――「大丈夫」と言えない夜に、この歌は寄り添ってくれる。
あなたは、自分の弱さを赦せていますか?
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、anoさんの楽曲「ミッドナイト全部大丈夫」を考察します。
anoさんの新曲「ミッドナイト全部大丈夫」は、
2025年9月3日に日本武道館で開催された
ワンマンライブで初披露された楽曲です。
煌びやかなステージの中で、現世への憂いや閉塞感を描きながらも、
未来へ手を伸ばす希望を歌い上げたこの一曲は、
聴く人それぞれの心に深く響く力を持っています。
この記事では、楽曲イメージやタイトル、歌詞の意味から丁寧に掘り下げ、
「ミッドナイト全部大丈夫」が今の時代に伝えるメッセージを紐解いていきます。
初めてこの曲を耳にした時、私の脳裏に浮かんだのは
“砂漠に降り注ぐスコール”でした。
乾ききった大地に突然訪れる豪雨は、
圧倒的でありながらも救いのようにも思えます。
静かなイントロから、情熱的に揺れ動くメロディーの中で
その情景が何度も重なります。
あなたも聴いてみると、不安や孤独がふっと
雨に洗い流される瞬間を感じられるのではないでしょうか。
それでは、歌詞考察に入りましょう。
※本記事では、著作権等により、すべての歌詞は掲載していません。
歌詞の世界観を詳しく知りたい方は、
音楽配信サービスや歌詞検索サイトでご確認ください。
歌詞全体は、現代を生きる若者の
「生きづらさ」と「それでも今を生きたい」という想いを描いています。
冒頭では、ビルや飛び降り、生活の苦しさ、
孤独な家庭関係といった残酷な現実が突きつけられます。
そこで歌われるのは、社会の歪みや痛みを隠さずに直視する姿です。
しかしその一方で、「僕が僕に建てた中の指がピースになる」というフレーズからは
他人にではなく、自分自身に向けて「大丈夫だ」と語りかける姿が浮かび上がります。
そこには、自らを保とうとする自分とのちいさな対話が宿っています。
やがて「赦して」「ほどいて」という言葉が繰り返されます。
ここで注目したいのは、「許して」ではなく「赦して」と綴られていることです。
「許す」が過ちを見逃す行為を指すのに対し、
「赦す」は存在そのものを受け入れることを意味します。
つまり、誰かに行為を裁かれたくないというより、
「ありのままの自分を受け容れてほしい」という心の叫びが込められているのです。
そして「とける」という表現もまた奥深いものです。
ひらがな表記にすることで、
「溶ける」「解ける」「融ける」「説ける」といった多様なニュアンスを抱き込みます。
縛られていた心の鎖が解けるようにも、
凝り固まった想いが柔らかく融けていくようにも、解釈の幅を広げているのです。
そのうえで、「ミッドナイト まぼろしだって いつかはとけるはず」と歌われる。
ミッドナイトは暗闇や孤独の象徴であると同時に、
夜明け前という新しい希望へとつながる時間でもあると考えた時、
そこにはどんな苦しみも永遠ではなく、やがて終わると信じることで
希望の光が差し込んでくるといった思いが込められていると感じます。
「絶望と希望の境界線にある心に“OK”と呟く」
タイトルを見た瞬間、筆者の胸に飛び込んできたメッセージがこれです。
真夜中という絶望と希望の境界線上で、「全部大丈夫」と自分に言い聞かせる――
そのささやかな呟きが、ほんの少しでも前へ進むための力になるのです。
その言葉の響きは、かつて流行した
「全然OK」「全然大丈夫」を思い起こさせるような軽やかさも持っています。
深刻さに押しつぶされそうな現実にあっても、
ユーモアやポップな言葉で自分を支えようとする現代の若者の感覚が、
このタイトルには刻まれているのではないでしょうか。
この歌は、次のような心の痛みに寄り添ってくれます。
聴き終えたあと、心がほんの少し軽くなり、
「大丈夫」と自分に言ってみたくなる――それがこの楽曲の効能です。
今回は、anoさんの楽曲「ミッドナイト全部大丈夫」を徹底考察しました。
anoさんの「ミッドナイト全部大丈夫」は、
弱さや孤独を抱えたままでも生きていいと伝える歌です。
それはまるで、夜の真ん中で唱えるおまじないのように、私たちを支えてくれます。
まさに、今を生きる私たちの心を映す鏡のような一曲だといえるでしょう。
あなたが苦しくて、悲しくてどうしようもない夜に、この歌を聴いてみてください。
「大丈夫」と口にするたびに、ほんの少しずつ心が救われていくはずです。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にもanoさんの楽曲を考察しています。
そちらもぜひ、ご覧くださいね。
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