――“この世の果て”から溢れ出すのは、憂いか。それとも歓喜か。
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、ポルノグラフィティの楽曲「アゲハ蝶」を考察します。
ポルノグラフィティの「アゲハ蝶」は、
2002年に、彼らの6作目のシングルとしてリリースされ、
20年以上経った今もなお高い人気を誇る、彼らの代表曲のひとつです。
ラテン調の軽やかなリズムが特徴で、
転調するサビはキラキラと輝きを放ちながらも、どこか妖しく切ない余韻を残し、
聴き込むほどに中毒性を増す不思議な魅力を持つ楽曲です。
そして2025年10月、日本テレビ系ドラマ
『良いこと悪いこと』の主題歌として起用され、
あらためてその歌詞と世界観が注目を集めています。
この記事では、楽曲イメージやタイトル、歌詞の意味を紐解きながら、
多くの人が抱く「どうして今、このドラマに“アゲハ蝶”なのか?」という疑問に
鋭く迫っていきます。
筆者がこの曲を聴いて最初に思い浮かんだのは、
夕暮れ迫る空と水平線の光景でした。
夕暮れのオレンジに色づいていくイエロー。
その隣で深まりゆくブルー。
やがて日の入りと共に静かに周囲を包み込む漆黒。
それはまさに「アゲハ蝶」の羽そのものであり、
人の感情の移ろいを象徴しているようにも感じられました。
あなたも、この楽曲からそんな情景が浮かびませんか?
ここからは、歌詞に込められたストーリーを丁寧に深掘りしていきます。
※本記事では、著作権等により、すべての歌詞は掲載していません。
歌詞の世界観を詳しく知りたい方は、音楽配信サービスや歌詞検索サイトでご確認ください。
歌詞を読み解いてみると、
「アゲハ蝶」は一羽の蝶と、それを見つめる“旅人”の物語
として描かれているように感じられます。
蝶は「喜びのイエロー」で輝きを放ち、
「憂いのブルー」をまとい、
最後には「漆黒」で世界を包む。
その変化は、人間の心の喜び・不安・孤独といった感情の移ろいそのものです。
冒頭、主人公は旅人に「どこまで行くのか」と問いかけます。
返ってきた答えは「終わりなどないさ」という言葉。
それは、人生や愛に明確な終着点はなく、
自分で区切りをつけるしかないという示唆にも聞こえます。
続く場面では「あなたに逢えた、それだけでよかった」と語りつつ、
現実では「愛されたい」と願ってしまった自分に気づき、世界が表情を変えていく。
それは“空と海が交じる”ように、
一瞬触れ合いながらも決して溶け合わない関係を示しています。
やがて“詩人”が登場し、言葉の限界や伝えることの難しさを吐露します。
もしこれが戯曲だとすれば、
舞台の上で進むことも戻ることもできず、孤独に立ち尽くすしかない――
そんな無力感すら漂います。
それでも「あなたが望むのならこの身を差し出す」と語り、
降り注ぐ火の粉の盾になろうと誓う。
これは自己犠牲であると同時に、自我を空洞化させる危うさを孕んでいます。
ラストに描かれる「荒野に咲いたアゲハ蝶」は、
決して手に入らないオアシスのような存在。
「冷たい水をください」
「できたら愛してください」
という切実な願いは、人間の根源的な渇望そのものです。
こうして読み解いていくと、
この歌詞は“出会いがもたらす光と闇”を描いた普遍的な物語であり、
ドラマ『良いこと悪いこと』のテーマとも
不思議なほどに響き合うのではないでしょうか。
ここでは、楽曲タイトルに込められた意味を見て行きましょう。
蝶は古来より「境界を越える存在」とされ、
様々なスピリチュアルな意味を持っています。
特に「アゲハ蝶」は――
を示すとされます。
さらに、シングル「アゲハ蝶」のジャケットに描かれているのはアオスジアゲハ。
この蝶には「人との縁を結ぶ」という意味があり、
楽曲のテーマである“出会い”や、ドラマにおける“再会”と強く結びついています。
ここで多くの人が抱く疑問――
「なぜこのドラマの主題歌が『アゲハ蝶』なのか?」に触れましょう。
ドラマ『良いこと悪いこと』は、
同窓会で再会した同級生たちが、塗りつぶされた卒業アルバムや不審死をきっかけに、
過去の記憶や秘密と向き合っていく考察ミステリーです。
これらは、アゲハ蝶が象徴する
「魂の伝達」「復活」「縁を結ぶ」という意味と驚くほど重なります。
つまり、『アゲハ蝶』が主題歌に選ばれたのは、単なる懐メロの起用ではなく、
物語の核心を暗示する必然の選曲だと考えられるのです。
「アゲハ蝶」は、孤独や喪失に向き合う人に効く処方箋のような歌です。
出会いがもたらす喜びと同時に、すれ違いや渇望に苦しむ――。
そんな矛盾を抱える私たちに、
「それでも心は生き続け、変化し続ける」という希望をそっと示してくれます。
聴き終えた後、心に残るのは“哀しみ”だけではなく、
“それでも人は出会いを求める”という温かな光なのかもしれません。
今回は、ポルノグラフィティの楽曲「アゲハ蝶」を徹底考察しました。
ポルノグラフィティ「アゲハ蝶」は、
憂いに満ちた闇を描きながらも、すべてを照らす光を放つ楽曲です。
ドラマ『良いこと悪いこと』においては、
登場人物の過去と現在をつなぎ、死者の声をも届ける“縁の象徴”として響きます。
孤独を感じるとき、過去に囚われるとき、どうかこの曲を聴いてください。
きっとあなたの心にも、羽ばたく蝶の影が光を落としてくれるはずです。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも“スピリチュアル”関連の楽曲を考察しています。
そちらもぜひ、ご覧くださいね。
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