【実話】介護の要としての判断~生活相談員・ケアマネジャー兼務録~

【実録】介護の本質

今回は「介護の要としての判断」というお話です。

要とは?

このままでは分かりにくいと思いますので、「はさみ」を例に考えてみてください。

ちょうど真ん中の部分。

指を入れる部分を「社会環境」、刃の部分を「施設環境」と考えた場合、中心に位置するのが「生活相談員・ケアマネージャー」になるのではないでしょうか。

広い視野で社会環境を視て、幅広く情報を集約したものを施設環境へと連動させて物事を効率的に動かしていく。平たくいえば「社会と施設をつなぐ橋渡し」であり「居宅と施設と結びつける人」になります。

生活相談員とケアマネジャーとは実務内容は違っていますが、「相談援助業務」「対人援助業務」という部分においては類似した業務を行っています。

在宅で暮らす高齢者や家族、施設で暮らす入所者やその家族との関わりにおいては、介護保険制度の基本理念に則った支援を行いながら、常に全体を見ながら適切に判断をすることが要求されるので、傍から見る以上に神経を遣います…

そんな中、Twitterのつぶやきの中で、私の目に留まったものがあります。

引用元-Twitter

takuma@生活相談員さんのツイート。

このツイートを見た時の私見は「素晴らしい判断をされた」です。

文面だけで判断すると「短期入所利用中」のようですが、期間内での現場での混乱や他の利用者への不穏を招くような言動がある場合は、利用途中であっても退所を依頼する場合はあります。

それ以前に「短期入所利用希望時」においても利用の可否をその場で決定することだってあるんです。

私が体験した実話を交えながら「介護の要としての判断」についてお話していきますね。


私が介護福祉施設でケアマネジャーをしていた頃の話になりますが、当時は生活相談員を兼務としていたので、短期入所利用を希望されているとのご依頼があった場合、その方のお家に伺い、面談を行った上で実際に「その場で」利用の可否決定を行っていました。

可否決定の具体的な流れですが

まず、利用を希望されている方との面談の中での会話や表情、仕草などや家族の方々の施設利用についての理解度などを総合的に見た上で、現場の状況と照らし合わせます。

次に、面談の中で得た自分の目と耳と直観(直感)でその方が施設で生活している場面を思い描きます。

  • 面談している利用希望者が短期入所利用期間中に滞在している他の利用者の状況
  • 利用期間中の介護職員の人員配置
  • 支援スタッフ(生活相談員・ケアマネジャーなど)の出勤・在籍の有無

などを考慮した上で最終判断として「限りなく黒に近いグレー」であれば利用をお断りしていました。

本来であれば本入所や短期入所の利用の可否を最終的に決定するのは「施設長」なので、ケアマネジャーや生活相談員に利用の可否を決定する権限などありませんが、私の場合は施設長とケンカしてでも「利用の可否決定をその場で」行っていました。

どうしてそれができたのか?

現場との信頼関係がしっかりと取れていたからだと私は考えます。

施設を利用するにあたって、一番身近に接することになるのが「介護職員」の方々。

短期入所利用者MAX10名、本入所MAX50名として、すべての利用者(入居者)の日々の暮らしを支える介護職員の心身の疲労は計り知れません。

本入所の方々の介護においては「顔ぶれが同じ」なので、仮に入居者への介護が上手くいかなかったとしても次の日以降でリカバーすることは可能ですが、短期入所となるとそうはいかない。

「短期間の滞在において心身のレベルを一定に保つか少し上向きにする形でお帰りいただいてこそ短期入所利用の意義がある」とは私の持論であり、現場スタッフとのコミュニケーションも密に諮りながら「現場の介護の技量」をしっかりと把握した上での判断になります。

ここでよくいわれるのが「厄介な人を連れてくると現場がうるさいから断る」のようなことなんですが、現場がうるさいから断るでは「誰のための介護保険サービスなのか」において本末転倒な考えだということが分かっていない方の意見なので「論外」です。

まず何より先に「この方と一緒に生活をすることになる他の利用者への配慮がきちんと行えるのか」という点に着目することが大前提です。

現有の利用者の個々の対応をきちんと行いながら、初めての利用で不安の大きい利用者への対応も行っていかなければならない訳であり、大方の場合は「初めて」の方の対応に振り回される形になってしまうでしょう。(認知症症状のある方なら、なおのことです)

面談の際に「どことなく落ち着かない」「口は微笑んでいても眼は笑っていない」などが視られた場合や「しばらくお泊りして来てくれたらいいんだから」の一点張りで、本人様の言うことには耳を貸さない家族の言動などがあった場合、先程お話した現場の状況と照らし合わせると何が言えるか。

  • 仮に利用可とした場合、施設内での不穏による混乱の責任を施設長は取らず、「私は許可していない」といって譲らないため、収拾がつかなくなる
  • 現場を混乱させるだけでなく、他の利用者の安心や安全を損なう恐れがあるが、一旦この家を出たら家族は「もう利用を受けてもらったし、介護のプロなんだから介護して当たり前」旨の言動を繰り返し、この方の帰る場所はなくなるに等しくなる

といったことが言えると私は考えます。

おそらくtakuma@生活相談員さんは、こういったことを見抜いてお断りをされたんだと考えます。

これって、少しでもタイミングをミスると取り返しがつかなくなってしまうので、タイミング的にもベターだったのではないでしょうか。


生活相談員とケアマネジャーは「相談援助業務」「対人援助業務」という部分においては類似した業務を行っているため、施設ではいわば「介護の要」のような存在。

だからこそ「多角的な視点」「本質を見抜く力」「適切な判断力」が必要不可欠なものだと私は考えます。

人と人との関わりは、海に例えれば「大時化(おおしけ)」の時もあれば「凪(なぎ)」の時もありますが、誰もが穏やかに笑顔の多い日々を過ごしたいと願っていることは間違いありません。

1人でも多くの方々の笑顔をみたいがため、今後も精進しながら一歩ずつ前へ!

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