――あなたのそばで、光り続けるものがある。
あなたは、それに気づいていますか?
誰かの痛みにそっと寄り添い、
その人が前を向くまで消えずに灯り続ける光。
DREAMS COME TRUEの「BEACON」は、
そんな存在の在り方を静かに歌う楽曲です。
―心に効く、音楽の処方箋―
【メンタルエイド】BRAND-NEW MUSIC DAYS
今回は、DREAMS COME TRUEの楽曲「BEACON」を考察します。
日本の男女混成音楽ユニット・DREAMS COME TRUEの楽曲「BEACON」は、
2025年7月にリリースされた楽曲。
テレビ朝日系ドラマ『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~』の主題歌
として書き下ろされました。
ドラマの舞台となるのは、
警視庁のSSBC(捜査分析支援センター)強行犯係。
アナログな刑事魂を持つベテラン刑事と、
最先端のデジタル捜査を得意とする分析官がタッグを組み、
東京という巨大な監視社会に潜む真実へ迫っていく物語です。
そんな作品に寄り添うように流れる「BEACON」は、
事件を描く歌ではありません。
本当に描かれているのは、
人が心の奥底に抱える「見えない傷」です。
寂しさが滲むサウンド。
洗練されたメロディー。
そして、聴く人たちの感情を包み込むような歌声。
それらが重なり合うことで、
この曲は「悲しみを癒す歌」ではなく、
「悲しみに寄り添う歌」として胸に響いてきます。
この記事では、ドラマとのタイアップとしての話題性ではなく、
「BEACON」という楽曲そのものが、
聴く人の心にどんなメッセージを届けようとしているのかについて、
【メンタルエイド】の視点で読み解いていきます。
初めてこの曲を聴いたとき、
筆者の脳裏に浮かんだのは――
「グラスの中で溶け落ちる寸前の氷」でした。
氷はまだ形を保っているものの、
ゆっくりと角が丸くなり、
やがて水と溶け合おうとしています。
その変化はあまりにも静かで、
気づかないうちに進んでいくものです。
人の心も、どこか似ているのではないでしょうか。
普段は笑顔で過ごし、
何事もないように振る舞っていても、
胸の奥では誰にも言えない後悔や悲しみ、
自分を責める思いが少しずつ心を削っていく。
それは、突然砕け散るのではなく、
誰にも気づかれないまま静かに溶けていく痛みです。
そんな繊細な心の揺らぎを、
この楽曲は見事に音で描いているように感じました。
そして、
そのグラスの向こうから差し込む淡い光が、
溶けゆく氷を静かに照らします。
その光は、傷を消し去るほど強いものではありません。
けれど、「一人じゃない」「ここにいていい」と、
そっと寄り添ってくれるような温もりがあります。
あなたもこの曲を聴いて、
まるで誰かが言葉にならない悲しみを
静かに受け止めてくれているような、
そんな情景が浮かびませんでしたか。
グラスの中で静かに溶けていく氷のような心。
その心を照らそうとする”灯り”の正体こそが、
この「BEACON」の歌詞に込められたメッセージなのです。
「BEACON」の歌詞は、
大切な誰かに向けて語りかける「わたし」の視点で綴られています。
「BEACON」の主人公は、悲しみを抱える相手へ、
まず「今日一日を聞かせて」と静かに語りかけます。
解決策を示すのではなく、
ただ耳を傾けることから始まる優しさ。
誰かに共感してもらえるだけで軽くなる痛みや罪悪感であるならば、
その人はもっと楽に、当たり前のように明日を迎えられるはずなのに――
そんなもどかしさが滲みます。
けれど相手が抱えている痛みは、
人に共感されるだけで軽くなるようなものではなかった。
長い年月を経ても消えない後悔や、
自分自身を責め続けてしまう罪悪感が、
夜になるたび心へ重くのしかかっています。
そんな姿を見つめながら主人公は願います。
「あなたの人生の中に、自分を存在させてほしい」と。
光でもいい。
狼煙でもいい。
進むべき道を示す羅針盤でもいい。
どんな形でも構わないから、
あなたが迷ったときの”目印”になりたい――
本当は誰よりもやさしい人が、
