――傷ついたままの感情を抱えて、それでも朝を迎えてしまったあなたへ。
「あるがままのあなた」でいいと、この歌は静かに誘います。
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、yamaさんの楽曲「Dawn」を考察します。
yamaさんの楽曲「Dawn」は、
2026年1月23日公開の映画
『恋愛裁判』(主演:齊藤京子さん)主題歌として書き下ろされた一曲です。
映画『恋愛裁判』が描くのは、
アイドルグループの人気メンバー・山岡真衣が、
契約書に記された「恋愛禁止条項」に反したとして、
所属事務所から訴えられ、裁判の場に立たされる物語。
――アイドルが「恋」をすることは、罪なのか。
――「心」を縛るルールは、どこまで正当なのか。
この作品は、実際に起きた事件を基にしながら、
“感情を持つこと”と“役割を演じること”の狭間で
引き裂かれる人間の心を、鋭く、そして静かに問いかけます。
主題歌である「Dawn」は、
その問いに対して、答えを提示するのではありません。
代わりに描かれるのは、
愛憎、葛藤、後悔、そして祈りが交錯する、ひとりの心の内側。
暗闇の中にある仄かな光を感じさせるメロディーと、
まどろみの中から語りかけるようなyamaさんの歌声は、
そんな心に抱く感情に、そっと寄り添うように響きます。
この記事では、トレンドや話題性としての主題歌ではなく、
「Dawn」がこの現世に差し出している“心へのメッセージ”を軸に、
情景イメージやタイトル、歌詞の物語性を踏まえ、
【メンタルエイド】の視点から読み解いていきます。
筆者がこの曲を初めて聴いたとき、脳裏に浮かんだのは、
“雨に濡れた曇りガラス”でした。
はっきりとは見えない。
けれど、確かに向こう側に光があることだけは、わかる。
yamaさんの歌声は、決して感情を露わに叫ぶわけではなく、
むしろ、眠りと覚醒の境目で、そっと心に触れるような、
真綿のような柔らかさと温もりを帯びています。
あなたもこの楽曲を聴きながら、
希望を信じきれないまま、
それでも前を向いていた朝を、思い出しませんか。
ここからは、歌詞に込められたメッセージをストーリーとして読み解きます。
※著作権の都合により、直接的な歌詞の引用は行っておりません。
「Dawn」が描くのは、
“自分らしさ”を見失いかけた一人の人間が、
それでも歩みを止めなかった心の物語です。
かつては笑い合っていた日々。
無敵だと信じて疑わなかった過去の自分。
けれど今は、光が見えず、
「このままでは自分を見失ってしまう」という不安に支配されている。
夢とアイデンティティを天秤にかけ、
何のために生きているのかを、何度も問い直す日々。
泣き出したくても、立ち止まることはできなかった。
舞台の上で浴びた眩しすぎる光は、
同時に、濃い影を心に落としていった。
本音を言えば未練だらけで、
ぐしゃぐしゃに泣いて吹っ切れるほど強くもなれない。
それでも主人公は、歩みを止めなかった軌跡こそが
「今の私」を形作っているのだと、静かに受け止めていきます。
癒えない傷も、矛盾した感情も、
誰かを傷つけてしまった過去さえも――
すべてを抱えたまま、
“理想じゃない私”を、それでも愛したいと願う。
「Dawn」は、世の中が勝手に作った常識によって心を裁かれる物語ではなく、
自分の感情に、最後まで寄り添うことを選んだ心のかさぶたなのです。
「Dawn」は、「夜明け」「黎明」を意味する言葉です。
一般的には、終わりのあとに訪れる希望や、新たな始まりを指します。
しかしこの楽曲で描かれる夜明けは、
すべてが解決し、救われたあとの朝ではありません。
まだ痛みは残っている。
後悔も、迷いも、消えてはいない。
それでも――夜は、確かに終わりへと向かっている。
この「Dawn」が象徴しているのは、
誰にも答えを出せないまま迎える“心の夜明け”です。
映画『恋愛裁判』では、
恋をしたという事実が、契約やルールによって裁かれます。
そこでは、モラルや規範が優先され、「心」は後回しにされてしまう。
けれど「Dawn」は問いかけます。
――感情を持つことは、本当に間違いなのか。
――誰かを想ったその気持ちは、罪として裁かれるものなのか。
夜明けとは、
白黒がはっきりする瞬間ではありません。
むしろ、闇と光が混ざり合い、まだ輪郭が曖昧な時間帯です。
だからこそこの曲の「Dawn」は、
完全な肯定ではなく、“否定しないこと”を選ぶ朝として描かれています。
理想の自分になれなかった。
誰かを傷つけてしまった。
それでも、その感情が
確かに自分のものであったことを、もう一度信じ直す。
それが、「Dawn」というタイトルに込められた本質ではないでしょうか。
「Dawn」が静かに効いてくるのは、
もう頑張れない人や、正しさの中で自分を見失いかけている人の心です。
たとえば、
・理想の自分でいなければならない場所にいる人
・役割を演じ続けることに疲れてしまった人
・「好き」という感情すら、後ろめたく感じてしまう人
この楽曲は、そんな心に苛まれ、
ぐしゃぐしゃに泣いても吹っ切れないこと、
未練を抱えたまま前を向いていること、
そのすべてを“生きている証”として包み込んでくれます。
「あるがままでいい」
その言葉は、現実逃避ではありません。
傷を抱えたままでも、
自分の感情を自分のものとして引き受ける覚悟の表れです。
聴き終えたあと
『今は癒えないままでもいい』
『想いが揺れたままでもいい』
そう思えたとき、心はほんの少し、呼吸を取り戻します。
▼同じく「アイドルと恋愛」というテーマを扱いながら、
“別の角度”から描かれた楽曲として、
YOASOBI「アイドル」の歌詞考察も公開しています。
こちらは“感情を持つ側”ではなく、
“感情を求められる側”から描かれた物語。
「Dawn」とあわせて読むことで、
このテーマが持つ二つの顔が、より鮮明になるかもしれません。
今回は、yamaさんの楽曲「Dawn」を考察しました。
yamaさんの「Dawn」は、
感情に答えを出せないまま迎える朝を描いた楽曲です。
前に進めたのかどうかも分からない。
選択が正しかったのかも、まだ言えない。
それでも、朝は訪れてしまう。
この曲がそっと肯定するのは、
その宙ぶらりんな感情そのものだと感じます。
強くなれなかったこと。
割り切れなかったこと。
理想の自分に辿り着けなかったこと。
それらを「失敗」と呼ばず、
歩いてきた軌跡として抱きしめる余白を、
「Dawn」は与えてくれるのではないでしょうか。
夜明けは、あなたの感情が
整っていなくても、迷っていても、
そのままの心で進んでいいと、そっと照らしてくれます。
どうかこの曲を、
「自分を愛し直すための処方箋」として、
あなたのそばに置いてみてください。
「Dawn」は、
あるがままのあなたの感情に寄り添う、
静かな “asayake” のような一曲です。
そして、「Dawn」に寄り添われて目覚めた朝は、
きっとあなたの感情を置き去りにはしないでしょう。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも様々なアーティストの楽曲を考察しています。
ぜひそちらもご覧ください。
あなたの“心のリアル”に寄り添う一曲が、きっと見つかるはずです。
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