――僕は信じている。
この星空を見上げている誰かと
想いがつながっていることを――
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
毎回、一つの楽曲を徹底考察し、あなたの心に癒しと力をお届けする本シリーズ。
今回は、槇原敬之さんの楽曲「僕の今いる夜は」を取り上げます。
「僕の今いる夜は」は、2008年「FM802春のキャンペーンソング」として、
秦基博さんと槇原敬之さんが手がけ、リリースした楽曲です。(シングルカットはされていません)
ラジオという媒体から聞こえて来る声やサウンドに感じる切なさや希望。
様々な想いが混じり合う中で、ふと自分を見つめ直し、
今の自分の居場所や、これから進むべき道を模索することができる――
そんな楽曲だと筆者は感じます。
この記事では、楽曲イメージやタイトル、歌詞の意味を丁寧に深掘りし、
この歌が私たちに伝えたい想いを紐解いていきます。
どうぞ最後まで、お楽しみください。
※本記事では、JASRAC管理楽曲のため歌詞の全文掲載はいたしません。
歌詞の世界観を詳しく楽しみたい方は、公式サイトや歌詞検索サイトなどでご確認ください。
楽曲を初めて聴いた時、
“想いを乗せた声や歌が夜空を飛び回る”感じがして、
全てを聴き終わった瞬間、筆者の脳裏に浮かんだイメージが、“オーロラ”でした。
極寒の地に出現する神秘的なオーロラ。
その中でも筆者は”カーテン状にゆらゆらと輝くオーロラ”をイメージしました。
寒さを「孤独」、カーテン状のオーロラに「仄かな温もり」を感じ、
優しさと力強さを併せ持ったメロディーと重ね合わせた時、
何とも言えない”ほっこり”感が心を包み込み、聴き込むほどに癒されていきます。
特にサビでは、誰かとつながっているという“信じる気持ち”が優しく歌われています。
これが、筆者の中で“夜空を舞う声”というイメージと強く重なった部分でもあるのです。
歌詞の中にある印象的なフレーズを聴くと、筆者は自分の中学生時代を思い出します。
それは深夜放送が今以上に多くの人に愛されていた時代の話です。
当時の深夜放送は、自分の好きな曲を番組宛にハガキや電話でリクエストするスタイルが主流でした。
自分が書いたハガキが採用されるかどうかを心待ちにしながら、夜遅くまでラジオに耳を傾けていたものです。
筆者が中学3年生の頃、高校受験を控えて毎晩遅くまで深夜放送を聴きながら勉強していました。
そんな時、いつも母が
「これ食べて頑張るんだよ。ただ、頑張るのも良いけど、できるだけ早く寝ないと明日もあるんだからね」
と言って、手作りの夜食を持ってきてくれました。
夜食の温かさが、母の想いのそれと同じように感じられ、
温かい食べ物を口にしながらふとラジオに耳を傾けると、
筆者ではない別の人のハガキが紹介されていました。
その内容は
『毎晩夜食を食べながら勉強頑張っています。このラジオを聴いているみんなの中にも同じことをしている人が居るかもしれないので、一緒に頑張れたらと思ってリクエストしました』
というものでした。
そして驚いたことに、かかったリクエスト曲が、なんと筆者がリクエストしたものと同じ曲だったのです。
それを聴いた時、受験の不安やつらさは私だけではなく、
みんな同じように感じているのだという思いが心に響きました。
見知らぬ誰かと想いが繋がっているという実感に励まされ、
その後の受験勉強を乗り越えることができた記憶があります。
この体験こそが、「僕の今いる夜は」が持つメッセージの核心部分と重なり合うのです。
夜という時間、ラジオという媒体、そして見えない誰かとの心の繋がり――
すべてがこの楽曲の世界観そのものだと感じています。
「僕の今いる夜は」――
このタイトルから楽曲が描く物語は”孤独”から始まり、
ラジオという媒体から発信される”共感”という空気感の中に身を委ねることで
「”僕が今いる夜に感じる孤独”が何なのか」が分かり、心が癒されていく、というものです。
孤独という言葉のイメージは、”一人ぼっち”という意味合いで捉えられがちですが、
筆者がサブタイトルに”充実”という言葉を選んだのは、
楽曲やタイトルが伝えたい想いが“目に見えない孤独”を表しているように感じたからです。
単純に対義語を考えた場合、”孤独⇔仲間”、”孤独⇔賑やか”といった感じで、
どうしても「目に見える形」になってしまいます。
しかし、”孤独⇔充実”とすることで、精神的、内面に在る寂しさが、
優しさと温もりによって満たされていく様子が窺えるのではないでしょうか。
“想いを乗せた声や歌が夜空を飛び回る”イメージを形にした場合、
私たちの心に宿るものを言葉にすれば――
一番しっくりくるのは”充実”という言葉ではないかと筆者は感じます。
「僕の今いる夜」とは、
精神的な「孤独」が終わり、充実した日々を過ごせるようになる「夜明け前」を指していて、
“今まさに、そのスタートを切ろうとしている瞬間”を描いているのではないでしょうか。
今回は、槇原敬之さんの楽曲「僕の今いる夜は」を徹底考察しました。
人は時として、孤独を感じる時があるものです。
“一人の方が気楽でいい”という人でも、
それが精神的な”孤独”であったとしたら、
何ともつらいものなのではないでしょうか。
「僕の今いる夜は」は、そんな精神的な孤独に陥ってしまった人にも
“大丈夫だよ。その想いはきっと、同じ夜空を見ている誰かの想いとつながっているのだから”
という思いを、槇原さんの歌声とメロディーに乗せて、私たちの心の奥深くにまで届けてくれる——
そんな楽曲だと筆者は感じました。
今夜、あなたのいる場所にも、誰かの想いが届いているかもしれません。
そんな“見えないつながり”を信じて、一歩ずつ、進んでみませんか?
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも槇原敬之さんの楽曲を考察しています。
そちらもぜひ、ご覧くださいね。
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