれません。
■「折れた翼」が象徴するもの――傷ついた自分も、あなた自身
歌詞には、傷ついた人の姿を連想させる「翼」のイメージが登場します。

翼は、夢や自由、
未来へ向かう力の象徴と考えられます。
そこには、傷つき、
思うように飛べなくなった人の姿が重ねられているように感じます。
つまり主人公は、
これまでの人生の中で何かに打ちのめされ、
夢を追う力さえ失いかけているのでしょう。
しかし、この曲が示しているのは、
傷ついた自分を切り捨てることではありません。
傷を抱えた自分を受け止めることから、「ONE MORE」の挑戦が始まる。
ここに、この曲の優しさがあります。
人は「弱い自分」を消そうとしてしまいがちです。
失敗した過去を忘れたい。
傷ついたことをなかったことにしたい。
けれど、本当に必要なのは、
過去の自分を否定することではない。
その経験も含めて「自分」なのだと認めること。
そこから、新しい一歩が始まるのです。
■かつての「宝物」を取り戻す――自分らしさの再発見
物語の途中では、疲れることも知らず、
憧れを胸いっぱいに抱いていた「あの頃」が振り返られます。

誰に言われたわけでもなく、純粋に夢中になれたもの。
いつの間にか忘れてしまった、心の中の宝物です。
大人になると、現実を知ります。
失敗もする。
人間関係にも悩む。
夢より生活を優先することもある。
そうして、かつての自分らしさを少しずつ置き去りにしてしまう。
けれど、それは消えたわけではありません。
主人公は、それをもう一度取り戻そうとします。
ここに「RETURN TO YOURSELF」の意味が見えてきます。
それは過去へ戻ることではない。
経験を重ねた今の自分が、
本来持っていた「自分らしさ」を取り戻すこと。
――「再生」なのです。
■人の波の中でも、自分だけの笑顔を失わない
この曲が今を生きる私たちにも響く理由の一つが、ここにあります。
誰かと比べてしまう。
周囲の期待に合わせてしまう。
人の波の中で、自分がどこにいるのか分からなくなる。
そんな経験は、決して珍しいものではありません。
けれど、誰かと同じである必要はない。
誰かと同じ速度で進む必要もない。
大切なのは、
自分自身の笑顔を失わないこと。

それは自分勝手になることではありません。
自分の心を守りながら、
人生を歩いていくための「芯」なのだと感じます。
■夜空に心を澄ませば――最後に聞こえてくる「自分の鼓動」
そして、この曲の終盤で物語は大きく転換します。
ここまで主人公を支えてきたのは、
外側から届く言葉でした。
「NO MORE CRY」
「ONE MORE TRY」
という、誰かからの呼びかけです。
ところが最後には、夜空に静かに心を澄ませる。
そこで聞こえてくるのが、
「JUST YOUR BEAT」
――自分自身の鼓動です。

最初は、誰かに背中を押してもらっていた。
けれど最後には、
自分自身の内側から「もう一度」が聞こえてくる。
つまり、
誰かから届いた「ONE MORE TRY」が、
やがて自分自身の「もう一度生きてみよう」に変わっていく。
だから「RETURN TO YOURSELF」なのです。
誰かになるのではない。
誰かに認めてもらうのでもない。
自分自身の鼓動を取り戻す。
そこから伝わってくるのは――
「再生し、未来へ」というメッセージなのではないでしょうか。
▶楽曲タイトルが意味するものとは?|“自分自身へ還る”ための再挑戦


「TRY」だけなら、「やってみよう」という意味になります。
しかし、「RETURN TO YOURSELF」と組み合わせることで、
その言葉は一段深くなります。
「もう一度、自分自身へ還ろう」
というメッセージです。
ここでいう「還る」とは、昔の自分に戻ることではありません。
傷つく前の自分でもない。
失敗を知らなかった自分でもない。
これまでの経験をすべて抱えた
「今の自分」が、本当に大切なものをもう一度取り戻すこと。
そのために必要なのが「ONE MORE TRY」。
一度でなくていい。
失敗してもいい。
立ち止まってもいい。
また、やってみればいい。
「T・R・Y」は、そんな
何度でも再出発できる心を象徴しているのではないでしょうか。
▶【メンタルエイド】的視点:この歌の、心への効用

