――“ゆらぎ”の中でやっと見つけた、本当の自分。
あなたには、心が世の中から“少しずれてしまった”と感じた瞬間はありますか?
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、米津玄師さんの楽曲「トレモロ」を考察します。
米津玄師さんの「トレモロ」は、2025年11月に発表された楽曲であり、
RADWIMPSが2006年にリリースした同名の楽曲をカヴァーした作品です。
(楽曲は、「Dear Jubilee-RADWIMPS TRIBUTE-」に収められています)
原曲よりも少しウィットを感じさせるアレンジで、
乾いたビートの上を滑るように転がる米津さんの歌声が、
どこか「心と現実のタイムラグ」を象徴しているように響きます。
頭で考えること、胸で願うこと、
口にできること、そして行動にできること――
それぞれが微妙に“ずれている”。
そのアンバランスさが、聴けば聴くほどしっくりと腑に落ちてくる
不思議な魅力を持つ楽曲です。
この記事では、この「トレモロ」が現代を生きる私たちに何を届けているのか、
歌詞の世界観とともに心のメッセージを丁寧に紐解いていきます。
初めてこの曲を聴いたとき、筆者の脳裏に浮かんだのは
“太陽フレア”のイメージでした。
眩しすぎるほどの光。
ゆらぎながら放たれ、宇宙を放射していく熱。
その光を見上げたときの、どこか胸がざわつくような感覚。
あなたも、どこかで似たようなイメージを抱いたのではないでしょうか?
美しくも不安定で、綺麗なのに壊れてしまいそう。
その「ゆらぎ(トレモロ)」こそが、
この曲の質感そのものであるように思えます。
ここからは、歌詞に込められたメッセージをストーリーとして読み解きます。
※著作権の都合により、歌詞の引用は行っておりません。
物語は、静かで美しい夜から始まります。
“満天の星空に、大切な人の声が響いてもおかしくないほど綺麗な夜”。
けれど主人公の心には、
どうしても消えない「悲しみ」や「伝わらなさ」が渦巻いています。
本当に伝えたいことほど、言葉にした瞬間に壊れてしまう。
だから主人公は笑ってごまかす。
そして相手もまた、「ここには何もないよ」と笑って見せる。
お互いが本心を隠し合う、そのもどかしさだけが夜の中で膨らんでいきます。
二人とも、本当は“望んでいる”。
「意味がない」と自分を切り捨てることでも、
「何もない」と笑うことでもなく、
その先にある“光の粒”のような、小さな希望を。
やがて主人公は、自分が自分から離れていくような感覚に包まれます。
けれど、そのときふと気づくのです。
――真実は、それだけで美しい。
神様が夢を見せるみたいに、
悲しみが悲しみで終わらない未来をどこかで信じている。
そして主人公は、閉じていたページの上に、
そっと言葉を描きだすのです。
「僕は、僕の手を離さない」と。
止まっていた景色がゆっくりと動き出し、胸の鼓動が4拍子を刻み始める。
不器用でもいい。
終わりに向かっていく明日を、笑って迎えられるように。
歌詞全体を通して描かれるのは、
“自分が自分を再びつかみ直す物語”だと筆者は感じました。
物語の中で主人公の心は、ずっと揺れています。
そのゆらぎの中で唯一確かなのは、“光の粒”という微かな希望です。
それは、大切な人の声なのか、未来への願いなのか、
あるいは主人公の心の奥底にある“真実”なのか。
その正体は曖昧なまま、しかし確かに主人公を導いていきます。
やがて歌詞は「4拍子」という象徴的な言葉へと向かいます。
ここが、この曲の核心だと筆者は感じました。
その真意をお伝えしますね。
この“4拍子”は、単なるリズムの話ではありません。
歌詞全体に散りばめられた要素を照らし合わせると、
まるで世界を形づくる4つの軸が提示されているように思えるのです。
それは、次の4つ。
これらは、主人公の心の中で絶えず揺れ動き、
それぞれが“4拍子”のように拍を刻みながら、主人公を支えています。
つまり「4拍子」とは、
自分を取り戻していく過程で立ち上がる“4つのリズム”と言えるのかもしれません。
そして主人公は、そのリズムの上に乗り、想いと言動のバランスをキープしながら
自分の中に在る“真実”を求め、もう一度歩き始めるのだと感じます。
「トレモロ」はイタリア語で“ゆらぎ”“震え”を意味し、
楽器の演奏技法としても知られています。
これは、まさに曲全体のテーマを象徴しています。
人間の内側にある“ゆらぎ”のすべてが、
まさに「トレモロ」という言葉に吸い寄せられるように収まっています。
“ゆらぎの中にこそ、真実がある。
揺れているからこそ、あなたはあなたでいられる。”
「トレモロ」には、そんなメッセージが込められていると思えてなりません。
「トレモロ」は、次のような心の痛みにそっと寄り添う楽曲です。
伝えたい想いほど言葉にできない。
そんな葛藤を抱えてきた人に、この曲は深く共鳴します。
自分を見失いそうになることを決して恐れず、
もう一度“自分の手をつかみ直す”きっかけをくれます。
“悲しみが悲しみで終わらないように”
という祈りにも似たメッセージが、心の奥で灯りのようにゆらめきます。
この曲は、派手に励ましてくれるタイプの“処方箋”ではありません。
むしろ、夜の静けさの中であなたの隣に座って、
「大丈夫、まだ終わってないよ」とそっと伝えてくれるような歌です。
今回は、米津玄師さんの楽曲「トレモロ」を徹底考察しました。
「トレモロ」は、
揺れて、迷って、不安定であっても決して怯まず、
あなたのままでいいと伝えてくれる楽曲です。
悲しみだけで終わらない未来を、もう少しだけ信じてみたいとき。
自分を見失いそうになったとき。
何かを言葉にできないまま胸が痛む夜。
どうか、この曲をそっと再生してみてください。
“ゆらぎの中にこそ、あなたの真実がある。”
そう気づけたとき、あなたの心が少しだけでも軽くなりますように。
この記事が、あなたの心にそっと灯る光になれていたら嬉しいです。
「トレモロ」の余韻のまま、もう少しだけ音楽の旅を続けたい方へ。
心にそっと寄り添う、こちらの考察もぜひあわせてご覧ください。
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