――心が雨のままでも、人は前に進めるのでしょうか。
晴れてほしいのに、晴れない。
涙が止まらないのに、止めようとしてしまう。
そんな“感情の揺れ”を抱えたまま、私たちは今日も生きています。
ヨルシカの楽曲
「晴る」は、“雨を否定しないことで心を晴らす歌”です。
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、ヨルシカの楽曲「晴る」を考察します。
日本の男女混成ロックバンド・ヨルシカが手がけた楽曲「晴る」は、
アニメ「葬送のフリーレン」第2クールのオープニングテーマとして
書き下ろされました。
制作者であるn-bunaは、この楽曲を
「晴れではない状態から晴れを願う曲」と語っています。
つまりこの曲は、単なる“明るさ”の歌ではなく、
「揺れ続ける感情の中で、それでも前に進もうとする意志」
を描いた作品だと言えるでしょう。
この記事では、楽曲の情景、歌詞の構造、
そしてタイトル「晴る」に込められた意味を通して、
この歌が伝えたい本質に迫ります。
この楽曲から浮かんだのは――
“雨上がり、雲の隙間から差し込む光”でした。
濡れた地面、まだ残る雨の匂い。
けれど、その向こうには確かに“晴れの気配”がある。
完全な晴天ではない。
それでも――
「もうすぐ晴れる」と分かる空。
この曖昧で不安定な境界線こそが、
この楽曲の本質的な風景なのではないでしょうか。
この楽曲は、
“揺れ動く感情を抱えた誰かを見つめる物語”です。
語り手が見つめる「貴方」は、
風のように掴みどころがなく、
その瞳には“晴れ”と“雨”が同時に宿っています。
あるときは、晴れの匂い。
あるときは、雨の気配。
つまり――
人の心は、ひとつの天気ではできていない。
楽曲は、その揺れを否定しません。
泣きたいときは泣けばいい。
降り続く雨でさえ、やがてあなたを彩るものになる。
そして物語は、次第に“外”へと広がっていきます。
雲を越え、海を越え、
遠く、さらに遠くへ――
それは、感情に縛られたままではなく、
“揺れながらでも進む”という選択。
最終的にこの曲は、
「晴れを待つ」のではなく
“自分たちで晴れへ向かっていく”
という意志へと辿り着きます。
この楽曲の核心は、実は“言葉の響き”の中に隠されています。
「晴る」という楽曲には、印象的な韻が多く使われています。
たとえば――
一見すると似た響きの言葉ですが、
その意味はむしろ対照的です。
泣くことは、感情が溢れる状態。
凪ぐことは、心が静まった状態。
つまりこの曲は、
“揺れる心”と“穏やかな心”を、
同じ音の中に共存させているのです。
そしてそれは、
という、この楽曲の根底に流れる思想そのもの。
「変化」と「安定」は、切り離されたものではない。
「晴る」とは――
最初から与えられるものではなく、
揺れ続けた感情の先に、ようやく辿り着く状態なのかもしれません。
「晴る」という言葉には、複数の意味が重なっています。
いずれにも共通するのは、
「変化の先にある、新しい状態」という点です。
ここで重要なのは、
「晴れ」ではなく“晴る”と表現されていること。
それは名詞ではなく、動きを伴う言葉。
つまり――
晴れは“起こるもの”ではなく、“起こしていくもの”。
どれだけ心が雨に覆われていても、
その奥には必ず“晴る可能性”がある。
それを、このタイトルは静かに示しています。
この「晴る」は、
“今まさに揺れている心”に効く処方箋です。
「ずっと晴れていたい」と思うほど、
雨が続くと苦しくなるものです。
でもこの曲は言います。
雨もまた、あなたを形作るものだと。
動けないとき、人は「止まっている」と感じます。
けれど本当は――
揺れていること自体が、すでに“進んでいる証”
なのかもしれません。
「貴方」は、晴れでもあり雨でもある存在。
それはつまり、
人は単純ではなく、矛盾を抱えたまま生きている
ということ。
だからこそ、分からなくてもいい。
それでも寄り添うことに意味があるのです。
アニメを観た方なら、この楽曲の意味がより深く理解できるかもしれません。
この楽曲は、葬送のフリーレンの世界観とも深く重なります。
フリーレンの物語は、
を描いた作品です。
つまり――
感情は、その場で理解できるものではない
というテーマ。
「晴る」もまた同じです。
すぐに晴れるわけではない。
けれど、雨の時間を経た先で、
ようやく“晴れ”に気づく瞬間が訪れる。
この楽曲は、フリーレンの旅そのもの――
“感情が追いついていく物語”なのです。
今回は、ヨルシカの楽曲「晴る」を考察しました。
「晴る」は、
“今の自分のままで進んでいい”と教えてくれる歌です。
雨の時間があってもいい。
泣いてしまってもいい。
そのすべてが、やがてあなたを形作り、
“晴れ”へと繋がっていく。
だから――
晴れを待たなくていい。
あなたが進むことで、やがて空は晴れていく。
もし今、心が少しでも曇っているなら。
どうかこの「晴る」を、あなたの処方箋に。
「晴る」の歌詞が伝えたかったのは、
“雨の時間もまた、あなたにとって必要なものだ”という真実です。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にもヨルシカの楽曲を考察しています。
ぜひそちらもご覧ください。
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