この曲が特に心に響くのは、
頑張り続けることに疲れたときかもしれません。
夢を失いそうになったとき。
周囲と自分を比べて苦しくなったとき。
「昔の自分なら、もっとできたのに」と自分を責めてしまうとき。
そんなとき、この曲は
「もっと頑張れ」と追い立てるのではなく、
「あなたの中には、まだ消えていないものがある」
と教えてくれます。
だから、今すぐ大きな一歩を踏み出せなくてもいい。
夜空を見上げるように、
静かに自分自身へ耳を澄ませてみる。
すると、
「まだやってみたい」
「自分らしくいたい」
という小さな鼓動が聞こえてくるかもしれません。

この曲は、その鼓動を思い出させてくれる。
だから筆者は「T・R・Y-RETURN TO YOURSELF-」を、
心が止まりかけたとき、
自分自身を再起動させるための音楽の処方箋
だと考えます。
▶まとめ|胸に響く鼓動は、君だけのものじゃない

今回は、TWO-MIXの楽曲
「T・R・Y-RETURN TO YOURSELF-」を考察しました。
この曲が伝えているのは、
「傷ついたとしても、自分自身を失わないで」
というメッセージではないでしょうか。
折れた翼も。
流した涙も。
迷った時間も。
それらを消してしまう必要はありません。
すべてを抱えたまま、
もう一度、自分の歩幅で進めばいい。
それが「TRY」。
そして、その先にあるのが
「RETURN TO YOURSELF」。
誰かになるためではなく。
誰かに認められるためでもなく。
自分自身の鼓動を取り戻すために――

夏休みが終わり、新しい日常が始まる。

その時季には、期待に胸を膨らませる人がいる一方で、
見えない不安や苦しみを抱えながら、
誰にも言えずに明日を迎えようとしている人もいるでしょう。
普段の暮らしの中では、人の心の内側は見えません。
笑っているから大丈夫。
学校へ行っているから大丈夫。
仕事をしているから大丈夫。
――本当に、そうでしょうか。
私たちは、自分のことで精一杯になりながら、
誰かの小さな変化に気づけないまま日々を過ごしています。
だからこそ、ほんの少しだけ――
身近な人の声に耳を澄ませてみる。
いつもと違う表情に気づいてみる。
「大丈夫?」と声をかけてみる。
すぐに苦しみを取り除けなくても、
「あなたを気にかけている人がいる」と伝えることはできるからです。
その小さな気づきが、
誰かにとっての「ONE MORE TRY」になることだって、きっとある。
そして、もし今あなた自身が苦しみを抱えているのなら。
一人で答えを出そうとしなくてもいい。
誰かの「もう一度」を受け取っていい。
夜空に心を澄ませるように、
自分自身の鼓動へ耳を傾けてみてください。

胸に響く鼓動は――
あなた一人だけのものではありません。
どこかで同じように迷い、傷つき、
それでも前を向こうとしている誰かの鼓動とも、きっとつながっています。
「T・R・Y-RETURN TO YOURSELF-」は、
何度でも自分自身へ還ってくるための歌。
今日できなくてもいい。
明日、もう一度やってみよう。
あなたの「ONE MORE TRY」は、
いつだって、ここから始められるのです。
※もし今、一人で抱えきれない気持ちがあるなら。
――誰かに話すことは、弱さではありません。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも様々なアーティストの楽曲を考察しています。
ぜひそちらもご覧ください。
あなたの“心のリアル”に寄り添う一曲が、きっと見つかるはずです。




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