――“ヒーロー”とは、何だろう。
あなたは、自分を信じきれなくなった夜を過ごしたことがありますか?
押しつぶされそうな孤独の中で、
「このままでは終われない」と胸の奥で何かが静かに燃え上がる――
そんな感覚に覚えはないでしょうか。
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】
BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、宮本浩次さんの楽曲「I AM HERO」を考察します。
宮本浩次さんの「I AM HERO」は、
2025年10月31日公開の映画
『爆弾』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。
繊細なイントロと、潔く突き抜けるボーカル。
静と動が交錯するサウンドは、映画の緊張感に寄り添いながら、
聴く者の胸に“生きる切なさ”をまっすぐ届けてきます。
この記事では、楽曲イメージやタイトル、歌詞の意味を丁寧に深掘りし、
「I AM HERO」が現代に投げかけるメッセージは何か?について
心をケアする【メンタルエイド】という視点で読み解いていきます。
初めてこの曲を聴いたとき、脳裏に浮かんだのは――
“肩で風を切り、胸を張って歩くヤンキーの姿” でした。
どれだけ時代が変わっても、同じ歩幅で、同じテンポで前に進む。
まっすぐで、不器用で、それでも折れずに立っている。
そんな姿がなぜかこの楽曲と重なって見えたのです。
あなたも、こうした“無骨な強さ”や“
どうしようもなさを抱えた弱さ”を、
掻き鳴らされるギターの音色から感じませんか?
この“まっすぐで不器用な強さ”は、
映画『爆弾』の男が抱える歪んだ衝動とも、
どこか通じるものがあるように思えてなりません。
ここからは、歌詞に込められたストーリーを丁寧に深掘りしていきます。
※本記事では、著作権等により、すべての歌詞は掲載していません。
歌詞の世界観を詳しく知りたい方は、音楽配信サービスや歌詞検索サイトでご確認ください。
この歌は、
“自分という存在を、もう一度名乗り直す”物語です。
物語の主人公は、
若い頃から「でかい男になりたい」と息巻いて生きてきた人物。
しかし時が流れるにつれ、
衝動も感情も、世の中の波に押しつぶされそうになる。
「こんなものなのか?」「これでいいのか?」
そんな自問自答に、胸がざわつく夜をくぐり抜けてきた。
けれど、そこで終わらない。
彼は夜明けの気配を感じた瞬間、“今だ”と跳ね上がる。
本能が、彼を前へ押し出すのです。
過去を振り返れば、愛も悲しみも、妄想や迷いも、
全部ひっくるめて自分をつくってきた記憶の地平線がある。
それでも主人公は言い切る。
「立ち上がる。俺はヒーローだ」
それは誰かを救うヒーローではなく、
“自分の人生を救うためのヒーロー” という宣言。
挫折も絶望も抱きしめながら、
それでも堂々と生きようとする姿が、
ストーリーとして鮮やかに立ち上がってきます。
“I AM HERO”――直訳すれば「俺はヒーローだ」。
しかし、この“ヒーロー”という言葉は、
一般的にイメージされる「正義の味方」ではありません。
映画『爆弾』のストーリーを踏まえると、
タイトルはより複雑で、人間の心の深部に触れる意味を帯びてきます。
物語の中心にいるのは、爆弾予告を仕掛ける謎の中年男。
社会的に見れば彼は“悪”であり、決してヒーローではない存在です。
しかし、この男の内側には――怒り、絶望、孤独、承認欲求。
抑え込んできた衝動と懊悩が積み重なり、
歪んだ自己定義へと形を変えていきます。
そんな人物が言い放つ「I AM HERO」は、
「社会にどう見られようと、俺は俺の物語の主人公だ」
という、痛みの裏返しの宣言だと読み取れます。
つまりこれは、まっすぐな正義ではなく、むしろ――
そうした複雑な感情をすべて抱え込んだ人物が、
自分を奮い立たせるための言葉なのではないでしょうか。
“I AM HERO”とは、
「誰かを救う者」ではなく、
「壊れかけた自分自身を救おうとする者」。
それが、このタイトルが象徴する本質であり、
映画の世界観と楽曲をつなぐ最も重要な鍵なのだと感じます。
そしてこれは、決して映画の中だけの話ではありません。
現代を生きる私たちもまた、
「正しく立っていたい」
「誰かに認められたい」という思いに揺れながら、
小さな“英雄性”を自分の中で探し続けているのかもしれません。
この歌が特に効果を発揮するのは――
そうした切実な心の葛藤を抱える人に深く効いてくると感じます。
この楽曲は、
「完璧じゃなくてもいい」「歪んだままの自分でも構わない」
そう語りかけることで、心のざらつきをひとつ和らげてくれます。
映画の中年男が“ヒーロー”と名乗らなければ崩れ落ちてしまうように――
私たちもまた、自分を守るために
小さな「ヒーロー宣言」が必要な瞬間があるのではないでしょうか。
“I AM HERO”は、
“倒れそうな心を支えるための、自己救済の言葉”として、
静かに効いてくる楽曲なのです。
今回は、宮本浩次さんの楽曲「I AM HERO」を徹底考察しました。
映画『爆弾』の物語に登場する男は、正義の味方ではありません。
社会の中で居場所を失い、歪んだまま生きるしかなかった存在です。
しかし、それでも彼は「I AM HERO」と呟くことで――
自分の人生を、自分で肯定しようと足掻いていたのかもしれません。
宮本浩次さんの歌声は、
そんな“歪んだままの自己肯定”に寄り添い、
聴く者に静かに語りかけます。
「あなたにも、自分を守るための“ヒーロー”がいる。」
「壊れた日があっても、絶望した夜があっても、あなたの物語は続いていく。」
迷ったとき。
心が折れそうなとき。
どうか「I AM HERO」をそっと処方箋にしてみてください。
たとえ世界が認めてくれなくても、
あなた自身が――
自分を奮い立たせる“ヒーロー”になれるはずです。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも宮本浩次さんの楽曲を考察しています。
そちらもぜひ、ご覧くださいね。
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