――どうしようもなく君を求める。
この感情は愛か、それとも狂気か。
人はなぜ、抑えきれない衝動に身を委ねてしまうのか。
その矛盾を抱えた心に寄り添う楽曲が、ここにある——
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYSは、毎回一つの楽曲を徹底考察し、
音楽を“心を支える薬”としてお届けするシリーズです。
今回は、米津玄師さんの楽曲「IRIS OUT」を取り上げます。
「IRIS OUT」は、2025年9月19日公開のアニメ映画
『劇場版チェンソーマン レゼ篇』の主題歌として、
米津玄師さんが書き下ろした楽曲です。
本作は「恋」と「死」の際どい境界をテーマに、
レゼというキャラクターの危うさを象徴する楽曲に仕上がっています。
この記事では、楽曲イメージやタイトル、歌詞の意味を丁寧に深掘りし、
この歌が伝えようとしているメッセージを紐解いていきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
楽曲を初めて聴いた時、筆者の脳裏に浮かんだのは、
ネオンライトが明滅する地下クラブで、狂喜乱舞する人々の群れ。
その笑顔は幸福なのか、それとも破滅へ向かう歓喜なのか――
聴く者に判断を委ねてきます。
そして曲全体から感じられるのは、
“狂気と甘美が同居したカーニバル”。
電子的なノイズと軽快なリズムが重なり合い、
浮き足立つような高揚感と、どこか不穏な気配が交互に押し寄せます。
「IRIS OUT」は、映画用語で”画面がだんだん暗転していく表現”のことを言います。
画面の一点にフォーカスしていくように暗転していく様は、
時に”執着”を感じさせるのではないでしょうか。
これを恋愛に置き換えて考えると、ある意味においては”一途”とも取れますが、
”執着”として捉えた場合、映画の内容とリンクすると考えられます。
「愛に飲み込まれ、視界が閉ざされる」「恋によって世界が塗りつぶされる」ことを、
このタイトルは暗示しているように筆者は感じます。
それでは、歌詞考察に入りましょう。
※本記事ではJASRAC管理楽曲のため、歌詞全文は掲載しておりません。
歌詞の世界観をより詳しく知りたい方は、
公式の歌詞配信サイトや音楽配信サービスなどでご確認ください。
歌詞全体を通して描かれているのは、
「愛に狂わされ、理性を超えてしまう感情」です。
主人公は「やめろ」と理性が叫ぶ声を無視し、恋心に突き動かされていきます。
相手の仕草ひとつで胸は乱れ、体も心も制御不能となり、
まるで血が噴き出すように「アイラブユー」が溢れてしまう。
彼にとって相手は唯一無二の存在であり、
「君だけが正解」と断言できるほど絶対的な存在なのです。
その想いは、勝ち目のないオセロの比喩や、
呪文「アバダケダブラ」で打ち抜かれるイメージによって、
恋における敗北感と中毒性として鮮やかに描かれます。
やがて恋は甘美でありながら破滅的なものへと高まり、
「瞳孔が開いて溺れ死にそう」と歌われるように、
命を削るほどの愛へと変貌していくのです。
そして最後に訪れるのは「IRIS OUT」。
常識やモラルを突き破り、光も視界も奪われるほど強烈な恋の衝動――
その行き着く先は、幸福か、破滅か。
筆者には、そんな危うくも抗えない愛の物語として響きました。
📝 歌詞に登場する難しい言葉の解説
「IRIS OUT」が効くのは、“愛に翻弄されて苦しいとき” だと筆者は感じます。
この歌は、「そんなあなたの痛みを否定しない」。
むしろ、「その狂おしさこそが生きている証だ」と肯定してくれる。
だからこそ、恋に疲れた心に効く“処方箋”となるのです。
今回は、米津玄師さんの楽曲「IRIS OUT」を徹底考察しました。
『IRIS OUT』は、恋によって壊れてしまいそうな“あなた”を、そのまま肯定してくれる楽曲です。
――理性を失ってもいい。乱れてもいい。
「君だけを愛そう」と叫ぶその衝動こそが、生きている証だから。
どうか、心が乱れた夜にこの曲を処方箋にしてください。
世界が暗転しても、あなたの中の「愛の光」だけは消えません。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも多くの楽曲を考察しています。
そちらもぜひ、ご覧くださいね。
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