――あなたは、大切な誰かの面影を“彼方”に探したことがありますか?
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、福山雅治さんの楽曲「彼方で」を考察します。
福山雅治さんの「彼方で」は、
2020年12月8日にリリースされたアルバム『AKIRA』に収められた楽曲であり、
翌年8月6日に公開された映画『太陽の子』の主題歌でもあります。
リリース日が「太平洋戦争開戦の日」、
映画公開日が「広島原爆の日」、
そして2025年は「戦後80年」という節目にあたり、
今年8月29日からの限定再上映によって改めて注目を集めています。
ヴァイオリンとギターがメインとなって構成され、
ヴァイオリンの音色は“心の揺れ動き”を、
ギターの音色は“時間の流れ”を想起させます。
そして福山さんの歌声は、
AメロやBメロでは力強い男声を、
サビでは柔らかく包み込むような女声を思わせる歌い方が印象的な楽曲です。
この記事では、楽曲イメージやタイトル、
歌詞に込められたい想いを丁寧に深掘りし、
“この歌が伝えるメッセージ”を紐解いていきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
楽曲を初めて聴いたとき、筆者の脳裏に浮かんだのは――
“時を刻むアナログ時計”と“水引”でした。
時計の針が静かに進むように、過去と現在の時間が重なり合う感覚。
そして水引の結び目のように(祝いごとやご縁を象徴する)、
失われた存在と今を生きる自分とが固く結ばれているように思えたのです。
あなたも楽曲を聴いたとき、胸の奥にそんな「時と絆の交差」を感じませんか?
それでは、歌詞考察に入りましょう。
※本記事では、JASRAC管理楽曲のため、歌詞全文は掲載していません。
歌詞の世界観を詳しく知りたい方は、
音楽配信サービスや歌詞検索サイトでご確認ください。
歌詞の中心には、“愛だけを残して旅立った存在”への深い想いが刻まれています。
残された者は喪失の痛みに苛まれながらも、
愛によって「生きよ」と命じられ、前を向く力を得ます。
一方で、同じ愛は「忘れよ」とも語りかけ、
過去に囚われすぎないよう背中を押すのです。
そこには“記憶と生の両立”という
普遍的なテーマが描かれていると筆者は感じました。
また、歌詞には「夏」「海」「夢」といった
象徴的な時間の断片が織り込まれています。
それらは失われた過去の輝きであると同時に、
現在を生きる自分を支える拠り所でもあります。
そして繰り返される「彼方で逢える」という言葉は、
別れを永遠の断絶ではなく
“再会への希望”へと昇華していくように思えるのです。
映画『太陽の子』では、
原子爆弾の研究を進める中で起きる数々のトラブルや、
戦地から療養のために一時帰宅した弟との再会が描かれています。
幼馴染との交流や兄弟の時間は、
戦争という苛烈な現実のただ中で訪れた、
かけがえのない“人間らしさの瞬間”でした。
筆者はそれを、ある意味において
“神風”が吹いていたのではないかと感じています。
これら“知る機会”こそが、この作品と楽曲を結びつけ、
私たちに普遍的な問いを投げかけています。
※なお、福山雅治さんは「クスノキ」や「想望」といった楽曲でも、
平和や記憶、未来への願いを音楽に刻んできました。
これらの曲と併せて聴くことで、
「彼方で」が持つメッセージの広がりをより深く感じられるはずです。
「彼方で」という言葉は、
物理的な距離を超えた“心の彼方”を示していると感じます。
そこにはもう触れられない存在があり、
それでも心の中で寄り添い続けている関係がある。
孤独、喪失、そして再生という普遍的なテーマを抱えながら、
「彼方で」は、私たちに
そこが“つながりの場所”であることを教えてくれます。
「彼方で」は、
の心に響く楽曲だと思います。
聴いているうちに、痛みは消えなくても「共に生きていける」と思える瞬間が訪れます。
それはまるで、閉ざされた心の扉に差し込む一筋の光のよう。
聴き終えた後には、少しだけ前を向ける自分に気づけるはずです。
今回は、福山雅治さんの楽曲「彼方で」を徹底考察しました。
「彼方で」は、戦争という大きな喪失を背景にしながらも、
今を生きる私たち一人ひとりの心の痛みに寄り添う歌です。
過去の記憶と共に、未来を歩む力を与えてくれる処方箋のような存在。
孤独な夜、あるいは立ち止まってしまったとき、
どうかこの曲をあなたの支えにしてみてください。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは「戦後80年」に寄せて、
平和と記憶をテーマとした楽曲考察と記事を公開しています。
こちらもあわせてご覧いただければ幸いです。
This website uses cookies.