これ以上つらい顔をしないでほしいという、
切実な祈りが込められています。
その祈りは、見返りを求める愛ではありません。
たとえ自分の存在に気づかれなくても、
暗闇の中で灯り続けたいという、無償の愛です。
そして物語は終盤、大きな転換を迎えます。
この世界は、
ときに人を押し潰してしまうほど残酷です。
時間が経っても消えない後悔。
美しい思い出にはなりきれない記憶。
羅針盤さえ狂わせてしまうような理不尽な現実。
それでも主人公は、
その現実を受け止めながら、
何度も「許す」と繰り返します。
世界を許す。
運命を許す。
そして最後に――
「あなたはあなたを許して。」
他者からの許しの先に、
自分自身を許すことこそが本当のゴールなのだ。
そんなメッセージを音に込め、静かに締めくくられます。
「BEACON」は英語で、
灯台・信号灯・目印・導きの光を意味します。
古くから灯台は、
暗い海で進む方向を見失った船へ帰る道を示してきました。
何より興味深いのは、
灯台は船を動かす存在ではないことです。
航路を決めるのは、あくまでも船自身。
灯台は「そこに在り続ける」ことで、進む勇気を与えます。
この楽曲でも主人公は、「あなたを救う」とは言っていません。
「あなたが歩き出せるように、私は光であり続ける。」
そんな静かな覚悟を歌っています。
ドラマ『大追跡』では、
SSBCが膨大な情報の中から事件解決への道筋を照らします。
一方、この楽曲が照らしているのは、人の心。
事件の真相ではなく、
「生きる理由」を見失いそうになった人の心を導く”灯台”なのです。
道標であることと、寄り添うこと。
その両方を併せ持つ「BEACON」という言葉。
それは、孤独や自己否定に苦しむ人に対して
「あなたを変えようとはしない。ただ、あなたのそばにいる」という、
ある種の距離感を持った愛情の形を象徴しているのではないでしょうか。
「BEACON」は、次のような心の痛みを抱える人にそっと効く一曲です。
・自分を責め続けてしまう人へ
過去の後悔や、消えない罪悪感を抱えて生きていると、
「もう自分を許していいはずなのに、許せない」
という矛盾に苦しむことがあります。
この曲は、他者からの許しがあってこそ、
自分自身を許す一歩を踏み出せることがあると教えてくれます。
・誰にも本音を話せずにいる人へ
「顔を上げて、話を聞かせて」という冒頭の呼びかけは、
誰かに心を開くことのハードルを下げてくれるような、
柔らかな温もりのように響きます。
・誰かを支えたいけれど、うまく力になれないと感じている人へ
完璧な言葉や解決策がなくても、
そばにいることそのものが支えになるのだと気づかせてくれます。
この曲は、「頑張れ」と背中を押す歌ではありません。
「もう忘れよう」と慰める歌でもありません。
「その痛みごと受け止めるから、どうか自分を責め続けないで。」
そんな言葉を、音楽という形で届けてくれる一曲です。
誰かに理解されること。
誰かが隣にいてくれること。
そして最後には、自分自身を許せること。
その順番でしか、
人の心は本当の意味で前を向けないのかもしれません。
今回は、DREAMS COME TRUEの楽曲「BEACON」を考察しました。
「BEACON」は、
誰かのために光り続けようとする人と、
その光にまだ気づけずにいる人、
双方の心に寄り添う歌です。
自分を責め続ける夜も、
誰にも言えない痛みを抱える日も、
どうかひとりだと思わないでください。
あなたのそばには、
気づかないだけで、
静かに灯り続けている光があるかもしれません。
そして何より――
あなたはあなたを、許していい。
「BEACON」は、
闇の中で自分を見失いそうなあなたへ贈る”やさしい道標”。
もし今、あなたが自分を責め続けているのなら。
どうかこの曲を――
あなたの心を照らす“希望の灯”として受け取ってみてください。
BRAND-NEW MUSIC DAYSでは
他にも様々なアーティストの楽曲を考察しています。
ぜひそちらもご覧ください。
あなたの“心のリアル”に寄り添う一曲が、きっと見つかるはずです。
This website uses cookies.