時に切なく、時にまぶしく。
そんな“青春”という名の季節を、あなたは覚えていますか?
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
毎回、一つの楽曲を徹底考察し、あなたの心に癒しと力をお届けする本シリーズ。
今回は、Perfumeの新曲「巡ループ」を取り上げます。
「巡ループ」は、Perfumeが発表した、當真あみさん主演の「日本テレビ系ドラマ『ちはやふるーめぐりー』」の主題歌。
軽やかなビートとオリエンタルな雰囲気を醸し出す浮遊感のあるサウンドにのせ、“巡る時間”と“忘れられない記憶”を描いた楽曲です。
タイトルの「巡ループ」が示すように、この曲では、季節や感情、そして思い出がくるくると巡りながら、心の奥でそっと息づいている様子が描かれています。
それはまるで、“青春”という名の一瞬を、何度も心の中で再生し続けているかのよう。
今回は、そんな「巡ループ」の楽曲イメージと歌詞を丁寧に紐解きながら、Perfumeがこの楽曲に込めたメッセージに迫っていきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
筆者が音源を初めて聴いた時のイメージは、”万華鏡”でした。
くるくる回る万華鏡の中にある「色とりどりのガラス片(あるいは“かけら”)」は、揺れ動く感情――ときめき、切なさ、戸惑い、期待、憧れ――を映し出すかのように。
そして映し出される模様は、一つひとつ違っているのに、すべてが一つの流れの中にあると考えた時、誰もが経験する”青春”を感じさせる――
そんな楽曲だと筆者は感じました。
それでは、いよいよ歌詞考察に入っていきましょう。
印象的な歌詞をピックアップしながら、深掘りしていきますね。
※JASRAC管理楽曲のため、すべての歌詞は掲載していません。
詳しく知りたい方は、以下のリンクからご確認ください。
歌詞の中でも、特に印象的だったのが、
並べられた“四季”の情景です。
春の希望も 夏の涙も
秋の変わりも 冬の匂いも
この一節には、時間の流れとともに変化していく感情の記憶が込められているように思えます。
筆者は、それぞれの季節に次のような意味を感じ取りました。
これら四季の情景と感情は、まるで“万華鏡”の中のガラス片のように感じられます。
くるくると回る中で、模様は次々と形を変えながらも、
どれひとつとして無駄なものはなく、すべてが美しく存在している。
巡っては変わり、けれど確かに心の中に刻まれている感情――
それこそが、“青春”という名の輪郭を、そっと描いていたのではないでしょうか。
この楽曲のタイトルである「巡ループ」には、明らかに“めぐる”と“ループ(繰り返し)”という二重の意味が込められているように筆者には感じられます。
“巡る”という言葉が表すのは、時間や季節、感情、そして人生のサイクル――
どれも一方向に進むだけではなく、何度も心の中で再訪するもの。
そして“ループ”という響きには、記憶の中で何度も思い出される風景や感情が込められているようです。
それは、ふとした瞬間に蘇る「誰かの声」「あの日の空気」「交わした言葉」のように。
完全に過去にはならず、今の自分の一部として、静かに生き続けている――
そんな記憶のあり方が、「巡ループ」という言葉に託されているのではないでしょうか。
「巡ループ」というタイトルの真意を探るとき、
鍵となるのは、“ループ”しながらも“変化”している
という点にあるのではないかと筆者は気づきました。
たとえば──
「変わり続ける季節のなかで 教えてくれたこの時の輝き」⇔「変わり続ける季節の先で 見つけてくれた一瞬のまたたき」
あるいは、
「春の希望も 夏の涙も 秋の変わりも 冬の匂いも」
⇔「春の不安も 夏の願いも 秋の笑顔も 冬の想いも」
これらの歌詞を「ループ」させながら辿ってみることで、
私たちは“過去を変えることはできないけれど、
思い出の色合いは変えていける”という、時間の不思議な作用に気づかされます。
不安だった春が、今では希望だったと思えるようになり、
願うことしかできなかった夏が、あの涙の源だったと分かるようになる。
秋の戸惑いが、やがて笑顔へと変わり、
冬に抱いていた想いは、ふとした匂いとなって、
“今の自分”をそっと包んでくれる――。
つまり「巡ループ」とは、変化を伴う回帰であり、
“何度も自分の記憶や感情をなぞりながら、少しずつ受け入れていくプロセス”そのものだと筆者は感じます。
そこに、私たちは「成長」や「癒し」といった静かな変化を感じ取るのかもしれません。
もう一つ特筆すべきは、この楽曲がPerfumeらしさを失わずに、どこかノスタルジックな世界を描いている点です。
浮遊感のあるエレクトロ・サウンド、細やかに重ねられたリズムと音の粒子。
それでいて、どこかオリエンタルな”和”を感じさせる旋律や間(ま)の取り方――
それらが融合することで、「時間や記憶を旅する感覚」が生まれているように感じます。
未来的なサウンドと、過去の記憶に触れるような歌詞。
この“未来と過去の交差点”に立っているのが、まさに今作のPerfumeなのかもしれません。
今回は、Perfumeの楽曲「巡ループ」を徹底考察しました。
「巡ループ」は、私たちが通り過ぎてきた四季の中にあった
感情のかけらをそっと拾い上げてくれるような楽曲です。
それは、もう戻れないけれど、決して消えることのない記憶。
まるで心の万華鏡を回すように、何度も見つめなおしたくなる“青春の模様”。
――あなたにも、そんな記憶がきっとあるはず。
誰にでも「忘れられない季節」がある。
それらがすべて繋がって、今のあなたをつくっている。
そんな優しいメッセージが、「巡ループ」には込められているのではないでしょうか。
音楽は、記憶とともに巡るもの
季節が巡るように、感情もまた巡る。
そして、音楽はその感情に寄り添いながら、私たちの記憶と静かに結びついていきます。
Perfumeの「巡ループ」は、そんな“記憶の旅”を優しく導いてくれる楽曲です。
それは「懐かしさ」や「切なさ」を含みながらも、どこか前を向かせてくれる――
まるで、春の光が冬の寒さを少しずつ溶かしていくように。
今、あなたが胸に抱いている“とっておきの季節”を、
どうか忘れずに、大切に抱きしめていてください。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
多くの楽曲を考察しています。
そちらもぜひ、ご覧くださいね。
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